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TEXT:鈴木雅暢 |
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トレンド2 |
5,400rpmの復権と低価格化の進展 |
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ここ1年ほどの世界的な環境問題への意識の高まりを受け、復活した5,400rpmの3.5インチHDD。流通しているのはWestern DigitalのCaviar Green、SamsungのEcoGreen F1 DTのみだが、1TBモデルを中心によく売れている。7,200rpmモデルに比べて割安で低価格化でも先頭をいく存在であるが、低消費電力、低発熱という魅力も見逃せない。
プラッタの高密度化により5,400rpmでもシーケンシャルアクセスはそこそこ高速で、動画の保存やバックアップ用途なら十分実用的。むしろ複数台搭載しても温度や消費電力の心配が少ないことは大きなアドバンテージと言える。インターフェースがボトルネックとなり、HDD性能が影響しないNASやUSB 2.0接続といった用途ならなおさらだ。各社の主力である7,200rpmモデルも低消費電力、低発熱をうたう傾向にあるが、この面では5,400rpmモデルが上回っている。下のグラフを見ても分かるとおり静粛性も高いので今後の新製品にも引き続き期待したい。 |
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【検証環境】
CPU:Intel Core 2 Extreme QX9650(3GHz)
マザーボード:ASUSTeK P5Q-E(Intel P45+ICH10R)
メモリ:CFD販売 W2U800CQ-2GL5J(PC2-6400 DDR2 SDRAM 2GB)×2
ビデオカード:NVIDIA GeForce 8800 GTXリファレンスカード、システム
HDD:Western Digital WD VelociRaptor WD 3000GLFS(Serial ATA 2.5、10,000rpm、300GB)
OS:Windows Vista Ultimate SP1、すべてSerial ATA 2.5、IDE互換モードで計測 |
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Samsung |
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EcoGreen F1 DT |
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URL:http://www.samsung.com/jp/ |
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1TB HDDのプライスリーダー
334GBプラッタを採用しつつ、回転速度を5,400rpmに抑えた点は先行するCaviar Greenと共通。公称消費電力はアイドル時5W、リード/ライト時で6.2W |
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型番 |
インターフェース |
転送レート |
容量 |
キャッシュ |
実売価格 |
HD103UI |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
1TB |
32MB |
10,000円前後 |
HD642JI |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
640GB |
16MB |
7,500円前後 |
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Western Digital |
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WD Caviar Green |
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URL:http://www.wdc.com/jp/ |
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1TB+エコの定番モデル
低消費電力を意識したエコドライブの先駆け。プラッタを334GBにマイナーチェンジし、消費電力はアイドル時2.8W、リード/ライト時で5.6Wとさらにエコになった |
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型番 |
インターフェース |
転送レート |
容量 |
キャッシュ |
実売価格 |
WD10EADS |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
1TB |
32MB |
11,000円前後 |
WD10EACS |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
1TB |
16MB |
10,500円前後 |
WD7500AACS |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
750GB |
16MB |
10,000円前後 |
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トレンド3 |
10,000rpm HDDに待望の新型登場 |
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コンシューマ向けで唯一10,000rpmの回転速度を誇るのがWestern DigitalのRaptorシリーズ。2008年の5月末に、2.5インチサイズのボディに3.5インチマウンタを兼ねたヒートシンクを標準装備した最新モデルVelociRaptorがデビューした。性能面でも、ランダムアクセスだけでなくシーケンシャルアクセスでもHDD最速の座を奪還した。
高速回転の最大のメリットは、7,200rpm HDDに比べて半分以下になったシークタイムだ。Raptorシリーズはランダムアクセスのレスポンスに優れる起動ドライブ用として定番の存在だったが、比較的安価ながらHDDの限界を超えるシークタイムで注目を集めるMLCタイプのSSDが、ここへ来てライバルとして急浮上している。ただ、Raptorシリーズのライト性能はMLC SSDよりも上なので、リードとライトが混在する実用シーンではMLC SSDより優れた性能を発揮する場面も少なくない。 |
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Western Digital |
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WD VelociRaptor |
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URL:http://www.wdc.com/jp/ |
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コンシューマ向け唯一の高速回転モデル
10,000rpmの回転速度を誇るRaptorシリーズ最新モデル。シークタイムは非常に短く(リード4.2ms/ライト4.7ms)、ランダムアクセスのレスポンスに優れる |
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型番 |
インターフェース |
転送レート |
容量 |
キャッシュ |
実売価格 |
WD3000HLFS |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
300GB |
16MB |
