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TEXT:鈴木雅暢 |
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2007年半ばからずっと盛り上がりを見せているのが、1万円前後の低価格帯、1万円以下の超低価格帯だ。もうこのクラスでもデュアルコアCPUは当たり前、マルチタスク性能が求められるWindows Vistaを快適に利用するには十分な性能を備えている。コストパフォーマンスが抜群で低消費電力のため、小型PCとの相性もよい。ライトユーザーの実用向けのCPUとして、そしてマニア層のセカンドマシン向けとして最適である。ここ最近でもCeleron Dual-Core E1200やAthlon X2 4850eといった新CPUの発表に加え、低価格CPUをフルに活かすAMD 780Gチップセットの登場などトピックが満載だ。
このクラスのポイントはやはりコストパフォーマンス、そして小型静音PCを意識した場合の消費電力だろう。ただ、コストパフォーマンスについては奥が深い。対応マザーボードを含めたシステム全体としてのコストパフォーマンス、オーバークロックが目的ならば「どこまで遊べるか」など、単体CPUの性能と価格だけでは分からない部分でのオイシさも重要になってくる。2007年にPentium Dual-Coreがブレイクするきっかけとなったのも、タイミングよく廉価版の945GCチップセットが投入され、それを搭載した安価なマザーボードが流通したことが大きかった。 |
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AMD |
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Phenom |
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AMDの新世代主力ブランド。一つのダイの中に四つのコアを作り込んだ「ネイティブクアッドコア」が特徴。クアッドコアCPUとしては割安で性能も悪くはないが、TDP 95Wという数値の感覚以上に消費電力や発熱が大きい上、TLB関連にエラッタが発見された(回避すると性能が落ちる)ことから苦しい立ち上がりとなっている。 |
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製品名 |
周波数 |
コア数 |
2次キャッシュ |
Phenom 9600 Black Edition |
2.3GHz |
4 |
512KB×4 |
Phenom 9600 |
2.3GHz |
4 |
512KB×4 |
Phenom 9500 |
2.2GHz |
4 |
512KB×4 |
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製品名 |
3次キャッシュ |
システムバス |
実売価格(前後) |
Phenom 9600 Black Edition |
2MB |
3,600MHz |
29,000円 |
Phenom 9600 |
2MB |
3,600MHz |
29,000円 |
Phenom 9500 |
2MB |
3,600MHz |
29,000円 |
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AMD |
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Athlon X2/64 X2 |
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マーケティング戦略の都合上、二つのブランドに分かれているが基本的な内部構造は同等である。Athlon X2の各モデルはTDPが45Wに設定されているが、Athlon 64 X2の下位モデルも実質的な消費電力は小さい。Phenom登場後、低価格化が進行しており、安価で多機能なマザーボードが流通していることもあって、コストパフォーマンスもきわめて優秀である。 |
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製品名 |
周波数 |
コア数 |
2次キャッシュ |
Athlon 64 X2 6400+ Black Edition |
3.2GHz |
2 |
1MB×2 |
Athlon 64 X2 6000+ |
3GHz |
2 |
1MB×2 |
Athlon 64 X2 5000+ Black Edition |
2.6GHz |
2 |
512KB×2 |
Athlon X2 4850e |
2.5GHz |
2 |
512KB×2 |
Athlon X2 BE-2350 |
2.1GHz |
2 |
512KB×2 |
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製品名 |
3次キャッシュ |
システムバス |
実売価格(前後) |
Athlon 64 X2 6400+ Black Edition |
- |
2,000MHz |
20,000円 |
Athlon 64 X2 6000+ |
- |
2,000MHz |
19,000円 |
Athlon 64 X2 5000+ Black Edition |
- |
2,000MHz |
12,000円 |
Athlon X2 4850e |
- |
2,000MHz |
12,000円(予想) |
Athlon X2 BE-2350 |
- |
2,000MHz |
10,000円 |
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Intel |
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Pentium Dual-Core |
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Core 2 Duoの下位に位置付けられる廉価版デュアルコアCPU。内部構造はCore 2 Duoと共通だが、2次キャッシュ容量をCore 2 Duo E4000シリーズよりもさらに少ない1MBとすることで差別化されている。コストパフォーマンスの高さからライトユーザーの実用PC向けとして人気が高い。オーバークロック耐性が高いことでも知られている。 |
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製品名 |
周波数 |
コア数 |
2次キャッシュ |
Pentium Dual-Core E2220 |
2.4GHz |
2 |
1MB |
Pentium Dual-Core E2200 |
2.2GHz |
2 |
1MB |
Pentium Dual-Core E2180 |
2GHz |
2 |
1MB |
Pentium Dual-Core E2160 |
1.8GHz |
2 |
1MB |
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製品名 |
3次キャッシュ |
システムバス |
実売価格(前後) |
Pentium Dual-Core E2220 |
- |
800MHz |
12,000円 |
