
本誌2011年3月号における
Sandy Bridge関連記事について
DOS/V POWER REPORT編集長 佐々木修司
DOS/V POWER REPORT 2011年3月号では、第1特集をはじめとして、コードネーム“Sandy Bridge”こと第2世代Core iシリーズのCPUを大きく取り上げました。しかし、3月号発売後の1月31日(米国時間)、IntelよりP67/H67チップセットの不具合が明らかにされ、同チップセットのリコールを行なう旨が発表されました。この影響は、同チップセットを採用するマザーボードにもおよび、2月初旬の時点ですべてのP67/H67マザーボードの発売が停止され、すでに販売されたボードに関しては、交換もしくは不具合による問題を回避するためのパーツを配布するなどの対応が行なわれることが、各ボードメーカーより発表されています。
3月号の記事をもとに第2世代Core iシリーズを購入された方には、結果として大きなご迷惑をかける結果となってしまい大変遺憾に思っております。DOS/V POWER REPORT編集部では、第2世代Core iシリーズやP67/H67マザーボードを発売に先立って入手し、掲載にあたって入念なテストを行ないましたが、この不具合に相当する状況を察知することはできませんでした。PC自作専門誌である本誌としては痛恨の極みでございますが、誌面や直接の取材などを通じてIntelをはじめとするPC自作業界のプレイヤー全体にユーザーのみなさんの気持ちと利益を代弁し、メーカーサイドから発信される情報を分かりやすくお伝えする懸け橋となることが、今後の我々の役目であると考えております。
DOS/V POWER REPORT 2011年4月号では、今回の不具合に関しての現状をレポートするとともに、マザーボードメーカー各社の対応や、現在ユーザーが取るべき行動などについてまとめております。第2世代Core iシリーズを購入された方、これから購入される方の双方にとって歯がゆい状況ではありますが、CPU自体の性能は非常に高く、自作派にとって魅力的な製品であることは今でも疑いの余地がありません。次号以降の本誌においても、みなさんが今回の不具合を乗り越え、PC自作をより楽しめるよう全力でバックアップしてゆく所存です。
(本サイトは月刊PC情報誌DOS/V POWER REPORTの過去の特集をWeb化したものです。以降掲載される「震撼性能! Sandy Bridgeに死角なし!!」では、本誌掲載時にP67/H67チップセットの不具合が明らかになっておらず、その点には一切言及しておりません。ご了承の上、お読みください。)
すべてが新しい期待の新CPU
ついに登場! Sandy Bridge
TEXT:鈴木雅暢
開発コードネーム「Sandy Bridge」こと第2世代のCore iシリーズが登場した。従来LGA1156のCore iシリーズを早くも置き換えることになるが、その性能、機能はとにかく強力である。何がそんなにすごいのか、本特集ではそれが分かるようSandy Bridgeの進化点を一つ一つ解説し、検証を行なっていこう。
【チェック1】 幅広いラインナップを順次投入
クアッドコア+HT
Core i7
LGA1156版Core i7の後継にあたるクアッドコアモデル。1コアにつき2スレッドを同時実行できるHyper-Threading Technologyに対応し、8スレッドを同時実行できる。GPUコアを一つの半導体に集積しており、最新の32nmプロセスルールで製造されている。なお、末尾「K」はOC向けの倍率ロックフリーモデル、末尾「S」は低消費電力モデルだ。
クアッドコア
Core i5
メインストリーム向けのクアッドコアモデル。一部モデルを除き、Hyper-Threading Technology非対応で、Core i7よりも3次キャッシュの容量が少なく内蔵GPUの動作クロックが低い。内蔵GPUコアは2種類あり、Core i7と同じく倍率ロックフリーのOC向けモデル「K」のみIntel HD Graphics 3000を搭載。省電力版の「S」に加え、超低消費電力版の「T」モデルも用意される。
デュアルコア+HT
Core i3
エントリー向けのモデルで、LGA1156版Core i3(Clarkdale)の後継となる。デュアルコア+Hyper-Threading Technologyにより4スレッドの同時実行が可能で、Intel Turbo Boost Technology 2.0に対応していないことがCore i7/i5との大きな違いとなっている。また、3次キャッシュ容量も3MBと、かなり少なくなっている。
【チェック2】 対応ソケットがLGA1155に変更に
Sandy Bridgeコアの第2世代Core iシリーズは、LGA1155という新しいソケットで提供される。従来のLGA1156と同じサイズで形状も非常に似ているが、CPU内部の構造が大幅に変わっているため互換性はない。つまり、従来のLGA1156対応マザーボードではこの第2世代のCore iシリーズを使うことはできないので、新たにLGA1155ソケットを搭載したマザーボードが必要になる。
従来のLGA1156(左)とLGA1155(右)では、CPUのサイズが同じで外見も似ているが、互換性はない。よく見ると切り欠きの位置が違う
接点の密度はまったく同じだが、CPUの内部構造が大幅に変わっているので、裏面中央のチップコンデンサなどの種類や配置は大幅に異なる
【チェック3】 対応チップセットの機能を確認
Intel P67はパフォーマンスを重視するユーザー向けのチップセット。マルチGPU向けのPCI Expressレーン分割機能やTurbo Boostの倍率変更機能などを備える
一方、Intel H67はディスプレイ出力機能を備えており、CPU内蔵GPUコアの描画機能やハードウェアによる動画エンコード機能(Quick Sync Video)などを利用することができる
P55に比べてバス帯域に余裕あり
Intel P55の後継にあたる。6ポートあるSerial ATAインターフェースのうち2ポートが新たに6Gbps対応になり、CPUとのインターフェースであるDMIの帯域も従来の2倍(片道2GB/s×2)になっている。8レーンあるPCI Express 2.0の転送速度が2倍(5GT/s)になったことも大きい。PCIのサポートは省かれた。また、CPU側のPCI Express 2.0の16レーンをマルチGPU向けに8レーン×2に分割できる
CPU内蔵GPUの機能を活用できる
Serial ATAの6Gbps対応(2ポート)やDMI帯域(片道2GB/s×2)、PCI Express 2.0の5GT/s転送対応など、各種バス帯域に関してはIntel P67と同等で、Serial ATAのRAID 0/1/5/0+1にも対応する。ただ、CPU側のPCI Express 2.0 x16のレーン分割には対応しない。Intel P67では可能なTurbo Boost倍率の変更機能も、チップセットのIDによって利用できないよう制限されている