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TEXT:橋本新義 |
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メモリ編 |
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Windows Vista登場による需要拡大とCPU世代交代が合わさり大きな転機を迎えるメモリ事情 |
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2006年末はメモリ市場の大きな転機となるタイミング |
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メモリはPCの基幹パーツの一つであり、PCの性能を大きく左右する。Windows XPより多量のメモリを要求するWindows Vistaの登場を控えた現在は、メモリのアップグレードに関して注目が集まるタイミングと言える。一方で、Core 2 DuoやSocket AM2版Athlon 64 X2の登場で、自作PCユーザーの間での主力メモリが本格的にDDR2-800へとシフトしつつあるというタイミングでもある。表立って話題にはならないものの、2006年末というタイミングはメモリ市場にとっては転機の一つなのである。

そうしたタイミングならではのトレンドとしては、メモリ市場の転機に表われる現象である、価格の上昇がまっ先に挙げられるだろう。

またDDR2 SDRAMでは、動作クロックが高速化したことから、非互換性の問題――いわゆる相性問題――がDDR SDRAMに比べて厳しくなった。そのため、ここ数年で進んでいた大手チップメーカー純正メモリへのシフトが一気に進んだ。こうした純正メモリや、大手メモリ(モジュール)メーカー製品への人気の高まりも、現在のメモリ市場を取り巻くトレンドと言えるだろう。

また、一般的なユーザーには比較的縁が薄いが、メモリチップの仕様以上に高速な動作を実現する「オーバークロックメモリ」の普及も自作ならではのトレンドの一つとなっている。 |
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Windows Vistaの登場が絡むため価格上昇長期化の可能性も |
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最近のメモリ市場で、どうしても避けて通れないのが昨今の価格上昇だ。今回のメモリ価格急騰(DDR2-800の場合)は、2006年8月に入って突然始まり、以降は右下のグラフのように、全体的にじわじわと上昇している。

こうした急騰の原因と噂されるのが、大手メーカー製PCのメモリに関するいくつかのタイミングが合わさったという見方。Windows Vistaの登場に備えて搭載メモリ量が倍加しつつあるところに、Core 2 Duo/Socket AM2版Athlon 64 X2へのシフトが合わさったことで、大手PCメーカーがPC2-6400 DIMMを中心に、一気にメモリ在庫を買い付けたためというものだ(実際に、メモリチップメーカー純正PC2-6400 DIMMがショップにほとんど出回っていない点など、そうした話を裏付ける動きがある)。

では、買い時となるのはいつ頃だろうか? あくまでも筆者の予測だが、新バージョンのWindowsが登場する前のメモリ高騰は比較的長期にわたるので、しばらく大きな価格下落はないと思われる。欲しいメモリがある場合は、ある程度見割り切って購入するのがよさそうだ。

現在は、1GB以下であればMBあたりの単価の差は比較的小さい(左表参照)。そのため「PC2-6400(または5300) 1GB×2枚」の構成に人気が集中している。基本的にはこのパターンでの購入がオススメだ。 |
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主要メモリの価格表 |
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モデル |
平均値(円) |
1MBあたりの単価(円) |
DDR2 SDRAM DIMM |
PC2-6400 1GB |
17,163 |
16.7 |
PC2-6400 512MB |
18,780 |
17.1 |
PC2-5300 1GB |
14,444 |
14.1 |
PC2-5300 512MB |
17,406 |
14.4 |
PC2-4200 2GB |
41,002 |
20.2 |
PC2-4200 1GB |
13,771 |
13.4 |
PC2-4200 512MB |
17,158 |
13.9 |
PC2-4200 256MB |
13,875 |
15.1 |
DDR SDRAM DIMM |
PC3200 1GB |
13,619 |
13.3 |
PC3200 512MB |
17,242 |
14.1 |
PC3200 256MB |
13,818 |
14.9 |
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AKIBA PC Hotline!調べ(2006年10月14日付け)
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トレンド2 |
デュアルチャンネル時の安定性を求めて
ブランド志向が進む |
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メモリメーカー純正品が○ 2枚セット販売品であれば◎ |
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自作PCで向けマザーボードでは、デュアルチャンネルアクセス(2枚のDIMMを1組としてアクセスすることで高速化する技術)での使用が一般的だ。しかし高クロックで動作するDDR2では、デュアルチャンネル動作時の相性問題が発生しやすい傾向がある。

