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TEXT:鈴木雅暢 |
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CPU対決 |
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ここ1年ほどでCPUの勢力地図はガラリと変化、高級品/低価格品それぞれに分類されるCPUの顔ぶれもまったく違うものとなっている。現在の高級CPUと低価格CPUの間にはどの程度性能や機能の差があるのだろうか。 |
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高級CPUを選ぶ理由 |
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低価格CPUを選ぶ理由 |
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PCシステムの快適さにもっとも影響力があるのは、CPUパワーだ。用途を問わず、とにかく快適さを求めるのであれば、ハイパフォーマンスな高級CPUを使うに限る。 |
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Vista時代になって要求パワーが上がったのは確かだが、デュアルコアCPUも低価格で手に入るようになり、今や低価格品でも十分に高性能だ。時間が経てば高級品も低価格品になるのだから低価格品を選ぶほうが賢い。 |
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基本性能の違い |
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CPUはPCパーツの中でもとくに部品的な性格が強いパーツで、外観や使い勝手といったような要素がない。高級品と低価格品の違いは、シンプルに性能、機能、消費電力といったCPUが持つ特性に絞られる。とくに、CPUのもっとも基本的な要素である性能の把握は、CPUの優劣を判断する上で非常に重要と言えるだろう。PCの性能は複数の観点から評価する必要があるが、まずは日常的なオペレーションの快適さに影響する基本性能を比較してみよう。

テスト結果を見ていく前に、まずは現行CPUの勢力図を軽く整理しておこう。高級品CPUの代表としては、Intel、AMDそれぞれのメインストリームブランドであるCore 2 Duo、Athlon 64 X2の中核モデルが該当する。高性能で低消費電力、かつ付加機能も豊富に搭載している。一方、低価格品は、メインストリームブランドの最下位クラス、旧世代メインストリームの価格が下落し低価格品となったもの、そして、もともと低価格を意識して用意されているCeleron Dなどのバリューモデルとに分類され、これらの力関係が注目される。

さて、ベンチマークテストの結果を見てみよう。Sandra XIはCPUの基本的な演算性能を計測する「Processor Architech」とSSEなどSIMD系拡張命令の性能を見る「Processor Multi-Media」の項目を掲載している。これはCPU単体の演算性能の計測に特化しているテストだ。Core 2 Duo E6600とAthlon 64 X2 6000+を比べると、Core 2シリーズのみが対応する命令を使っている「Integer 」を参考外としても、整数演算でほぼ互角、浮動小数点演算では後者が、SSE系の演算は前者が少し強い。そして、Core 2 QuadはCore 2 Duoのキッチリ2倍近いスコアを出し、圧倒的な強さを見せている。

PCMark05は、実際のメジャーアプリケーションを使って、Webブラウズやファイルの圧縮/展開、暗号化/暗号解読といった、PCの日常作業をシミュレートしてスコアを出すテスト。実用面での性能をざっくりと比較をするのに適している。ここでは総合スコア(PCMark)と、CPUスコアを掲載しているが、前者にはHDDやGPUが影響するようなテストも含まれており、後者では逆にCPUの性能にほぼ依存するテストが多く含まれ、また比較的CPUへの負荷が高い内容にもなっている。

こちらでもCore 2 Duo E6600とAthlon 64 X2 6000+の比較をしてみると、PCMark、CPUスコアともにほぼ互角。PCMark05のスコアをCore 2 Duo E6600と低価格品とを比べると、Core 2 Duo E6600やAthlon 64 X2 6000+は、Athlon 64 X2 3800+の約1.3倍、Pentium D 915の約1.4倍、Celeron D 356の約1.6倍、高速だということになる。低価格品の中でもかなり差があり、もともとバリュー向けのCeleron DやSempronのスコアはやはり見劣りする。 |
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【ベンチマーク環境】

