冷却性能や拡張性には余裕を持って
ケースの冷却能力、放熱性能は、現在のPCにおいて重要なポイントだ。とくにビデオカードやHDDなどの寿命には直結するポイントで、ケースの冷却能力不足のために1年足らずで壊れてしまうことすらある。壊れてから後悔するのは避けたいところだ。単に冷却性能が高ければよいのかと言うとそうでもなく、冷却を重視してファンやダクトの多いケースを選べば、動作音の漏れが大きくなる。逆に言えば、使用するパーツ構成に見合った冷却性能があれば、静音向けのシンプルなケースでもよいわけだ。
実際の選択には、この性能バランスにデザインの好みもかかわってくるが、最新のPC事情では、冷却性能以外にも押えておきたいポイントがいくつかある。SSDの普及による2.5インチベイの搭載や、大型ビデオカードに関連する、ケースの奥行きなどがそうだ。将来にわたっての用途をしっかり把握する自信がなければ、多少余裕のあるものを選んでおくのが長く付き合うコツと言える。

大型ビデオカードは入るか?

最近は手頃な価格のビデオカードでも結構大きい。古いケースだと、入ってもスペース的にかなり苦しいことも多い

microATXケースでも大型ビデオカードを考慮したものが増えている。ただ、静音性と冷却性能を考えると大型に分があるのは確かだ

【トレンド】今、押さえておきたいケースのポイント

2.5インチベイの有無小さく、発熱の少ないSSDは意外なスペースに取り付けられる。場所を問わず、とにかく2.5インチベイがあるだけで使い勝手はよくなるのだ

大型CPUクーラーへの対応マザー背面に固定具を取り付けるタイプの大型CPUクーラーの換装は、こうしたメンテナンスホールがあると楽。装備したケースも一気に増加中である

天板ファン&ダクトは必要か?天板に大型ファンやダクトを備えたケースは、素直な放熱が可能だが、小さいケースではそれで空間が圧迫されることもあり、静音性も下がるので注意したい

底面ダクトで電源のエアフローを独立底部電源配置のケースは多いが、意外に電源のエアフローの設計は違う。使用する電源の構造も含めて、購入前によく確認しよう
【検証環境】CPU:Intel Core i7-860(2.8GHz)、マザーボード:ASUSTeK P7P55D-E EVO(Intel P55)、メモリ:UMAX Cetus DCDDR3-4GB-1333(PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2)、ビデオカード:MSI R5770 HAWK(ATI Radeon HD 5770)、HDD:Seagate Barracuda 7200.12 ST3500418AS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、500GB)、電源:Corsair Memory CMPSU-850HXJP(850W)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版
【検証内容】検証環境に示したパーツを各ケースに組み込み、HWMonitor 1.15にて各部の温度を測定。動作音はそれぞれケース正面から約20cmの距離で計測。ファンの回転数を調整できる製品は、回転速度を最小と最大に設定し、それぞれ計測。アイドル時はOS起動から10分後の値、高負荷時は3DMark Vantageを動作させた際の最高値。暗騒音は30dB以下(30dB以下は計測不能)。室温23℃。[各部の値]CPU:もっとも値の大きいCoreの値、チップセット:SYSTEMの値、ビデオカード:GPU Coreの値、HDD:HDDの値