まずは基本性能をチェック
高い総合性能に加えストレージまわりも高速化
第1世代のCore iシリーズや
AMD CPUとの力関係を明らかに

これまでSandy Bridgeこと第2世代のCore iシリーズの進化点について細かく見てきたが、ここではより実践的なベンチマークテストを行ない、既存のCPUと比較してどうなのか、Sandy Bridge同士の力関係はどうなのかといったことを見ていきたい。テスト環境は別掲したとおりで、ビデオカードやストレージなど、共通化できるものは共通化している。比較対象には従来の主力製品のほか、参考として4年前、2年前の主力であったCore 2 Duo E6600、Core 2 QuadQ9650の結果も掲載している。
まずシステムの総合的な性能を見るテストとしてFuturemarkのPCMark Vantageを実施した。ハイビジョンコンテンツの取り扱いを前提にWindowsの標準アプリケーションを活用しつつ、PCでの作業全般を用途別にシミュレートしてスコアを出す。今回はその用途別のスコアをすべて掲載した。
総合テストである「PCMark」とWebアクセスや暗号メールのやり取りなどを中心とした処理の「Communication」はAESNIに対応しており、対応CPUと非対応CPUの差が大きく出る。今回掲載したCPUで対応しているのは、LGA1155の全モデルとCore i7-980X Extreme EditionとCore i5-661である。
この2項目についてはやはり断然Sandy Bridgeが強い。とくにPCMarkでは同じくAES-NI対応のCore i7-980X Extreme Edition以外は、Sandy Bridgeの中でもっとも低いスコアのCore i5-2400Sよりも低いスコアとなっている。Core i7-2600K/2600 は従来最速だったCore i7-980X Extreme Editionをわずかに上回るスコアで、Sandy Bridgeの強さはAES-NIの恩恵だけではないことが分かる。
AES-NIのような特殊要素が絡まないほかの項目でも、Sandy Bridgeは非常に強い。既存CPUではCore i7-980X Extreme EditionがSandy Bridge勢に対抗できるかどうかといったところで、第1世代のCore iシリーズは軒並みSandy Bridgeの後塵を拝している。ハイビジョンコンテンツの録画や再生をシミュレートする「TV and Movies」やオフィスでの事務作業のシミュレートを行なう「Productivity」などでは比較的差が小さい一方、メディアコンテンツの取り込みやデジタル保存を行なう「Memories」やオーディオデータの取り込みやトランスコードを行なう「Music」では差が大きめだ。

PCMark Vantageは、ハイビジョンコンテンツの扱いを前提にPCでの作業全般をシミュレートする内容となっており、システム全体の基本性能の目安となる
少し判断しづらい項目が「Gaming」だ。マルチスレッドで高度なAI処理を行なったり、HDDからのゲームデータのロードなどの処理などを行なう内容で、マルチスレッド性能に大きく影響される。6コアのCore i7-980X Extreme Editionのスコアがよいのは順当だが、Sandy Bridge同士では動作クロックなどのつじつまが合あわない結果になっている。もともと誤差が大きいテストでもあるのだが、複数回行なってもこの傾向は変わらず、Sandy Bridgeの上位モデルのみ性能が出ないという奇妙な結果になっている。この項目に関してはあくまで参考値として見てほしい。それでも第1世代のCore iシリーズと同等レベルのスコアは出している。
また、ストレージの性能を見るHDDの傾向もはっきりしている。今回はSerial ATA 6Gbps対応SSDを利用していることから、チップセットレベルでSerial ATA 6Gbpsに対応しているかどうかの違いがはっきり表われており、6Gbpsに対応したLGA1155、およびAMDのSocket AM3が大きく優位に立っている。ここで示されているストレージ性能の優位は、MemoriesやCommunications、Gamingなど、ストレージ処理の割合が高めのテストでのスコアにも多少影響していると思われる。
【検証環境】 [LGA1155]マザーボード:Intel DP67BG(Intel P67)[LGA1366]マザーボード:ASUSTeK P6T SE(Intel X58+ ICH10R)[LGA1156]マザーボード:ASUSTeK P7H55-M/USB3(Intel H55)[LGA775]ASUSTeK P5Q-EM(Intel G45+ ICH10R)[Socket AM3]ASUSTeK M4A89TD PRO/USB3(AMD 890FX+SB850)、[共通動作環境] メモリ:Corsair Memory CMX8GX3MA41600C9(PC3-12800 DDR3 SDRAM 2GB×4 ※LGA1155/1156環境では2枚のみ使用、LGA1366環境では3枚のみ使用)、UMAX Pulsar DCDDR2-4GB-800(PC2-6400 DDR2 SDRAM 2GB×2 ※LGA775環境でのみ使用)、ビデオカード:MSI NGTX480 Lightning(NVIDIA GeForce GTX 480)、SSD:Philips & Lite-On Digital Solutions PLEXTOR M2SPX-256M2S(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit 版、電源ユニット:Corsair Memory CMPSU-850HXJP(850W)、アイドル時:OS起動5分後の値、高負荷時:CINEBENCH R11.5開始15秒以降の最大値、電力計測器:Watts UpL PRO