33,500円前後 |
WD1500HLFS |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
150GB |
16MB |
25,000円前後 |
WD740HLFS |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
74GB |
16MB |
18,000円前後 |
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トレンド4 |
MLCチップを採用した低価格SSDが続々登場 |
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■ |
一気に低価格が進んだMLC SSD 高速化のペースも非常に速い |
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今もっとも勢いがあるのが、MLCタイプのフラッシュメモリを採用する低価格なSSDだ。60GBクラスで3万円以下、120GBクラスで4、5万円辺りの価格帯(10月20日現在)に多くの製品がひしめいて熾烈な競争を繰り広げている。決して最速というわけではなく、耐久性などには未知数の部分も残るこれらの製品だが、HDDでは実現不可能なレベルのランダムリード性能は魅力。また価格下落が進む中、ある程度の問題は許容する雰囲気が生まれており、マニア層を中心に大いに注目を集める存在となっている。
MLC SSDは、SLC(シングルレベルセル)を採用したSSDに比べて低コストで大容量化しやすい一方、書き込みが遅いという傾向があり、一時期はHDDに遠くおよばないほどの激遅品が安価で流通したことからMLC全体のイメージが悪くなっていたことがあるが、2008年の半ば頃からコントローラやファームウェアの工夫により速度を大幅に改善した製品が続々と登場し、さらにIntelから登場したX25-MがMLCながら驚異的なパフォーマンスを発揮したこともあり、性能面に対するマイナスイメージは払拭されつつある。
また、MLCにはSLCよりもシビアな1セルあたり約1万回の書き換え制限があることはよく知られているが、これは特定のセルに偏らないように使えば、64GBのSSDなら毎日64GB書き換えても1万日(約27年)持つということでもある。あくまでも理論値なので割引は必要ながら、それほど神経質になる必要性もないという見方が浸透してきており、こういったMLC SSDを使う上でのノウハウも確立しつつある。たとえば、別途RAMディスクを作成し、システムの一時ファイルやWebブラウザの一時ファイルをRAMディスクに割り当てることでSSDへの頻繁な書き込みを避けるといった工夫だ。国内のメジャーブランドであるバッファローからパッケージ製品が登場したことも「周辺機器として一般に認知された」という意味で大きく、今後の展開がますます楽しみだ。 |
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MLCとSLCの違い
メモリ1セルあたり1bitの情報を記録するSLCは、書き換え回数は約10万回と長寿命で読み書きともに高速化しやすいが、高価で大容量化がしにくい。MLCは1セルあたり2bit以上の情報を記録する方式で、低コストで大容量化しやすいが、書き換え回数はSLCの1/10程度。書き込み性能もSLCに比べて遅い傾向がある |
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シーケンシャルはリード170MB/s、ライト100MB/s程度の製品が増えた。ランダムライトこそHDDに見劣りするが、ランダムリードで圧倒している
【検証環境】
CPU:Intel Core 2 Extreme QX9650(3GHz)
マザーボード:ASUSTeK P5Q-E(Intel P45+ICH10R)
メモリ:CFD販売 W2U800CQ-2GL5J(PC2-6400 DDR2 SDRAM 2GB)×2
ビデオカード:NVIDIA GeForce 8800 GTXリファレンスカード、システム
HDD:Western Digital WD VelociRaptor WD 3000GLFS(Serial ATA 2.5、10,000rpm、300GB)
OS:Windows Vista Ultimate SP1、すべてSerial ATA 2.5、IDE互換モードで計測 |
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バッファロー |
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SHD-NSUM |
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問い合わせ先:03-5781-7260/052-619-1188
URL:http://buffalo.jp/ |
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入手性の高さや付属ソフトも魅力
メジャーブランド品ながら最安値クラスで人気。Serial ATAのほかUSB 2.0(バスパワー)での接続にも対応する。データ移行に便利な「Acronis Migrate Easy」ほか4種類のソフトが付属する |
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型番 |
インターフェース |
転送レート |
容量 |
キャッシュ |
実売価格 |
SHD-NSUM120G |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
120GB |
MLC |
40,000円前後 |
SHD-NSUM60G |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
60GB |
MLC |
28,000円前後 |
SHD-NSUM30G |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
30GB |
MLC |
14,000円前後 |
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OCZ Technology |
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Core V2 |
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URL:http://www.ocztechnology.com/ |
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ファーム改良で高速化を果たす
ファームウェアの改良で初代よりも高速化を果たし、公称スペックはリード170MB/s、ライト98MB/sと高速。Mini USB 2.0ポートを装備し、USB 2.0での接続や、ファームウェアのアップデートに対応 |
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型番 |
インターフェース |
転送レート |
容量 |
キャッシュ |
実売価格 |
OCZSSD2-2C120G |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
120GB |
MLC |
64,000円前後 |
OCZSSD2-2C60G |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
60GB |
MLC |
33,000円前後 |
OCZSSD2-2C30G |
Serial ATA 2.5 |
3Gbps |
30GB |
MLC |
25,000円前後 |
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