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その他の特集（2011年）

激突！Bulldozer vs. Sandy Bridge

震撼性能！　Sandy Bridgeに死角なし!!

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メモリ対決

TEXT：橋本新義

気になる安定性と相性問題

　ここまでは性能面での差を見てきたが、「よいメモリ」として求められる条件としては、性能だけではなく互換性も重要だ。多様なマザーボードが存在する自作PCの世界では、原理的にマザーボードとメモリ間での非互換性トラブル――いわゆる相性問題――に遭遇する確率が高くなるため、これを避けるだけの高い互換性が求められる。

　高品質をウリにするメーカーでは、相性問題の発生を可能な限り防止するべく、メモリチップに十分なマージン（余裕）を備えた製品を搭載したり、基板の設計・製造品質を高め、厳しい動作条件にも耐える設計を行なったりしている。

　今回は、互換性問題を検証すべく、4種のメモリを4枚のマザーボードに対して装着し、PCMark05などのメモリベンチマークを実行してのテストを行なった。起動時やWindowsでのトラブル、さらにはベンチマークでの性能低下（まれではあるが、非互換性問題の一種として発生するトラブルだ）が起こっていないかなどもチェックしている。サンプル数はわずかだが、登場したばかり（相対的に問題が発生する確率が高い）のAMD 690Gマザーなどを含めている。

　結果としては、すべてのテストで互換性問題は一切発生せず、問題なく動作した。筆者としては正直少々意外な結果なのだが、OC対決でも紹介したように、今回使用したノーブランド品のチップが優秀だった点が影響していると思われる。ちなみに、筆者がショップに取材したところ、「昨今の価格低下に歩調を合わせ、DDR2 SDRAMのノーブランド品による相性問題のサポートが増加しつつある」というコメントも聞かれた。ノーブランド品を買う場合は後述の相性保証などを組み合わせるのがオススメだ。

マザーボード別の動作状況

ASUSTeK
P5VDC-MX R2.0
（VIA P4M800 Pro）

ASUSTeK
P5B Deluxe/WiFi-AP
（Intel P965）

ノーブランド
PC2-6400 DDR2 SDRAM 1GB

CFD販売
CFD ELIXIR W2U800CQ-1GLZJ

アイ・オー・データ機器
DX800-1GX2

Corsair Memory
DOMINATOR TWIN2X2048-
10000C5DF

GIGABYTE
GA-M59SLI-S5
（nForce 590 SLI）

BIOSTAR
TA690G AM2
（AMD 690G）

ノーブランド
PC2-6400 DDR2 SDRAM 1GB

CFD販売
CFD ELIXIR W2U800CQ-1GLZJ

アイ・オー・データ機器
DX800-1GX2

Corsair Memory
DOMINATOR TWIN2X2048-
10000C5DF

コストパフォーマンスの高いお買得メモリ

CFD販売

CFD ELIXIR W2U800CQ-1GLZJ

実売価格：20,000円前後（2本セット）

問い合わせ先：052-619-1560
URL：http://www.cfd.co.jp/

バッファローグループのCFD販売が発売する低価格メモリだ。メモリモジュールメーカーElixirの選別品に対し、CFD販売が出荷時に実機での動作確認を実施することで、信頼性と価格のバランスを実現した。

メモリタイプ：PC2-6400 DDR2 SDRAM
メモリクロック：800MHz、CL＝5
容量：1GB×2

メーカー製PCにも対応の信頼性重視製品

アイ・オー・データ機器

DX800-1GX2

標準価格：60,200円（2本セット）

問い合わせ先：03-4288-1039/076-260-1024
URL：http://www.iodata.jp/

大手メモリメーカーであるアイ・オー・データ機器の製品。高品質メモリチップとJEDEC準拠の6層基板の採用、大手メーカー製PCを含む厳密な動作試験など、信頼性と互換性の高さへの配慮が特徴だ。

メモリタイプ：PC2-6400 DDR2 SDRAM
メモリクロック：800MHz、CL＝5
容量：1GB×2

相性問題を避けたいならばブランド品

今回の製品ではすべての組み合わせで問題は発生しなかった。ただし、ショップ店頭などではトラブル事例も聞かれるため、やはりそれなりの差はあるようだ。

保証はどうなっている？

　最後に、購入に際しての重要なチェックポイントとなる、動作保証やサポートについて考えてみたい。メモリはPCの基幹パーツの中でも比較的故障しにくいジャンルのため、いざサポートを受ける段にならない限りあまり意識することはないのだが、保証期間やサポート体制、また前述の相性問題などの点でブランド品に大きなアドバンテージがある。

　ノーブランド品が基本的にショップによるサポート（標準では、一定期間内の初期不良交換のみというところが多い）しか付かないのに対し、ブランド品ではメーカーによるサポートが付き、また保証も5年間以上が当たり前となっている。メーカーによっては「永久保証」をうたうものもあるほどだ。

　また、ブランド品メモリでは、サポート情報も多い。Webサイトなどで動作確認の取れたマザーボードやPCの情報を掲示している製品もある。

　なお、PCパーツショップの一部では、ノーブランド品を購入する際に独自の保証として「メモリ相性保証」や「延長保証」などを受け付けている。本来はサポート対象外となる相性問題や長期間の保証を追加するサービスなので、積極的に活用したい。

ノーブランド
PC2-6400 DDR2 SDRAM 1GB
ノーブランド品のサポートは、ショップが頼り。可能な限りショップ側での保証を活用し、レシートは捨てないようにしよう

CFD販売
CFD ELIXIR W2U800CQ-1GLZJ
ブランド品では、永久保証をはじめとする長期保証が一般的だ。デュアルチャンネル動作でも安心な、2枚組製品も多い

アイ・オー・データ機器
DX800-1GX2
アイ・オー・データ機器製品では永久保証や動作確認以外にも専用のPC診断ソフトや、RAMドライブ作成ソフトをダウンロードできるサービスもある

Corsair Memory
DOMINATOR TWIN2X2048-10000C5DF
DOMINATORでは、通常の動作チェックはもちろん、オーバークロック動作やデュアルチャンネル動作、EPP動作のチェックまで行なわれている

ブランド品が大きく有利

ブランド品の保証はノーブランド品に比べて非常に手厚い。メモリは故障しにくいパーツだが、万が一故障した際のサポートを考えると、ブランド品の有利さが際立ってくる。また、購入前に動作確認済みマザー情報を入手できる製品は、相性問題などの回避にも大きく役立つ。

　冒頭で紹介したように、メモリはほかのパーツとは異なり、性能や機能が単純に価格と比例しない。また絶対的な価格も時期によって大きく変動するパーツだ。

　今回の対決では、ノーブランド品でもよい製品はあるという典型的な結果になってしまったが、保証やサポートといった点ではブランド品に歴然とした価値があることもご理解いただけたのではないかと思う（ちなみに、複数のパーツショップで信頼性のバロメーターであるサポート要請件数をお聞きしたところ、やはりブランド品のほうが非常に少ないということだ）。

　とくに最近ではCFD ELIXIRやUMAX製品のように、従来のノーブランド品に近い価格帯で販売される、低価格なブランド品も登場している。ノーブランド品とあまり価格が違わない場合、可能な限りこうした製品を選びたい。

　また、実際に購入する場合、ノーブランド品はどうしても“アタリとハズレ”の幅が大きくなる点は覚えておきたい。さらに、上記の写真のように、ノーブランド品はメモリチップの製造元が確認できないものが多いため、同じロットでもチップが異なることもある。ブランド品のメモリを購入するということには、こうした不安定要素を避けられるというメリットもあるのだ。