Pentium Dual-Core E2200 |
- |
800MHz |
11,000円 |
Pentium Dual-Core E2180 |
- |
800MHz |
10,000円 |
Pentium Dual-Core E2160 |
- |
800MHz |
9,000円 |
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Intel |
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Celeron Dual-Core |
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Intel伝統のバリューブランド「Celeron」として初のデュアルコア対応モデル。Pentium Dual-Coreよりもさらに低価格のエントリー向けとして位置付けられている。基本構造はCore 2 Duo、Pentium Dual-Coreと共通で、共有型2次キャッシュの容量をPentium Dual-Coreの1MBもよりもさらに少ない512KBとしている。 |
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製品名 |
周波数 |
コア数 |
2次キャッシュ |
Celeron Dual-Core E1200 |
1.6GHz |
2 |
512KB |
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製品名 |
3次キャッシュ |
システムバス |
実売価格(前後) |
Celeron Dual-Core E1200 |
- |
800MHz |
7,000円 |
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■ |
UVD付きのAMD 780Gの登場でAMD CPUの魅力がアップ |
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そんな意味で今もっとも注目したいのがAMD 780Gチップセットの登場だ。AMD 780Gは、AM2+プラットフォーム対応の最新グラフィックス機能統合型チップセットで、内蔵グラフィックスコアはDirectX 10対応でHD動画再生支援機能(UVD)を内蔵。Radeon HD 3400シリーズと連係してパフォーマンスを向上させる「Hybrid Graphics」という機能までも持つ。ちょうどこのタイミングでSouth Bridgeも新型のSB700に更新されており、目新しいフィーチャーが満載の魅力的な仕様となっている。
なかでも、グラフィックス機能統合型チップセットとして初めてUVDを搭載したのは非常に大きい。HDMI出力にも標準で対応しており、搭載マザーボードもGIGABYTEの「GA-MA78GM-S2H」などに代表されるように、1万円台前半の低価格ながら、チップセットの機能を活かした機能豊富な製品が登場し、人気を集めている。
すでにTDP 45WをうたうAthlon X2の消費電力の低さは定評のあるところ。HDコンテンツがサクサク楽しめる小型静音PCが手頃な低価格で組める環境ができたわけで、これは本当に「オイシイ」話だろう。Phenomの登場以来、激しく値下がりしているAthlon 64 X2や、Athlon X2ブランドの新モデル「4850e」も俄然魅力的に見えてくる。
もちろん、IntelのCPUも相変わらず魅力は大きい。Pentium Dual-Coreは動作クロック2.4GHzのE2220が登場、CPU単体でのコストパフォーマンスではAthlon 64 X2にもヒケを取らない。CeleronブランドのデュアルコアCeleron Dual-Coreも、1万円を大きく切る価格ながらなかなかのオーバークロック耐性で「遊べる」CPUとして安定した人気を獲得している。
ただし、945GCチップセットやG31チップセットは機能面ではAMD 780GどころかAMD 690Gにも大きく劣っており、AMDに比べると低価格な対応マザーボードに魅力的な製品があまりない点は否めないところ。このクラスにおいては、現在のところはAMD CPUのほうに勢いがあると言えそうだ。 |
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モデルナンバー体系は迷走を続けているが、TDP 45Wで低消費電力をアピールしたAthlon X2は、すっかり小型静音PC向けのブランドとして定着 |
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GIGABYTEのAMD 780Gチップセット搭載マザーボード「GA-MA78GM-S2H」。South Bridgeには機能が強化されたSB700を搭載 |
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■ |
ケタ違いのゴージャスさ Skulltrailに注目! |
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開発コードネーム「Skulltrail」の名で呼ばれていたIntelのエンスージアスト向けデュアルソケットプラットフォームが始動した。同社のサーバー/ワークステーション向けCPUであるXeonのプラットフォーム環境をPC向けにアレンジしたもので、クアッドコアCPUのデュアル構成による合計8コアを実現するとともに、フルレーンのSLIに対応するゴージャスなプラットフォームだ。
Skulltrailを構成するのは「Core 2 Extreme QX9775」と「Intel 5400チップセット」を搭載したIntel製ExtendedATXマザーボードの「D5400XS」。Core 2 Extreme QX9775は、45nm世代のクアッドコアCPUで、動作クロックは3.2GHz、システムバス1,600MHzに対応。マザーボードの「D5400XS」にはNVIDIAのPCI Expressスイッチチップ「nForce 100」を2基搭載することで16レーンのPCI Express x16スロットを4本用意している。Intel製チップセットを搭載したマザーボードでNVIDIA SLIがサポートされるのは初めてのことだ。
8コアCPU/マルチGPU構成、さらに推奨電源出力も1,000W以上(2CPU/2DIMM/2GPU構成の場合)とあらゆる面でケタ違い。一般ユーザーにはあまりにも非現実的だが、エンスージアストの憧れ的なフラグシップとしてこのような存在があってもよいだろう。 |
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Core 2 Extreme QX9775。Yorkfieldコアで動作クロックは3.2GHz、システムバス1,600MHz、2次キャッシュ12MB。ソケット仕様はLGA771だ |
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Intel 5400チップセット搭載マザーボード「Intel D5400XS」。FB-DIMMソケットを4基、PCI Express x16スロットを4本搭載し、SLIに正式対応 |
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