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TEXT:鈴木雅暢 |
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HDD/SSD編 |
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新世代のストレージとして注目されていたSSDが普及価格帯まで下りてきたことで、大きな盛り上がりを見せているHDD/SSD市場。2008年後半以降はとくに製品サイクルが速く、今後もますます目が離せない。 |
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SSDがいよいよ普及価格帯へ HDD容量は最大1.5TBに到達 |
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いよいよ本格的にSSD(Solid State Drive)の波がやってきた。アクセススピードが高速で、無音で省電力、さらに振動や衝撃にも強いという多くの魅力を持つSSDだが、HDDに比べて容量あたりの単価が高く、2007年までは高級パーツという印象だった。ところが、低コストで製造可能なMLCタイプのSSDが登場し始めた2008年半ばから市場は一変。新製品の登場が続いて競争が激化し、一気に低価格化が進行した。性能面での進化も顕著で、とくにIntelのX25-Mは、MLCながら公称のシーケンシャルリードが250MB/sに達し、SSD市場のみならずPC業界全体に大きな衝撃を与えた。さらに性能に劣る他製品の低価格化をも誘発、市場活性化の起爆剤となった。以後も新製品の登場、大幅な価格改定など毎週のように新展開があり、市場の動きから目が離せない状況が続いている。
SSD市場のハデな動きと比べると地味に映るHDDだが、堅実な進化を続けている。容量1TBが上限の時期が長かったが、高密度化技術は進歩し、同じ1TBモデルでも2007年半ばから主流だった4プラッタ構成(1枚あたり250GB)から、3プラッタ構成(1枚あたり334GB)への置き換えが完了しつつある。Seagateからは375GBプラッタ採用の1.5TB HDDも登場した。高密度化はシーケンシャルアクセス性能の向上に加え、製造コストの低下にも貢献、低価格化も進行している。1TB HDDは5,400rpmモデルがすでに1万円を切り、7,200rpmモデルも1万円に近付いており、1TBが標準容量となるのも時間の問題と言えるだろう。 |
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HDD
HDDのデータは高速で回転する円盤(プラッタ)上に磁気で記録される。半径方向に移動するアームの先端にあるヘッドでデータの読み書きを行なうが、プラッタの外周と内周でセクタの数が違うため内周に近付くにつれて転送速度が低下する。HDDは外周から使われるため、記録したデータ量が増えると性能が低下していく。 |
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転送速度 |
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使用率 |
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SSD
SSDは、基板にコントローラチップとフラッシュメモリチップのみを実装するシンプルな構造で、電気的な操作のみでデータの読み書きを行なう。複数のチップに並列アクセスするなどの工夫によりコントローラ⇔フラッシュメモリ間の転送速度を高速化しており、キャッシュ容量などの影響か定期的な落ち込みがあるものの、性能は全域でほぼ一定である。 |
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転送速度 |
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使用率 |
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トレンド1 |
ついに1ドライブ1.5TBに到達! |
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HDDの最大容量が1.5TBに到達した。先陣を切ったSeagate Barracuda 7200.11 ST31500341ASは2008年7月に発表され、10月中旬から流通が開始された。最初の1TB HDDである日立GST Deskstar 7K1000 HDS721010KLA330が2007年1月発表、3月末流通開始だから、約1年半ぶりに最大容量が更新されたことになる。最大容量1TBの時期が長かった印象もあるが、大容量化のカギとなるプラッタの高密度化は順調に進んでいる。高密度化技術の進展ですでに各社の1TB HDDは334GBプラッタへ置き換えられており、いつ1TB超のモデルが登場してもおかしくない状況ではあった。HDDの容量はPC/家電メーカーのニーズにも左右されるため、半端な容量のニーズがなかったのだろう。
最大容量HDDと言うと、当初はプレミア価格で販売されるものだが、ST31500341ASの実売価格は当初の2万円強から、すでに最安値2万円を切るレベル。200GBプラッタ5枚のイレギュラーな構成だったHDS721010KLA330は当初5万円以上しており、たった1年半の間ながらまさに隔世の感がある。
プラッタの高密度化は高速化にも貢献する。データはプラッタ上にセクタ(=512B)の単位で記録されるが、これを高密度化すればプラッタ上のセクタが増え、回転数が同じなら1回転にかかる時間は一定なので、増えたセクタのぶんだけシーケンシャル性能が高速になるという理屈だ。ベンチマークテストでも実証されており、375GBプラッタのST31500341ASのシーケンシャル性能は現在最速のVelociRaptorと並びHDDとしてはトップクラスの好スコアをマークしている。 |
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プラッタの高密度化
プラッタを高密度化すると、記録セクタが増える。同じ回転速度なら、高密度のほうが単位時間内に多くのデータを読み書きできる |
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【検証環境】
CPU:Intel Core 2 Extreme QX9650(3GHz)
マザーボード:ASUSTeK P5Q-E(Intel P45+ICH10R)
メモリ:CFD販売 W2U800CQ-2GL5J(PC2-6400 DDR2 SDRAM 2GB)×2
ビデオカード:NVIDIA GeForce 8800 GTXリファレンスカード、システム
HDD:Western Digital WD VelociRaptor WD 3000GLFS(Serial ATA 2.5、10,000rpm、300GB)
OS:Windows Vista Ultimate SP1、すべてSerial ATA 2.5、IDE互換モードで計測 |
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Seagate |
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Barracuda 7200.11 |
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URL:http://www.seagate.co.jp/ |
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375GBプラッタで初の1.5TBを実現
同ブランド名のまま何度か世代交代しているBarracuda 7200.11の最新モデル。型番数字の下2ケタ目がプラッタ枚数で、375GBプラッタ4枚採用で3.5インチHDD初の容量1.5TBを実現 |
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型番 |
インターフェース |
転送レート |
容量 |
キャッシュ |
実売価格 |
ST31500341AS |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
1.5TB |
32MB |
20,500円前後 |
ST31000333AS |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
1TB |
32MB |
11,500円前後 |
ST3750330AS |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
750GB |
32MB |
9,500円前後 |
ST3640323AS |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
640GB |
32MB |
8,000円前後 |
ST3500320AS |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
500GB |
32MB |
6,500円前後 |
ST3320613AS |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
320GB |
16MB |
6,000円前後 |
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日立グローバルストレージテクノロジーズ |
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Deskstar 7K1000.B |
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URL:http://www.hitachigst.com/ |
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最大375GBプラッタ採用の新シリーズ
最大375GBプラッタ採用の同社主力シリーズ。公称転送速度は750GBモデルが約180MB/s、250GBモデルが約151MB/s、それ以外が176MB/s。モバイル向け技術を応用した「HiVERT」で、消費電力を低減 |
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型番 |
インターフェース |
転送レート |
容量 |
キャッシュ |
実売価格 |
HDT721010SLA360 |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
1TB |
16MB |
13,000円前後 |
HDT721032SLA360 |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
320GB |
16MB |
6,500円前後 |
HDT721025SLA380 |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
250GB |
8MB |
5,400円前後 |
HDT721016SLA380 |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
160GB |
8MB |
4,600円前後 |
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