Intel 5シリーズチップセット |
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ハイエンド製品からミドルレンジ製品に人気が集中 |
LGA1156対応のCore iシリーズでは、ビデオカード用のPCI ExpressレーンをCPU自身が持つことなどから、チップセットが1チップのみで構成されるようになった(LGA1366用は2チップ)。主力はP55だが、PCI Express 2.0の転送レートがフル性能の半分(2.5GT/s)しか出ないなど高機能ではないため、マザーメーカー側で独自機能を搭載するなどして差別化を図っている。マザー選びはその辺りの機能の見きわめが大切だ。なお、一部のCore iシリーズが搭載するGPUを使うにはH57かH55が必要。
LGA1366に対応するハイエンドチップ

Intel X58
Intel 5シリーズで、唯一2チップ構成を採る。PCI Expressのレーンを豊富に持ったハイエンド向けのチップセットだ
Intel 5シリーズの主力チップセット

Intel P55
LGA1156の主力チップセットでもっとも人気がある。PCI Expressレーンを8本、Serial ATA 2.5ポートを6基備える
GPUを使用可能だが搭載マザーが少ない

Intel H57
P55と同等の機能に加えて、GPUを内蔵したCore iシリーズのグラフィックス機能を使用できる
低価格路線のGPU対応チップ

Intel H55
H57の廉価版だが、こちらのほうが採用製品数が豊富。H57よりSerial ATAが2ポート少なく、RAIDには非対応
AMD 8シリーズチップセット |
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グラフィックス機能を備えたローエンド製品が熱い |
AMD 8シリーズのチップセットはすべてNorth/South Bridgeの2チップで構成される。全般的にIntel系よりもPCI Express 2.0のレーン数が多く、また、最新のSouth BridgeであるSB850では標準でSerial ATA 3.0(6Gbps)に対応するなど高機能だ。そのため低価格なマザーボードでも実用上十分な機能を持っており、上位クラスの高機能マザーボードもIntel系よりも追加チップが少なくリーズナブルな傾向だ。半面、CPU用電源回路などに豪華な設計を採用するようなハイエンド製品は少ない。
レーン数の豊富なハイエンドチップセット

AMD 890FX
42本ものPCI Expressレーンを内蔵しているハイエンドチップセット。マルチGPU機能をサポートしている
高性能GPUを内蔵したモデル

AMD 890GX
880G内蔵のGPUコアクロックを560MHzから700MHzに引き上げた上位モデル。搭載マザーも贅沢な傾向にある
低価格で人気のGPU搭載タイプ

AMD 880G
DirectX 10.1対応かつ強力なHD動画再生支援機能を持つGPUを内蔵。コストパフォーマンスの高いマザーが多い
GPU非搭載のスタンダードチップ

AMD 870
GPU非搭載のスタンダードタイプ。22本のPCI Expressレーンを持ち、比較的簡素な仕様のローエンド製品が多い
【検証環境】Crystal DiskMark 3.0d、3DMark Vantage Build 102
CPU:Intel Core i7-860(2.8GHz)、マザーボード:ASUSTeK P7P55D-E LX(Intel P55)、メモリ:Kingston Technology KHX16000D3T1K3/3GX(PC3-16000 DDR3 SDRAM 1GB×3 ※2枚のみ使用)、ビデオカード:ATI Radeon HD 5970リファレンスカード、システムHDD:Seagate Barracuda 7200.12 ST3500418AS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、500GB)、USB 3.0対応外付けHDD:バッファロー HD-H1.0TU3(1TB)、Serial ATA 3.0対応SSD:Micron Technology Crucial RealSSD C300 CTFDDAC256MAG-1G1(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版
ワンポイント!USB 3.0&Serial ATA 3.0対応マザーを選ぶ際の注意点
このページのコラムもあわせて見てほしいが、Intel P55/H57/H55などは普通にUSB 3.0やSerial ATA 3.0のコントローラを接続しても、システムバスの帯域不足で性能を発揮できない。これを解消するために2種類の方法が用いられている。
一つはASUSTeKの「IO Level UP」機能などで、CPUが持つ16 本のビデオカード用のPCI Expressレーンを8レーンずつに分割して、片方をUSB 3.0 またはSerial ATA 3.0に接続するというもの。性能を出せるのはどちらかのデバイスのみで、ビデオカードの帯域も8レーンに減るが、コストはかからない。もう一つは、「ブリッジチップ」と呼ばれるICを使う方法で、マザーのコストは上がるが帯域不足で悩む必要がなくなる。
グラフは、IO Level UPを使ってどの程度それぞれのインターフェースが対応するストレージの性能を引き出せるかを比較したもの。USB 3.0側に十分な帯域を割り当てた「USB優先」とその逆の「Serial ATA優先」で明確な違いが出ているのが分かる。一方ビデオカードはレーンが半減してもあまり性能に影響していない。ただしUSB 3.0およびSerial ATA3.0対応デバイスの両方を使いたいならブリッジチップ搭載製品がお勧めだ。
帯域の足りているもの |
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Intel X58、AMD 890FX、890GX、880G、870 |
帯域の足りていないもの |
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Intel P55、H57、H55 |

Intel P55系のPCI Expressのレーン不足をどう補うか?

CPUのPCI Expressレーンを使う
ビデオカード用のレーンを半分にする代わりにUSB 3.0かSerial ATA 3.0のどちらかを5GT/sで接続できる。基板上のボタンやBIOSから設定可能

PCI Express用のブリッジチップを実装
チップセットとUSB 3.0/Serial ATA 3.0コントローラの間にPCI Expressのレーン数を増加するブリッジチップを置き、帯域不足を補う方法もある
ワンポイント!グラフィックス内蔵タイプの性能差を知っておこう
IntelはCPU内に、AMDはチップセット内にグラフィックス機能を内蔵する方式を採っているが、それぞれどれくらいグラフィックス性能に差があるのか、ベンチマークソフトの3DMark06を実行し、比較的ライトなゲームシーンを描画するSM2.0のスコアを計測した。
結果として、AMD 890GXが比較的よいスコアを出しているが、大差は付いていない。そもそもこの程度のスコアではUSB 3.0&Serial ATA 3.0対応マザーを選ぶ際の注意点どれもまともな3Dゲームのプレイは難しい。FINAL FANTASY XIVのベンチマークを動かしたところ、ほとんどのシーンで処理落ちが発生しており、実際ゲームはできそうになかった。


内蔵GPUはメインメモリをビデオメモリとして利用するが、AMD系ではキャッシュとしてLFB(Local Flame Buffer)を実装するモデルがある。LFBなしと比べると約12%の性能向上が確認できたが、遊べるゲームが増えるほどの差はない
【検証環境】3DMark06 Build 120
CPU:Intel Core i5-661(3.33GHz)、AMD PhenomII X6 1055T(2.8GHz)、マザーボード:ASRock H55/USB3(Intel H55)、ASUSTeK M4A89GTD PRO/USB3(AMD 890GX+SB850)、GIGABYTE GA-880GMA-UD2H(AMD 880G+SB850)、メモリ:Corsair Memory CMX6GX3M3A1333C9(PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×3 ※2枚のみ使用)、HDD:Western Digital WD Caviar Black WD1001FALS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、1TB)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版