DDR2 DIMMの購入では、可能な限り信頼性が高いモジュールを2枚単位で購入する(二つのチャンネルで特性を揃えるため)ことを基本としたい。とくに価格と品質のバランスから人気の高いエルピーダメモリやSamsung、Hynixといったメモリチップメーカーの純正モジュールは、DDR2でも有力な選択肢だ。ただしPC2-6400 DIMM(DDR2-800)に限ると、ショップでの扱いは少なく(見かけても極端に高い)、今後は出荷量の増加に合わせてショップでの扱いも増える(価格も下がる)と見られるため、タイミングを見計らっての購入がよいだろう。

なお、大手のメモリモジュールメーカーでは、あらかじめ電気的特性を揃えた2枚組セットのメモリを販売している。こうした製品であれば、さらに信頼性が高い。 |
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大手チップメーカー製DDR2-800メモリの中でも出荷量が多い、エルピーダメモリ製チップ |
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CFD販売 |
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CFD ELIXIR D2U800CQ-1GLZJ |
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実売価格:17,000円前後 |
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問い合わせ先:052-619-1311
URL:http://www.cfd.co.jp/ |
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DRAMメーカーNANYA TECHNOLOGYの子会社でメモリモジュールを製造しているElixirの選別品を採用した特別仕様の1GBメモリ。さらにCFD販売での検査も行なっている |
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センチュリーマイクロ |
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CK1GX2C-D2U800 |
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実売価格:43,000円前後(2枚組) |
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問い合わせ先:03-5437-2611
URL:http://www.century-micro.co.jp/ |
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オリジナル設計の6層基板を搭載したPC2-6400メモリ。1GB DIMMを2枚セットにした、デュアルチャンネル対応キットとして販売される製品だ |
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トレンド3 |
静かに進行する
メモリのオーバークロックブーム |
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1GHzオーバー動作の製品や専用の自動設定規格も登場 |
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メモリの新しいトレンドとして注目されるのは、オーバークロックメモリ(OCメモリ)と呼ばれるタイプの製品だ。これは、DIMMを製造するメーカーがメモリチップ側の定格動作を超えるクロックで動作することを保証したもの。メモリチップの定格より短いアクセスタイミングで動作する製品や、メモリチップの規格としては存在しない1,066MHz動作が可能という製品などもある。

OCメモリは最近までは種類が非常に少なかったが、現在はアメリカでのゲーム向けPC人気もあり、製品やメーカーが増加中である。

そうした中で登場したのが、NVIDIAとCorsair Memoryが共同策定した「EPP」規格だ。OCメモリはアクセスタイミングや推奨動作電圧などが一般製品と異なるため、性能を引き出すにはBIOS設定が必要となるが、EPPはこれらの設定を自動化する。EPP対応メモリとマザーボード(現在ではnForce 590 SLI搭載製品のみ)が必要となるが、メモリの自動設定化をより進めた機能として注目できる動きだ。 |
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nForce 590 SLIを搭載したEPP対応マザーとメモリのコンビであれば、簡単にOCメモリを扱える。写真はASUSTeKのCROSSHAIR |
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Corsair |
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TWIN2X2048-8500C5 |
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実売価格:58,000円前後(2枚組) |
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問い合わせ先:info@synnex.co.jp(シネックス)
URL:http://www.corsairmemory.com/ |
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OCメモリのトップメーカー、Corsairの1,066MHz動作対応1GBメモリ2枚組。高精度な基板や放熱を効率化するヒートスプレッダなど、動作時の安定性を高める工夫がなされている |
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Crucial |
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BL6464AA1005 |
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実売価格:18,000円前後 |
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問い合わせ先:support@kohryu.com(興隆商事)
URL:http://www.crucial.com/ |
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大手メモリチップメーカーMicronの関連会社、Crucialの1,066MHz動作対応512MB DIMM。同クラスのメモリとしては比較的低価格ながら、安定性で評価の高い製品だ |
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