オーバークロック関連BIOS項目解説
Intel CPU環境
(ASUSTeK P7P55D-Eの場合)
倍率ロックフリーCPUの特性を活かすために重要なのが、OC機能の充実したマザーボードだ。ここでは、今回使用したマザーボードを例に、OCに関連したBIOS設定項目のポイントを紹介したい。
今回Intel CPU用として使ったP7P55D-Eの特徴は、倍率ロックフリーCPUと組み合わせると、Turbo Boost使用時の倍率設定を柔軟にできる点。③の「TurboMode x-CoreRatio Offset」がそれで、倍率ロックフリーCPUと組み合わせると、標準状態の倍率は定格に据え置き、Turbo時の倍率だけを上げる設定なども可能になる。そのほか、Windows用のOCユーティリティだけでなく、BIOS上で自動OCを実行する機能(⑤)も搭載されている。
さらに、CPUコア電圧の設定方法が2種類用意されている点もユニークなところ。従来同様の電圧値を直接指定する方式に加えて、定格電圧からの差で指定する「オフセット方式」が加わえられている。実際にOCを試みるユーザーにとっては、この設定は非常に便利なものだ。
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Ai Tweaker
1 | Ai Overclock Tuner |
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動作クロックの設定モードを選択する項目。BIOS上でクロック関連の設定をする場合、「Manual」を選択する必要がある。慣れないうちは注意が必要な項目だ
2 | CPU Ratio Setting |
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CPUの内部倍率(非Turbo Boost時)を設定する項目。倍率ロックフリーCPUを搭載した状態のみ、定格より上の数値を指定することができる
3 | TurboMode x-Core Ratio Offset |
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倍率ロックフリーCPUと組み合わせた際に使える設定項目。Turbo Boostが動作している状態での内部倍率を、動作しているコア数ごとに設定できる(ここではクアッドコアのCore i7-875Kを搭載した状態のため、1-Coreから4-Coreまでの表示が存在している)。設定は定格倍率から+○倍の形で指定する。デフォルトの「Auto」では、CPU側定格のTurbo Mode倍率が使用される
4 | DRAM Frequency |
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DDR3 SDRAMの動作クロック(正確にはベースクロックに対する比率)を選択する。表示される数字はベースクロックに比例して変化する。ベースクロックをあまり上げる必要がない倍率ロックフリーCPUでは、基本的に「Auto」でよい
5 | Start auto turning |
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BIOS上から自動OC機能「OC Tuner」を実行するための項目だ。実行すると上画面の確認表示が表示され、[OK]で実行。自動的に再起動され、CPUに合わせた自動OC状態となる
6 | CPU Voltage Mode |
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CPUコア電圧の設定モードを選択する。デフォルトの「Auto」では自動設定となり、「Manual」で電圧値を直接入力(上はこのモード)、「Offset」を選ぶと定格との差で指定するモードになる
AMD CPU環境
(MSI 890FXA-GD70の場合)
AMD PhenomII X6 1090T BEとの組み合わせで使った890FXA-GD70の特徴は、BIOS上での自動OC機能を搭載している点。Intel CPU用マザーでは、上で紹介したP7P55D-EのAi Overclock Tunerなど、同種の機能を持つ製品が多いが、AMD CPU用マザーではまだ少ないのだ。これは本製品がハイエンドモデルであることの証でもある。
また、Cell Menuの中にある「Unlock CPU Core」機能も特徴の一つ。これは一部のデュアル・トリプルコアCPUに対して、本来は使用不可能になっているコアを有効化する、いわゆる「コア復活機能」である。
そのほか、ハイエンドマザーらしく、ユーザーが設定可能な電圧項目が多岐にわたる点も特徴的だが、これらはOC上級者向けのため、一般的なOCではあまり使われない機能も多い。
なお、このマザーの電圧設定項目は、Enterキーを押しても設定一覧が表示されず、「+」と「-」キーで項目を一つずつ上下に移動する。デフォルト値である「Auto」はその中の一つとして設定されているので、表示を見逃さないようによく注意したい。
Main画面で選択
Cell Menu
1 | Adjust CPU FSB Frequency(MHz) |
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ベースクロック(FSBクロック)を設定する項目。Phenomシリーズでのデフォルトは200MHzだ
2 | Adjust CPU Ratio |
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CPUの内部倍率(Turbo CORE未使用時)を設定する項目。倍率ロックフリーCPUを搭載した状態でのみ、定格より上の数値に設定できる
3 | Adjust Turbo Core Ratio |
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Turbo CORE時のCPU内部倍率を設定する項目。Intel製CPUと違い、非Turbo時と連動することなく倍率が設定できるのがポイント
4 | OC Genie Lite |
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自動OC機能を有効にするための項目だ。実行後は「Disabled」に戻すまで、ベースクロックなどの操作ができないので、注意が必要である
5 | FSB/DRAM Ratio |
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DDR3 SDRAMのベースクロックに対する比率を選択する。設定の際はすぐ下の欄に実際のクロックが表示される。それを見ながら選択しよう
6 | CPU Voltage (V) |
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CPUコア電圧を絶対値方式で設定する。上に似た名前の項目「CPU VDD Voltage」があるが、間違えないように注意
OC中にPCが起動しなくなったら
OCの設定を行なっている際には、まれにシステムが起動しなくなることがある。そんなときは慌てず「CMOSクリア」を実行しよう。これでBIOSを初期設定に戻すことができ、起動不可能な設定から復帰することができる。最近のOC向けマザーでは専用スイッチを備えていることも多い。
専用スイッチがなくても、マザー上のバックアップ電池を外して10秒待ち、再び付け直せばCMOSクリアが可能である