+12V電流の消費量増大により重要性を増す電源選び
Core 2 Duoの登場で、上昇の一途だったCPUのTDP(熱設計消費電力=各CPUの発熱量・消費電力の目安となる値)が落ち着いたのはもう過去の話。6コアCPUが次々に登場する現在、CPUの消費電力は一昔前のピーク時に匹敵するレベルに達している。さらに、ビデオカードの消費電力がCPUをしのぐまでになっており、これらのデバイスの動作を支える電源ユニットへの要求はかつてなく高いものになっている。
CPUが主に必要とする電圧は+12Vで、これはビデオカードも同じ。PCの消費電力の増加とは、つまり+12V電流の消費増であり、こうした事情に合わせて電源ユニットの仕様も徐々に変わってきている。この辺りの詳しい解説は下のコラムで行なっているが、+12V系の最大出力値が低い旧式の電源ユニットは、最新パーツにはそぐわなくなっている。
次ページでは、2/4/6コアのCPUにミドルレンジとハイエンドのビデオカードを組み合わせたシステムを定格出力の異なる電源ユニットで動作させ、その消費電力と+12V出力の変動グラフを掲載した。パーツを流用する際の参考になるよう、400W電源には旧式モデルを利用した。高負荷時の消費電力は必要な定格出力の目安となり、+12V出力のブレの頻度からは安定して+12Vが出力できるかを読み取ることができる。
現在主流のデュアル/クアッド/ 6コアCPU
デュアルコア
- Intel
- Core i5-661

GPUコアを内蔵したLGA1156ソケット対応デュアルコアCPU。Hyper-Threadingにより4スレッド同時処理に対応。TDPは87W
クアッドコア
- Intel
- Core i7-870

LGA1156ソケットに対応したクアッドコアCPU。こちらもHyper-Threadingに対応し、8スレッドの同時処理が可能。TDPは95W
6コア
- Intel
- Core i7-980X Extreme Edition

ハイエンド向けのLGA1366ソケット対応の6コアCPU。Hyper-Threadingにより同時処理可能なスレッド数は12。TDPは130W
定格出力だけでなく+12V出力値にも注目!
近年のPCの+12V出力の消費量は増加の一途をたどっており、電源ユニット選びの際は500Wや600Wという定格出力以外に、その製品がどれだけの+12V出力を供給可能かという点に注目する必要がある。
5、6年前の電源ユニットと言えばまだ400Wクラスが一般的だったが、この時期の製品は最大でも20A程度しか+12V出力が行なえないものもあり、最新CPUとビデオカードを安定して動作させることは困難だ。短期間なら問題が出なくても、電源ユニットの劣化が急速に進む可能性もある。TDP 90WクラスのCPUを利用するなら、オーバークロックなどでの運用も加味して1系統あたり20A以上の出力が可能なものがお勧めだ。
また、+12V出力を1系統に絞った製品はコストパフォーマンスに優れ、OC時などでも有利だが、電力供給の安定性は複数系統に分かれたもののほうがよい。一般的な利用では好みで選べばよいだろう。

+12V出力を1系統に絞ったタイプ。オーバークロックしたCPUやマルチGPU構成など、大きな+12V出力を要求するパーツがある環境ではこちらが安心

+12V出力を複数の系統に分割し、電流負荷を分散させたタイプ。各系統が同時に最大値を出力できるわけではなく、写真の例では各系統の合計が75Aではなく50Aであることに注意