マルチコア化で増えるCPUの発熱量
数年前に落ち着いたと見られていたCPUのTDPの上昇が、マルチコア化の進展によって再燃している。現在ではエントリー向けCPUでもデュアルコアは当たり前で、ハイエンドでは6コアのCPUも登場。そして、クアッドコアCPUはローエンドの価格帯に入りつつある。
ユーザーから見れば高性能なCPUを手軽に入手しやすくなったのはありがたいことだが、冷却にはこれまで以上に気を使う必要が出てきたということでもある。さらに最近では、オーバークロック耐性の高いCPUやオーバークロック設定の充実したマザーボードが多く出回っており、簡単にオーバークロックを楽しめるようになっている。そのような状況から、CPUクーラーの重要性は増すばかりだ。
CPUクーラーに求められるものは、冷却性能と静音性、そして取り付けなどに関する扱いやすさの3点。CPUのリテールパッケージに付属しているリテールクーラーは十分な冷却性能と静音性を備えているし、取り付けも簡単である。
しかし、前述のオーバークロックを目的とした場合や、小型ケースにハイエンドCPUを搭載したい場合、さらなる静音性を求める場合は、もの足りなくなることがある。そんなときには、市販のCPUクーラーを活用しよう。
取り付け方法に個性あり
Intelのリテールクーラーのように、マザーボードの表側からピンを挿し込み固定するものや、AMDのリテールクーラーのようにフックで固定するもののほか、バックプレートやネジを使ってマザーボードの裏側から固定するものなどがある。
後者は大型モデルに多く、マザーボードに安定して取り付けることができる。取り付けに手間がかかるが、自作初心者はこのタイプが確実でオススメだ。

リテールのCPUクーラーと同じ取り付け方式を採用する製品は多い。取り付け自体は簡単だが、大型の製品ではヒートシンクなどがジャマになり、取り付けや取り外しが大変なこともある

ネジ止めするタイプのCPUクーラーは固定が安定し、冷却性能も高い傾向がある。取り付けはめんどうだが、最近はマザーボードの裏面に直接アクセスできるケースもあり、難易度は下がった
ケース内のエアフローをイメージして選ぼう
市販のクーラーには横から風を送るサイドフロータイプが多い。ケース内のエアフローは基本的に前面から吸って背面から排出されるように設計されている。サイドフロータイプのCPUクーラーを使えば、ケース内の空気の流れをある程度コントロール可能だ。

ビデオカードの熱を電源から出すハイエンドビデオカードの発熱は非常に大きいものだ。高性能なビデオカードを利用している場合にはビデオカード裏面の熱を、CPUクーラーを利用して電源から排出するのも一つの手だ

メモリなども冷やすメモリも意外と発熱源となっている。オーバークロック時ならなおさらだが、CPUクーラーの風がメモリに当たるようにするのもよい方法だろう
接触面に銅を採用したメンテフリーの水冷ユニット
- 水冷
- メンテフリー
- 12cm角ファン
- バックプレート
★
- Corsair Memory
- CWCH50-1
- 実売価格:10,000円前後

水冷ヘッドとポンプが一体になった水冷ユニット。メンテナンスフリーで12cm角ファンの搭載が可能なケースなら誰でも簡単に設置ができる。CPUとの接触面は、熱伝導率の高い銅を採用しており、同社の静音12cm角ファンも同梱されている。

CPUとの接触面は銅のプレートを採用することにより、冷却効率の向上を図っている
Specification 対応CPUソケット:LGA775/1156/1366、Socket AM2/AM3●ファン:12cm角(1,700rpm)●本体サイズ(W×D×H):70×70×60mm(水冷ヘッド)、120×25×150mm(ラジエータ)、120×25×120mm(ファン)●チューブ長:280mm●重量:約700g
安価なメンテフリーの水冷ユニット
- 水冷
- メンテフリー
- 12cm角ファン
- バックプレート
★
- CoolIT Systems
- The ECO Advanced Liquid Cooling
- 実売価格:8,500円前後

低価格なメンテナンスフリーの水冷ユニット。ファンとラジエータが一体になっており、これをケースの12cm角ファンマウントに取り付ける。冷却液は充填済みで、水冷ヘッドもあらかじめ配管されており、すぐに使用できる。
Specification 対応CPUソケット:LGA775/1156/1366、Socket AM2/AM3●ファン:12cm角(1,800rpm)●本体サイズ(W×D×H):60×48×30mm(水冷ヘッド)、120×25×155mm(ラジエータ)●重量:1kg
ファンの追加が可能な低価格クーラー
- PWM
- 9cm角ファン
- リテール方式
- Cooler Master
- Hyper TX3 RR-910-HTX3-GP
- 実売価格:2,800円前後

PWM機能搭載の9cm角ファンを搭載したCPUクーラー。3本のU字形ヒートパイプは、CPUに直接接触するタイプ。標準搭載ファンは一つだが、ファンを追加することで冷却性能をさらに高めることも可能だ。
Specification 対応CPUソケット:LGA775/1156、Socket 754/939/940/AM2/AM3●ファン:9cm角(800~2,800rpm)●本体サイズ(W×D×H):90×51×139mm●重量:470g
12cm角ファンを二つ搭載可能な大型クーラー
- PWM
- 12cm角ファン
- バックプレート
★★
- Cooler Master
- Hyper 212 Plus RR-B10-212P-GP
- 実売価格:4,500円前後

ヒートパイプは4本だが、ヒートパイプ直接接触タイプで、前述のHyper TX3の12cm角ファンバージョンとも言える構造。本誌2月号のテストでは冷却能力、静音性ともに優秀だった。追加で12cm角ファンをもう1基搭載できる。
Specification対応CPUソケット:LGA775/1156/1366、Socket AM2/AM3●ファン:12cm角(600~2,000rpm)●本体サイズ(W×D×H):120×79.7×158.5mm●重量:626g
特殊な溶接技術で冷却効果をアップ
- PWM
- 10cm角ファン
- リテール方式
- EVERCOOL
- Buffalo HPFI57-10025EA
- 実売価格:3,300円前後

赤い羽根のファンが特徴的なCPUクーラー。ファンは角形の外枠がなく、ネット代わりのフレームに覆われている。特殊な溶接技術を用い、フィンとヒートパイプの隙間をなくすことにより、放熱効果を高めている。
Specification 対応CPUソケット:LGA1156/1366●ファン:10cm(800~1,500rpm)●本体サイズ(W×D×H):110×72×145mm●重量:500g