マザーボード:
[LGA775環境]GIGABYTE GA-965P-DQ6 Rev2.0(Intel P965+ICH8R)
[Socket AM2環境]GIGABYTE M59SLI-S5(NVIDIA nForce 590 SLI)
メモリ:センチュリーマイクロ CD1G-D2U800(PC2-6400 DDR2 SDRAM 1GB)×2
ビデオカード:ASUSTeK EAX1650PRO SILENT GE/HTD/256M(ATI Radeon X1650 PRO)
HDD:Seagate Barracuda 7200.9 ST3160811AS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、160GB)
OS:Windows Vista Ultimate |
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Intel |
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Core 2 Duo E6600 |
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実売価格:31,000円前後 |
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URL:http://www.intel.co.jp/ |
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前世代では考えられなかったような高性能と低消費電力を両立したことから人気が爆発、定番中の定番と言える存在に君臨しているIntelの主力デュアルコアCPU。2次キャッシュの容量が4MBと2MBのモデルが存在。 |
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コア数:2
動作クロック:2.4GHz
システムバス:1,066MHz
2次キャッシュ:4MB
64bit技術:Intel 64 |
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主なラインナップ |
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Core 2 Duo E6700(2.66GHz) |
43,000円前後 |
Core 2 Duo E6420(2.13GHz) |
26,500円前後 |
Core 2 Duo E6400(2.13GHz) |
26,000円前後 |
Core 2 Duo E6300(1.8GHz) |
23,000円前後 |
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※E6400、E6300は2次キャッシュ2MB |
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価格改定でお買い得度大幅アップ!
次世代をになうメインストリームクアッドコア |
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Intel |
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Core 2 Quad Q6600 |
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実売価格:72,000円前後 |
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URL:http://www.intel.co.jp/ |
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デュアルコアCPUの2倍となる四つのコアを内蔵するクアッドコアCPU。Core 2 DuoをCPU内部で二つ貼り合わせたような構造となっている。4月末の価格改定によりお買い得感が一気に増した。 |
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コア数:4
動作クロック:2.4GHz
システムバス:1,066MHz
2次キャッシュ:4MB×2
64bit技術:Intel 64 |
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主なラインナップ |
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価格と性能の好バランスが光る人気のデュアルコアCPU |
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AMD |
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Athlon 64 X2 6000+ |
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実売価格:31,000円前後 |
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URL:http://www.amd.com/jp-ja/ |
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AMDの主力をになう存在。Core 2 Duo同様に高性能かつ低消費電力でありながらやや劣る存在と見られてきたが、上位モデルの追加で差を縮めるとともに相次ぐ価格改定でコストパフォーマンスが向上している。 |
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コア数:2
動作クロック:3GHz
システムバス:2,000MHz
2次キャッシュ:1MB×2
64bit技術:AMD64 |
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主なラインナップ |
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Athlon 64 X2 5600+ (2.8GHz) |
24,000円前後 |
Athlon 64 X2 5400+ (2.8GHz) |
24,000円前後 |
Athlon 64 X2 5200+ (2.6GHz) |
23,000円前後 |
Athlon 64 X2 5000+ (2.6GHz) |
23,000円前後 |
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※5400+、5000+は2次キャッシュ512KB×2 |
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Intelブランドの信頼性をお手頃価格で入手できるバリューCPU |
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Intel |
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Celeron D 356 |
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実売価格:8,000円前後 |
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URL:http://www.intel.co.jp/ |
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Intelのバリュー向けCPU。主力のCore 2 Duoと同じLGA775マザーボードが利用できる。数千円からと、きわめて安い価格で入手できるのが魅力。 |
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コア数:1
動作クロック:3.33GHz
システムバス:533MHz
2次キャッシュ:512KB
64bit技術:Intel 64 |
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主なラインナップ |
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Celeron D 360 (3.46GHz) |
8,500円前後 |
Celeron D 352 (3.2GHz) |
7,500円前後 |
Celeron D 347 (3.06GHz) |
6,500円前後 |
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一気に身近になった定番デュアルコアのエントリーモデル |
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AMD |
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Athlon 64 X2 3800+ |
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実売価格:10,500円前後 |
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URL:http://www.amd.com/jp-ja/ |
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高級ブランドのイメージが強いAthlon 64 X2だが、幅広くラインナップを展開している上に販売価格が急落しており、4200+以下の下位ラインナップは低価格品と言える価格帯にまで落ちている。 |
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コア数:2
動作クロック:2GHz
システムバス:2,000MHz
2次キャッシュ:512KB×2
64bit技術:AMD64 |
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主なラインナップ |
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Athlon 64 X2 4400+ (2.3GHz) |
15,500円前後 |
Athlon 64 X2 4200+ (2.2GHz) |
14,000円前後 |
Athlon 64 X2 4000+ (2.1GHz) |
14,000円前後 |
Athlon 64 X2 3600+ (1.9GHz) |
9,500円前後 |
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性能の差は歴然

高級品に属する製品はどれも文句ないスコアで、低価格品との差は歴然としている。価格に見合う性能を示していると言えるだろう。ただ、同じ低価格品の中でもAthlon 64 X3800+などのデュアルコア製品はまずまず健闘している。 |
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