NVIDIAもDirectX 11対応 役者が揃ったビデオカード市場
ATI(AMD)に続いてNVIDIAからもDirectX 11対応GPUが登場してきたことに加えて、ゲームタイトル、ベンチマークテストもDirectX 11への対応が進み、いよいよ本格的にDirectX 11時代と言える状況になってきた。
DirectX 11で追加された技術の中でも、粗いポリゴンデータをGPU側で細かく分割する「テッセレーション」は3Dゲームへの影響力が大きい。高さ情報を持ったテクスチャと組み合わせるディスプレイスメントマッピングにより、効率よく複雑で詳細な描画ができる。距離などに応じて詳細度を変える表現も容易にできるため、今後のゲームタイトルで広く活用されることが期待されている。なお、ATIがすでに全ラインナップでDirectX 11対応を完了しているのに対し、NVIDIAはメインストリーム以下のモデルが揃っていない。ただし、NVIDIAのハイエンドGPU「GeForce GTX 480/470/465」は、アーキテクチャが大幅に改められ、テッセレーションの処理を重視した構造となっている。
映画や家庭用テレビでのトレンドを受けて、PCでも立体視技術に注目が集まっている。現在はNVIDIAの「3D Vision」が先行しており、専用の3Dメガネと既存のゲームを3D化できるドライバを用意。対応液晶ディスプレイ(120Hzのリフレッシュレートに対応)も発売されており、すでに立体視が楽しめる環境が提供されている。一方、ATIもGPUメーカー固有でないオープンな標準規格「Open Stereo 3D」を主導することを表明して追随する構えを見せており、今後の動向に注目したい。

DirectX 11時代が到来目前
DirectX 11のテッセレーション機能による表現の違い。ドラゴンの皮膚の立体感を見ればその効果は一目瞭然だ。NVIDIAが対応GPUをリリースしたこともあり、これからDirectX 11対応ゲームがどんどん登場してくることが予想される

PCでも3Dゲーム/映画が楽しめる
PC用の立体視技術ではNVIDIAの「3D Vision」が先行しているが、ATIはGPUメーカーを問わない標準規格「Open Stereo 3D」を主導することを表明し、追随する構えを見せる
3DMark 11、ついに発表
Futuremarkの定番ベンチマークテスト「3DMark」シリーズの最新バージョン「3DMark 11」が発表され、COMPUTEX TAIPEI 2010のMSIブースで動作デモが披露された。DirectX 11ネイティブ対応のオリジナルエンジンを採用しており、テッセレーションやCompute Shaderなどの新技術を積極的に活用したものになると言う。配信開始は2010年の第3四半期が予定されているが、先行公開された美しいデモ動画は早くも話題を呼んでいる。

潜水艦による深海探索の様子を描いたデモ動画「Deep Sea」。海底の岩石やサンゴ、沈んだ船舶などをテッセレーションを使ってリアルに描写している
ビデオカード選びの基本 GPUの性能と消費電力を知る
具体的にビデオカードを選ぶ際にチェックしたいのは、まずGPUの種類だ。ビデオカードの性能や消費電力はGPUによってほとんど決まってくるので、まずはこれを見てみよう。
GPUの性能の目安として、下のグラフにはDirectX 10世代のベンチマークテストである3DMark Vantageのスコアと消費電力を掲載している。ATI Radeon HD 5970はデュアルGPUなので、シングルGPUとしてはGeForce GTX 480 が最速である。ほぼ搭載製品の価格順の並びとなっているが、GeForce GTX 465だけは、それより5,000円ほど安価なRadeon HD 5830と同等かやや上といった結果で、DirectX 10環境におけるコストパフォーマンスは今一つと言える。
消費電力については、Radeon H D5970とGeForce GTX 480の高さが目立つ。高負荷時には600Wを超えるだけに、扱いにはかなり気を使う必要がある。また、相対的には、GeForce GTX 465やRadeon HD 5830、GeForce GTS 250などが性能のわりに消費電力が高く、電力効率は今一つ。逆に、Radeon HD 5770/5670などは良好と言える。
以上の結果を踏まえ、ビデオカードを購入するときは、性能と消費電力のバランスを考え、単純に性能の高いものを買うのではなく、自分の使用用途に合ったビデオカードを選択したい。
なお、静音性については、リファレンス設計でGPUが同じであればクーラーも共通のため、GPUの消費電力が静音性の目安になる。静音性を重視するなら、消費電力の低いカードを選ぼう。もしくは、ビデオカードベンダーが独自に静音性や冷却性能を高めた大型GPUクーラーを採用しているモデルにも注目してみるとよいだろう。

大作MMORPGの続編がついに登場
「FINAL FANTASY XIV」の公式べンチマークテストが登場。本タイトルはDirectX 11世代のタイトルではない(DirectX 9.0c必須)が、多くのユーザーが待望しているだけに影響も大きそうだ
FINAL FANTASY XIV (C)2010 SQUARE ENIX CO.,LTD.All rights reserved.
【検証環境】CPU:Intel Core i7-965 Extreme Edition(3.2GHz)、マザーボード:ASUSTeK P6T Deluxe V2(Intel X58+ ICH10R)、メモリ:OCZ Technology OCZ3RPR1866LV6GK(PC3-14900 DDR3 SDRAM 2GB×3)、HDD:Western Digital WD Caviar Blue WD7500AAKS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、750GB)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit 版