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TEXT:鈴木雅暢
LGA1156版Core i7/i5の新機能に迫る
LGA1156版Core i7/i5には、さまざまな興味深い新機能が導入されている。ここではその新機能の詳細を解説しつつ、ベンチマークで効果を確認していこう。
1
大幅に強化されたTurbo Boost
■
上昇クロックが大幅アップ 冷却の重要性も高まる
LGA1156版のCore i7/Core i5には、LGA1366版Core i7から導入された「Intel Turbo Boost Technology(以下、Turbo Boost)」が大幅に強化されて実装されている。このTurbo Boostを有効にすると、CPUの動作状況(電流、電力、温度)とアクティブなコアの数に応じて、動作状況の余裕の範囲内で動作クロックを上昇させる。動作クロックの上昇はベースクロック(133MHz)単位で行なわれ、上限はモデルごとに決められている。上の表に主なモデルの上限をまとめたが、LGA1366版では1〜2段階の上昇にとどまるのに対し、LGA1156版では最大5段階と大幅に上昇するように強化された。とくにCore i7-870では、3〜4コアがアクティブな場合でも、最大2段階=3.2GHzでの動作が可能になっており、冷却さえ十分であれば実質的にワンクラス上の性能が得られることになる。もっとも、電流、電力、温度のどれか一つで条件を満たせなければTurbo Boostによるクロック上昇は機能しない。電流や電力はユーザー側ではどうにもならないが、温度に関してはユーザーのシステム構成、利用環境が大きく影響してくる。そのため、LGA1156ではこれまで以上に冷却に気を使う必要があるとも言えるだろう。
Core i7-870を使い、Turbo Boostの効果を視覚的に確認しようと試みたのが、下の画面だ。
CPUID
が配布している「TMonitor」というツールでは、Turbo Boostがどのように機能するのかをモニタすることができ、Turbo Boostによるクロック上昇部分は黄色で表示される。Windows Vistaは各コアにランダムにスレッドを振り分けてしまうため1コアのみがアクティブになる状況はまれだが、それだけに2コアアクティブ時の上限が拡張されたことは大きい。
Turbo Boost時の動作クロック一覧
モデル名
(開発コードネーム)
基本クロック
Turbo Boostクロック
(ベースクロック=133MHzの上昇幅)
最低クロック
3〜4コア
2コア
1コア
Core i7-870
(Lynnfield)
2.93GHz
3.2GHz
(2)
3.46GHz
(4)
3.6GHz
(5)
1.2GHz
Core i7-860
(Lynnfield)
2.8GHz
2.93GHz
(1)
3.33GHz
(4)
3.46GHz
(5)
1.2GHz
Core i5-750
(Lynnfield)
2.66GHz
2.8GHz
(1)
3.2GHz
(4)
3.2GHz
(4)
1.2GHz
Core i7-940
(Bloomfield)
2.93GHz
3.06GHz
(1)
3.06GHz
(1)
3.2GHz
(2)
1.6GHz
Core i7-920
(Bloomfield)
2.66GHz
2.8GHz
(1)
2.8GHz
(1)
2.93GHz
(2)
1.6GHz
TMonitorでTurbo Boostの効き具合を視覚的に確認
CINEBENCH R10の場合
4コア8スレッドをフルに使えるCINEBENCH R10のレンダリング(x CPU)では3.2GHzで動作した。1CPUでは3.46GHz前後だった
The Last Remnantの場合
どちらかと言えば古典的なエンジンを採用した「The Last Remnant ベンチマーク」でもTurbo Boostは有効で、3.2〜3.46GHzの間で動作した
Super PIの場合
典型的なシングルスレッドアプリケーションのSuperPI mod1.5では3.46GHz前後。ごくまれに3.6GHzに上昇することもあった
■
Turbo Boostの効果をベンチマークで確認
Turbo BoostのONとOFFでパフォーマンスを比較してみたのが、下のグラフだ。Core i7-870と動作クロックが同じLGA1366版Core i7-940を比較対象にしているので、それぞれの性能アップ率に注目したい。まずはSandra 2009 SP4によるCPUの基本性能テスト。Turbo Boost OFF時には誤差程度の違いしかない両者だが、Turbo Boostを有効にすると平均4.2%のアップにとどまる940に対し、平均7.6%アップを見せる870のほうがはっきりよいスコアとなっている。
CINEBENCH R10は、1 CPUでは1コア(1スレッド)、x CPUでは4コア(8スレッド)を使ってレンダリングを行なう。Turbo Boostの有効時と無効時の差は940の1 CPUで7.4%、x CPUで4.7%。870の1 CPUで18%、x CPUで11%。1 CPUで大きくアップするのは当然として、8スレッドを使うx CPUでもこれだけアップするのは大きい。
Super PIのスコアも象徴的だ。400万桁(4M)でTurbo Boostの効果を比較すると、940では7.1%、870では20%も計算時間が短縮した。Turbo Boost OFFではメモリアクセス性能の差で940のほうが若干高速なのだが、Turbo BoostをONにすると870が逆転し、逆に10%の差を付けるのだからかなり強力だ。
「The Last Remnant ベンチマーク」はCPUへの負荷がそれほど高くなく、あまりマルチスレッドへ最適化されていない古典的なゲームタイトルの代表として実行してみたが、940では1.7%、870では3.9%、Turbo Boostによる性能向上が確認できた。
LGA1366版では今一つ効果が微妙だったTurbo Boostだが、上限幅が大幅にアップしたことで効果はよりはっきりと現われるようになった。とくにマルチスレッドに最適化されていないアプリケーションでの効果は劇的に向上しており、こういったアプリケーションにおいてもクアッドコアCPUより格下のデュアルコアCPUのほうが性能が高いといった逆転現象も過去のものとなりそうだ。
【検証環境】
[LGA1366環境]
マザーボード:Intel DX58SO(Intel X58+ICH10R)
メモリ:OCZ Technology OCZ3P1333LV3GK(PC3-10600 DDR3 SDRAM、1GB×3)
[LGA1156環境]
マザーボード:GIGABYTE GA-P55-UD3R(rev. 1.0)(Intel P55)
メモリ:Corsair Memory CMX8GX3M4A1600C9(PC3-12800 DDR3 SDRAM、2GB×4 ※2枚のみ使用)
[LGA775環境]
マザーボード:Intel DP45SG(Intel P45+ICH10R)
メモリ:Corsair Memory CMX8GX3M4A1600C9(PC3-12800 DDR3 SDRAM、2GB×4 ※2枚のみ使用)
[共通環境]
ビデオカード:MSI N285GTX-T2D1G-OC(NVIDIA GeForce GTX 285)
HDD:Western Digital WD Caviar Black WD1001FALS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、1TB)
OS:Windows Vista Ultimate SP2
CPUクーラー:すべてリテールクーラーを使用
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