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TEXT:鈴木雅暢 |
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デュアルかクアッドか?IntelかAMDか? |
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最新CPU総合ガイド |
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新モデルが追加され、ますます複雑になってきたCPUラインナップ。ここではIntel、AMD、それぞれの現行のCPUラインナップを整理しつつ選択のポイントを解説する。 |
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ここでは2万円台後半以上の価格帯をハイエンドと位置付けているが、このクラスのトレンドは、何と言ってもクアッドコアCPUである。2007年の夏にCore 2 Quad Q6600が大幅値下げされて以来ずっとクアッドコアは市場の中心的存在だが、AMDのクアッドコアであるPhenomの登場、そして45nm世代のYorkfieldの登場によって(品薄で水を差されてはいるが)、さらに「これからはクアッドコアだ」という空気になってきている。
しかし、クアッドコアでコア数やその価格に応じた満足感が得られるかどうかは、使うソフトや使い方に左右される。実際に購入を検討する場合、同価格帯を見れば、3GHzクラスの高クロックデュアルコアCPUも入手できる。クアッドコアか、あるいはより高クロックのデュアルコアか、この選択が大きなポイントとなる。AMDのPhenomがエラッタ問題などから敬遠されている現状、これは「高クロックのCore 2 Duoか、Core 2 Quadか」と置き換えてもよいだろう。
この判断をするには、やはり両者の特性をしっかり把握することが大切。基本的なところからおさらいしてみよう。 |
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CPU内部の計算をする部分を「コア」と言い、これを二つ内蔵するデュアルコアCPUと四つ内蔵するクアッドコアCPUの2種類が現在の主流である。複数のコアがあると、マルチコアに最適化されたソフトでコア数に比例した性能を発揮するほか、マルチタスク環境で一度にいろいろな処理が重なってもレスポンスが低下しないメリットがある。ただし、マルチコアに最適化されていないソフトを単体で利用する場合にはコア数が多いメリットは活かすことができない |
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Intel |
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Core 2 Quad Q6000シリーズ |
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65nm世代のクアッドコアCPUで、開発コードネームは「Kentsfield」の名で呼ばれる。2007年夏にCore 2 Quad Q6600が大幅に値下げされたことがきっかけで人気が爆発し、クアッドコアの普及に大きく貢献した。デュアルコアを二つ貼り合わせた構造となっており、システムバス1,066MHz、2次キャッシュ容量は8MB(4MB×2)。 |
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製品名 |
周波数 |
コア数 |
2次キャッシュ |
Core 2 Quad Q6700 |
2.66GHz |
4 |
4MB×2 |
Core 2 Quad Q6600 |
2.4GHz |
4 |
4MB×2 |
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製品名 |
3次キャッシュ |
システムバス |
実売価格(前後) |
Core 2 Quad Q6700 |
- |
1,066MHz |
64,000円 |
Core 2 Quad Q6600 |
- |
1,066MHz |
31,000円 |
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Intel |
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Core 2 Duo |
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Intelの主力デュアルコアCPU。45nm世代のE8000シリーズ(Wolfdaleコア)と65nm世代のE6000シリーズ(Conroeコア)、そして65nm世代の廉価版であるE4000シリーズの3種類のラインナップがある。2次キャッシュ容量など主なスペックの違いは表のとおりだが、3月中旬現在E8000シリーズは深刻な品薄状態となっており、この状態は5月か6月まで続きそうだ。 |
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製品名 |
周波数 |
コア数 |
2次キャッシュ |
Core 2 Duo E8500 |
3.16GHz |
2 |
6MB |
Core 2 Duo E8400 |
3GHz |
2 |
6MB |
Core 2 Duo E8200 |
2.66GHz |
2 |
6MB |
Core 2 Duo E6850 |
