まとめ
大は小を兼ねるとは限らない
電源ユニットを三つの価格帯に分けて俯瞰してみると、それぞれの価格設定にはそれなりの理由があることが分かる。大は小を兼ねると言うが、電源の場合は機能が多い分、本体が大きくなったり、ケーブルが増えたりするため、ハイエンドがすべてにおいて勝るというわけではない。組み立てるPCに合わせたパーツ選びが必要となるということは頭に入れておこう。
なお、長時間連続して負荷がかかる環境では80PLUS Gold取得電源を選ぶことをオススメしておく。発熱、消費電力などの面で恩恵が受けられるはずだ。
シンプルなパーツ構成なら低価格でもOK
HEC WIN+ 550W
80PLUS Bronze取得品を狙え
オンボード機能が主体で搭載パーツが少ないPCや、運用時間が短く必要な定格出力を満たしている環境であれば、低価格クラスの電源で十分。静音性についても、上位モデルと変わらない製品もある。ただし、小さいケースを使う場合は、80PLUS Bronze以上を取得しているもののほうが発熱によるトラブルを減らせる。
タワーケースで使うなら中核製品がよい
PRO87+ EPG600AWT
上位の80PLUS取得製品がお勧め
タワー型ケースを使うほとんどのユーザーは中核製品で十分。もっとも売れている価格帯だけあり、好みに合った製品が見付かるはず。選択のポイントとしては、長時間使うなら80PLUS Gold/Silver取得品を、マザーボード裏配線などを考慮するならケーブルの作りがよいものを選ぼう。目的に合う製品が必ずあるはずだ。
ACアダプタキットで超小型、静音PCを実現
電源ユニットは、発電所から各家庭まで送られてくる長距離でも減衰しにくい交流(AC)という方式から、PCパーツや家電のような部品を動かすのに向いている直流(DC)に電力を変換するという役割を持っている。実はこれとまったく同じ役割を持つのがノートPCやMini-ITXケースなどの付属電源として活用されているACアダプタだ。内部もそのまま電源ユニットをコンパクト化した構造になっている。
ACアダプタはPCの電源ユニットと同様、動作時には熱を持ち、本体部分をヒートシンク代わりにして熱を放出する。一部の大型ACアダプタにはファンが付いたものもある。サイズの関係から、定格出力は100W前後のものが多いが、最近ではMini-ITXケースの普及や80PLUS認証の登場で変換効率のための技術が向上していることから、160Wを超える大出力のものも増えてきている。こうしたACアダプタを自作PCの電源として利用できるキットも売られており、超小型PCや静音PCで活用することができる。