定番ベンチマークテストで
現行の主力CPUの実力を検証
これまでの項では各CPUの位置付けや特徴について解説してきたが、具体的な力関係はどうなのだろうか。ベンチマークを使って検証していこう。参考として3、4年前に定番CPUとして活躍したCore 2 Duo E6600も掲載している。
まずは総合性能の目安として「PCMark Vantage」の結果を見てみよう。これについては見る前に頭に入れておく事項が一つある。一部のモデルでは暗号化処理を高速化する新命令「AES-NI」を搭載しているが、テスト内容にこれに対応した処理が含まれており、AES-NI対応モデルではスコアがかなり伸びる。該当するのは、Core i7-980X XE、Core i5-661、Core i5-655Kの3モデルだ。公平さを欠くとも考えられるが、Windows 7標準の暗号化APIを利用したテストでもあり、実際の性能を反映しないというわけでもないため、今回はそのまま掲載している。
そのAES-NIの効果もあって、980X XEのスコアが突出しているが、それ以外ではLynnfieldコアのCore i7、Core i5のスコアのよさが目立つ。AMDで唯一それらに匹敵するスコアを出しているのが、クアッドコアのPhenomII X4 965 BE。6コアのPhenomII X6よりもこちらのほうがスコアがよいのは、PhenomII X4のほうが動作クロックが高いことが影響していると思われる。マルチスレッド性能もそれなりに影響するテスト内容ではあるが、2コアから4コアへ増える効果は大きくても、4コアから6コアへ増えてもあまり効果は大きくないのだろう。ただ、1090T BEが1055Tよりスコアが低い点については原因不明で、何度か再計測したが、PhenomII X6についてはこのような値しか出なかった。
低価格帯ではAMD勢が強い。AthlonII X4 635がCore i3-530を上回っているし、AthlonII X3 440 もそれに近いスコア。AthlonII X3 440は実売価格8,000円前後でCore i3-530よりも3,000円ほど安いのだからコストパフォーマンスの高さは歴然だ。また、AthlonII X2もPentium G6950をハッキリ上回っている。

PCMark Vantage
WebブラウズからHD動画の再生/録画まで日常的な操作全般をシミュレートする内容で、総合的な性能の目安になる
3DMark Vantageの結果
次はDirectX 10世代のベンチマークテスト「3DMark Vantage」で3Dゲームのパフォーマンスの目安を見てみよう。標準設定のPerformanceと高負荷設定のExtremeの2種類を計測している。GPU性能の比重が大きいExtremeは多くのCPUが7,100~7,200のスコアで横並び。どれを使っても大差ないと見ることもできるが、逆に7,000を切っているCPUはこの環境ではビデオカードの性能をスポイルしていると判断できる。
CPUの比重もそれなりに高く算入されているPerformanceのスコアでは、Core i7-980X XE、Core i7、PhenomII X6、Core i5-750、PhenomII X4、Core i5-661といった序列で、コア数および同時実行スレッド数が多いCPUが上位に来ている。また、同じ4スレッド同時実行ならば、2コア+HTより4コアのモデルが上位に来る傾向だ。デュアルコアでHTにも対応しないCPUは苦戦している。

3DMark Vantage
DirectX 10を利用したGPUテストとAIや物理演算処理性能を見るCPUテストから総合スコアを算出している