写真の現像・レタッチ時間を計測
デジカメの普及で画像データを処理する機会が増えたユーザーも多いはず。画像処理もマルチコアCPUが得意な分野であり、高速なパフォーマンスが期待されるが、結果やいかに?
一眼レフ撮影データのRAW現像
Photoshop CS5のプラグインとして提供されるCamera Raw 6.0は、デジタル一眼レフカメラで撮影されたRAWデータを読み込み、パラメータ調整などを行なえるソフトだ。今回は20枚分のRAWデータに一括して自動補正を施し、TIFF形式で保存するまでの時間を計測した。マルチスレッドに対応しており、i7-980Xでは別格の速さ。この速度なら試行錯誤しつつ何度も現像しても苦にならないはずだ。
1枚ずつパラメータ調整し、最後にまとめて現像するようにするとマルチスレッドの速さを実感できるだろう
Photoshop CS5で一括画像変換
続いてはPhotoshop CS5のアクション機能を利用し、先ほどRAW現像したTIFF画像を読み込み、モード変換や解像度変更、画像形式の変更といった一連の作業を自動で20枚分繰り返すのにかかった時間を計測した。コア数だけでなく動作クロックの影響も大きいようで、CPUのランクを反映したような結果だと言える。
事前に登録した作業を自動で処理するアクション機能を利用し、よく行なう一連の作業の処理速度を比較した
Photoshop CS5でのフィルタ処理
画像処理の最後は、高画素のデジタル一眼レフで撮影した巨大な画像を用意し、Photoshop CS5が標準で備えるフィルタを使って特殊効果を加えるのにかかった時間を計測した。上位三つのCPUはあまり差が出なかったが、Pentium G6950はクロックの低さやキャッシュ容量の少なさが影響したか、やや遅い結果となった。フィルタの種類にもよるが、Turbo Boostも含めた動作クロックが重要となる。
多数用意されたフィルタにはマルチスレッド対応のものもあるため、まったく違った結果が出ることもあることに注意してほしい
動画・音楽のエンコード時間を計測
マルチスレッド対応ソフトと言えば、大抵の人はエンコーダを思い浮かべるのではないだろうか。動画の圧縮処理は並列化の恩恵を受けやすいため、多くのソフトがマルチスレッドへの最適化を図っている。
WMV形式への変換
動画ファイルのエンコードとして、まずはWindows Media Video(WMV)への変換を行なった。フロントエンドにはTMPGEnc 4.0 XPressを利用し、AVCHD形式のフルHDソースを高画質なWMV9 Advanced Profileへ変換するのにかかった時間を計測した。結果にはマルチスレッドの効果が如実に現われており、2コアのPentium G6950に対し、i7-980Xは約3.3倍の速度でエンコードが可能だった。
フルHD解像度の3分強の映像をWMV9 AP形式へ変換した。BDのコーデックとして採用されただけあり高画質だが、非常に負荷の高い処理だ
MPEG4 AVC/H.264形式への変換
続いて、再びTMPGEnc 4.0 XPressを利用しMPEG4 AVC/H.264形式への変換を行なった。結果はWMVへの変換と似たもので、こちらはよりマルチスレッド化が進んでいるのか、i7-980XではPentium G6950の約4倍速でエンコードが終了した。MPEG4 AVC/H.264は重い処理として知られる形式だが、i7-980Xでは実時間に近い速度でエンコードできており、最新CPUの威力を実感できる結果だ
HD画質の衛星放送からワンセグまで、MPEG4 AVC/H.264は幅広く利用されている動画形式だ
iTunesによるAAC形式への変換
エンコードの最後は、iTunesを利用した音楽CDのAAC形式への変換だ。iTunesに含まれるMP3エンコーダはマルチスレッド対応だが、AACのエンコーダは非対応。それは結果にも現われており、ほぼ横並びとなった。とはいえ、今やアルバム1枚分の変換が1分半で終わるほど音楽データのエンコードは軽い処理になっており、マルチスレッドへの対応を気にする必要はないだろう。
読み取りエラーなどの不測の要因を排除するため、事前にWAV形式にリッピングしたファイルをAAC形式でエンコードした