3GHz |
2 |
4MB |
Core 2 Duo E4500 |
2.2GHz |
2 |
2MB |
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製品名 |
3次キャッシュ |
システムバス |
実売価格(前後) |
Core 2 Duo E8500 |
- |
1,333MHz |
37,000円 |
Core 2 Duo E8400 |
- |
1,333MHz |
30,000円 |
Core 2 Duo E8200 |
- |
1,333MHz |
25,000円 |
Core 2 Duo E6850 |
- |
1,333MHz |
30,000円 |
Core 2 Duo E4500 |
- |
800MHz |
15,000円 |
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デュアルコアCPU
(Core 2 Duo) |
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クアッドコアCPU
(Core 2 Quad) |
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二つ。マルチコアに最適化されていないゲームなどでは、コアの数よりもクロックの高いほうが有利 |
コア数 |
四つ。4コア以上のマルチコアに最適化されたエンコードやCGレンダリングなどではデュアルコアの1.5~2倍近い性能 |
最高は3.16GHz、同価格帯で比べるとクアッドコアCPUよりも500~600MHz以上クロックが高い |
クロック |
2.83GHzが最高。普及価格帯(4万円以下)の製品では2.4~2.66GHzにとどまる |
65W。クロック3GHz以上のモデルでもTDP 65Wと低い消費電力をキープしている |
TDP |
95W。さすがに負荷時の消費電力、発熱ではデュアルコアCPUより大きいが、コア数のわりには小さい |
E8500(3.16GHz)が3.7万、E8400(3GHz)が3万、E6850(3GHz)が3万、E8200(2.66GHz)は2.5万 |
価格 |
Q9450(2.66GHz)が3.8万、Q9300(2.5GHz)が3.2万、Q6600(2.4GHz)が3.1万 |
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「コア」というのはCPU内部の計算をする部分のことだ。このコアが複数あると、作業を分担して行なうことができる。このコアをショップで働く店員に置き換えて考えてみよう。たとえば、100製品にラベル貼りをする場合、四人で同時にやれば25製品分の時間で終わる。また、同時に四人の来客があった場合、店員一人ならば一人にしか応対できず、ほかの三人を待たせてしまうが、四人いれば誰も待たせずにできる。
上記のラベル貼りの例は、(4コア以上の)マルチコアに最適化されたアプリケーションでの作業に相当する。四つのコアが同時に作業できるように処理を分割できるアプリケーションであれば、コアが四つあるクアッドコアは爆発的な速さを発揮する。そして、接客の例は、複数のソフトが同時に動く「マルチタスク」環境にあてはまる。一度にいろいろな作業が重なってもサクサクと快適なレスポンスが得られる。これがクアッドコアのメリットの例だ。
しかし、もしラベル貼り用の機械が二つしかなければ、店員が四人いても同時にラベル貼り作業をできるのは二人だけ。これと同じくアプリケーションが2コアまでしか想定していない設計であれば、コアが四つあっても、コアが二つしかないデュアルコアCPUと速度は変わらない。この場合、店員一人の作業スピードが速いほうが早く終わる。また、店頭へ四人同時に来客があるなんてことはまれで、店内には一人か二人しか客がいないような店であれば、接客用の店員が四人もいても働くのはせいぜい二人。つまり、ぽつりぽつりと単発でソフトを使うだけならばコアが二つでも四つでも差は実感できないだろう。これが、クアッドコアが威力を発揮できないケース。
4コア以上のマルチコアへの最適化はエンコード、CGレンダリング、画像処理など、クリエイティブ系のアプリケーションを中心に進んでいる。一方、クアッドコアのメリットを感じにくい用途の代表としては、3Dゲームが挙げられる。4コア以上のマルチコアに対応しているタイトルはほとんどない上、プレイ中のユーザーは基本的にゲームのみに集中するはずで、ほかのアプリケーションの出番はなく、マルチタスクとなる場面も考えにくい。それぞれの分野に属するアプリケーションでの具体的な性能の差などは、こちらからのベンチマークで確認してほしい。 |
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四つのコアを内蔵するクアッドコアCPUは、デュアルコアCPUに比べて消費電力や発熱も大きい。高品質な電源部を備えたマザーボードが安心だ |
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4コア以上のマルチコアに最適化が進んでいるのはエンコードやレンダリングなどクリエイティブ系アプリが中心。クアッドコアのパワーが活きる |
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PCゲームの多くはマルチコアに最適化されていない。単体で動作するだけにクロックの高いデュアルコアのほうが有利だ
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