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TEXT:保坂陽一 |
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ファンを活かして静音を目指す |
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ケースファン一つで変わる冷却性能 |
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PCの騒音の大半は、CPUクーラーも含めて、「ファン」から発生しているものがほとんどだ。
ここではファンそのものの性能がおよぼす、冷却と静音性への影響について見てみよう。 |
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PCだけでなく、電気製品の放熱にもっとも手軽で有効なのは、やはり風を当てて熱を逃がすことだろう。そこで忘れてはならないのが、CPUクーラーやケースなどに装着された冷却ファンである。取り付ける場所や、ほかのファンとの位置関係によっても、その静音性や冷却性能は変わってくるところだが、ここではファンそのものに注目してみたい。

発熱の大きいCPUにビデオカード、HDD、電源、最近ではチップセットまでが確実な冷却を必要とするようになった。騒音源となるファンを使用せずにすむならば、静音化は容易なわけだが、そのために巨大なヒートシンクなどを導入することを考えると、システム全体のコストはバカにならなくなってくる。静音性能をウリにするファンが1個千円前後から入手できる現在、これを交換するだけで得られる費用対効果は絶大だ。ケース付属のファンの動作音が気になる場合は、ぜひ交換を考えてみてもらいたい。 |
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左から8cm角、9cm角、12cm角のファン。一般的に同じ回転速度ならば大型のほうが風量は上だが、大型のほうが低速でも風量を稼げる |
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ボールベアリング |
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ベアリングとはモーターの回転軸を支える軸受けのことで、ボールベアリングはボールを利用して滑らかに回転するようにしたものを指す。 |
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スリーブベアリング |
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ボールを使用しない比較的単純な軸受け。一般的にボールベアリングよりも低価格で静音性に優れる半面、耐久性では劣るとされているが、最近では一概にそうとも言えない。また、ボールベアリングとスリーブベアリングを併用したファンなども存在している。 |
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流体軸受け |
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回転軸の軸受け部分に油などの流体を使用した構造のこと。ハイドロベアリングなどとも呼ばれる。回転時に軸とファン本体との間に潤滑層を形成するため、磨耗が少なく、長寿命とされる。スリーブベアリングの中には、この構造を利用したものもある。 |
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リブあり/なし |
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ファンを固定するネジ穴部の形状を指す。ファンの前後のネジ穴がパイプでつながっているのが「リブあり」。現在市販されている一般的なケースファンは「リブなし」タイプで、短いネジでの取り付けが可能。ただし、取り付け位置の反対側からではなく、ファン側からネジを止めなくてはならない場合は注意が必要。 |
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音圧レベル/音量(dB) |
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音の大きさを表わす数値で、大きいほど動作音が大きい。一般的に、20dBで木の葉の触れ合う音、30dBでささやき声レベルなどとされるが、実際に体感でどう感じるかは単純に数値で表わせないのも事実である。 |
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回転数(rpm) |
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そのファンの定格電圧で、1分間に何回転するかという数値。この数値が大きいほど、風量も大きくなるが、回転音は増大する。電圧を変えることで、この値は変化する。 |
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風量(CFM) |
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Cubic Feet/Minute。定格動作時に発生する風の強さで、1分間に排出できる空気の量を表わしており、数値が大きいほど冷却能力は高いということになる。ファンを選ぶ際は、回転数と音圧レベルとの兼ね合いを考慮したいところだ。これと同様にメートルベースの「m3/min」という単位で表記されている製品も存在するが、1m3/minは35.3147CFMに相当する。 |
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期待寿命(h) |
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何時間使えるかという製品寿命の指標。この時間を超えたからといって、すぐ動作しなくなるものはまずないと思われるが、明らかに回転音がうるさくなれば、交換の時期と見てもよい。ファンは消耗品であるということを理解しておこう。 |
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サイズ(寸法) |
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ケースの取り付け部に合った寸法(8×8cm、9×9cm、12×12cmなど)を選択するのはもちろん、厚みもチェックしたい。狭い空間では薄いほうが取り付けは楽だが、一般的に風量は落ちる。
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まず購入の際には、そのケースやCPUクーラーに装着可能なサイズを確認しておく必要がある。主なファンサイズは8cm角、9cm角、12cm角といったのものだが、大型のものほど、低速回転でも風量は確保できるため、12cm角ファンを9cm角の取り付け位置に取り付け可能な、変換アダプタなども販売されている。もし取り付けスペースに余裕があるならば、試してみるのもよいだろう。

右ページで紹介しているようなファンは店頭で売られているものの一部でしかないが、それぞれの製品にはそのサイズだけでなく、回転数や風量、音圧レベルなどが記載されている。単純にこの数値だけで製品比較をするのは難しいが、指標としては十分であるはずだ。ただし、回転数を抑えた、音圧レベルの低いものが優れているというわけではなく、冷却に必要な風量が確保されていることが重要になってくる。いかに静かになっても、その分ケース内部やCPUの温度が上がっているのでは本末転倒。動作すればOKという考え方もあるだろうが、CPUやHDDなどの温度が上がるということは、それだけそのパーツの寿命も短くなってしまうということは理解しておきたい。静音と冷却性能を両立させるには、ある程度の試行錯誤は必要なのである。 |
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山洋電気 |
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F8-SSS
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回転数:1,000rpm
実売価格:3,000円前後 |
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問い合わせ先:046-236-3522(オウルテック)
URL:http://www.owltech.co.jp/ |
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軸を二つのボールベアリングで支える形式のファン。サイズは9cm角で、回転数が低いこともあって、きわめて静か |
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サイズ |
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風拾 |
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回転数:1,000rpm
実売価格:1,000円前後 |
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問い合わせ先:support@scythe.co.jp
URL:http://www.scythe.co.jp/ |
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10cm角のファンだが、9cm角用のネジ穴を設けている製品。そのため、9cm角で利用可能なファンとしては風量が多い |
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ザワード |
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Golf ZGF80WH |
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回転数:1,000/2,000rpm
実売価格:1,000円前後 |
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問い合わせ先:support@zaward.co.jp
URL:http://zaward.co.jp/
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羽の表面に付いたくぼみが風切り音を抑えるという8cm角ファン。付属ケーブルで1,000rpmと2,000rpmの切り換えが可能 |
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Xinruilian |
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RDL9025SBK16 |
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回転数:1,600rpm
実売価格:1,000円前後 |
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問い合わせ先:03-3488-1526(親和産業)
URL:http://www.shinwa-sangyo.jp/ |
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スリーブベアリングを採用した9cm角ファンで、羽根の形状を工夫するなどして静音性と風量を確保した人気製品 |
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Arctic Cooling |
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Arctic Fan 9 |
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回転数:2,000rpm
実売価格:1,000円前後 |
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問い合わせ先:support@scythe.co.jp(サイズ)
URL:http://www.scythe.co.jp/ |
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フレームレスが特徴の、流体軸受け採用の9cm角ファン。ファンの内側からしかネジ止めできないので、取り付け位置に注意 |
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ADDA |
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CF-90R |
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回転数:3,800rpm
実売価格:1,800円前後 |
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問い合わせ先:support@ainex.jp(アイネックス)
URL:http://www.ainex.jp/ |
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ボールベアリングを採用した高回転型9cm角ファン。騒音は大きいが、その分冷却効果は期待できる |
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