ゲームパフォーマンスを計測
長くマルチコアCPUのメリットが薄いジャンルの代表であった3Dゲームだが、ゲームエンジンの革新とともにマルチスレッドへの対応が進んでいる。
Grand Theft Auto IV ベンチマーク
CPUの同時処理スレッド数がゲームのパフォーマンスに大きな影響を与えるタイトルとして、まずはGrand Theft AutoⅣのベンチマークモードの結果を紹介しよう。マルチスレッドへの対応は4スレッドまでで、2スレッド同時処理のPentium G6950が大きく劣るも、残る3CPUの差は比較的小さい。クアッドコア前提のタイトルと言えそうな結果であり、ゲームを取り巻く環境の変化を感じさせる。
GTAと言えば広く知られたシリーズであり、いよいよゲームも本格的にマルチスレッド対応が進展しつつあると言えるだろう
バイオハザード5 ベンチマーク
続いて紹介するバイオハザード5もCPUのコア/スレッド数がゲームパフォーマンスに大きな影響を与えるタイトルだ。4スレッドまでのi5-661と8スレッド対応のi7-870の間に大きな差が付いており、最大8スレッドに対応していることがよく分かる結果だ。こちらも世界的に有名なシリーズであり、ほかのタイトルに与える影響は大きいと思われる。
美麗なグラフィックスに目を奪われる。ベンチ結果からは、快適に遊ぶには4スレッド以上に対応したCPUが必須と言える
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
最後に紹介するのは6年前に発表されたFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3の結果だ。2スレッド同時処理のタイトルであり、デュアルコアのPentium G6950もまずまずのスコアを出している。それでもi7-980Xのスコアは飛び抜けており、古いタイトルでも最新の6コアCPUは十分性能を発揮するのが分かる。クロックが低いi7-870の結果がよいのもTurbo Boostの恩恵と思われる。
状況に応じて無理なく自動でオーバークロックするTurbo Boostなどの機能によって、動作クロックが大きく影響するタイトルでも好結果だ
まとめ
苦手分野が少ないクアッドコアCPU
こうして見てくると、現在のマルチコアCPUは、マルチスレッド対応アプリケーションはもちろん、非対応のものでも十分なパフォーマンスが得られることが分かる。ただ、Hyper-Threadingにも、Turbo Boostにも対応しないデュアルコアCPUであるPentium G6950は非力な場面が目立つため、できれば4スレッド同時処理に対応したCore i3シリーズ以上を選びたいところだ。AMD製CPUの場合も、クアッドコアのAthlonII X4シリーズ以上をお勧めしたい。マルチスレッド対応をうたっていても、8スレッド以上に対応するアプリケーションはまだ少ないため、現状では4スレッド同時処理に対応していれば不満を感じる場面はあまりないはずだ。
そして、エンコードやゲームのようなジャンルでは、マルチスレッドに対応した新しいアプリケーションがいくつも登場してきている。CPUのマルチコア化の流れを受けて、ゆっくりではあるものの、アプリケーション側の革新も進んでいるのだ。マルチコアCPUの新しい使いみちを積極的に探してみてはいかがだろうか。
GPGPUとの相乗効果
GPUが搭載する豊富な演算ユニットを活かし、CPUのように汎用的に使おうというのがGPGPUのコンセプトだ。NVIDIA CUDAやATI Stream、Microsoftが推進するDirectComputeなど、GPGPU環境はかなり整備され、すでに対応アプリケーションも登場してきている。
多数の演算ユニットで並列に処理するGPGPUは、マルチコアCPU同様、エンコードとの相性がよい。下の二つのグラフを見れば分かるとおり、CUDA対応アプリであるMediaShow Espressoでは、CPU単独よりもGPUを使ってエンコードしたほうが約2倍も高速である。この結果を見て、マルチコアCPUの意義を疑う方もいるだろう。しかし、すべての処理をCUDAによって行なえるわけではないため、終了までの時間が短縮されはするが、依然としてデュアルコアCPUは遅く、6コアCPUは速い。GPGPUはCPUのアシスト役と考えればよいだろう。
GPUをグラフィックス以外の用途に使うGPGPU対応エンコーダ
数百の演算ユニットでデータを一斉に処理するGPUの特性を活かし、エンコードや物理演算、暗号解読などでGPGPU対応ソフトが増えている
GPGPU対応エンコーダ
CyberLinkのMediaShow EspressoはNVIDIA CUDAとATI Streamの両方に対応した動画エンコーダ。もちろんCPU単体でのエンコードも可能
【検証環境】マザーボード:ASUSTeK P6X58D-E(Intel X58+ ICH10R)、ASUSTeK P7P55D-E EVO(Intel P55)、メモリ:Corsair Memory CMX6GX3M3A1333C9(PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×3 ※LGA1156環境では2枚のみ使用)、ビデオカード:MSI N465GTX Twin Frozr II(NVIDIA GeForce GTX 465)、HDD:Seagate Barracuda 7200.11 ST3320613AS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、320GB)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版