デュアルをクアッド化 動画の扱いも快適に
ここではSocket AM2システムを例にアップグレードを考える。CPUのブランドに時代を感じるが、デュアルコアで2.6GHzというスペックは、使い方によっては十分現役で通用する。ただ、現行ラインナップだと最廉価モデルでも2.8GHz、そろそろもの足りなさを感じても不思議はない。今回はAMDシステムの互換性の高さを活かし、クアッドコア化してみたい。動画エンコードなどの場面では大きな効果がありそうだ。
HD動画の再生支援機能を持たない内蔵GPUを使っているので、ビデオカードの追加も効果が高そうだ。ネットなどあちこちで見かける動画の再生が格段に快適になるだろう。また、動画再生環境を整える前提なら、同時にBlu-ray Discドライブを導入してみるのも悪くない。強化の効果がより実感できるだろう。
2007年作成のAM2マシン
[強化ポイント1] CPU
Athlon 64 X2でも用途によっては十分だが、ここ2、3年でマルチコア化が進み、対応ソフトも整備されてきた。2コア/2スレッドのCPUでは今どきのマシンと比べると動画エンコードなどの性能はもの足りなく映る。互換性の高いAMDシステムの特徴を活かし、現行のクアッドコアCPUに交換し、動画エンコード性能アップを目指したい。
Socket AM2のソケット自体は、現行のSocket AM3と互換性がある。ここに来てグッと安くなってきたクアッドコアCPUへの交換を検討したい
[強化ポイント2] ビデオカード
当時としては高機能なGPUコアを内蔵していたAMD 690Gだが、H.264のハードウェアデコードなどの機能は搭載しておらず、HD動画の再生性能は少々心もとない。外部ビデオカードを追加し、3D描画性能とともにまとめて強化したい。
[強化ポイント3] Blu-ray Discドライブ
HDコンテンツの配布用として着実にBlu-ray Discの普及が進んでいる。高値で安定していたPC用ドライブもだいぶ手頃な価格で入手できるようになってきた。ビデオカードの動画再生環境を強化するなら、合わせてBlu-ray再生環境を構築するのも悪くないだろう。
強化ポイント1 | 予算5,500円~14,000円 |
最新CPUにアップグレード
■ここを事前にチェック
- BIOSの対応
- 制限される機能
- 価格と性能のバランス
- 冷却性能
高い互換性を誇るAMD CPU システムの機能差を把握しよう
AMDのCPUは設計上の下位互換性が確保されているため、3、4年前のマザーボードでも現行のPhenom II X4、製品によってはPhenom II X6も使うことができる。ただし、使えるといっても現行のSocket AM3と2世代前のSocket AM2では、システムレベルで見るとかなり機能に違いがある点は頭に入れておきたい。具体的には下の図に示したが、各種データバス帯域が狭いためCPUのフル性能を発揮できない場面があるかもしれない。また、電力管理面でも非効率な部分がある。テストではその影響も確認してみたい。
今回はM2A-VM HDMIの対応リストに記載されているCPUのうちもっとも高性能と思われるPhenom II X4 945のほか、より低価格なクアッドコアCPUのAthlon II X4 645、低消費電力がウリのAthlon II X2 240eと3種類のCPUを候補として試し、3種類の性能テストと消費電力のテストを行なってみた。
高い互換性を誇るAMDのCPU
要するに、旧規格(AM2/AM2+)のCPUを新規格(AM3)のマザーボードで使うことはできないが、新規格のCPUは、旧規格のマザーボードでも(BIOSが対応すれば)使えるという関係だ
CPU機能は使用可能だが足まわり(バス帯域)に不安あり
AM2システムでは、対応メモリがDDR2-800どまりの上、各種データバスの帯域がAM3システムの半分にとどまる。また、CPUコアとアンコア部の電力を分割管理できない点でも見劣りする
メーカーサイトで対応CPUリストを必ず確認しよう
AMDのCPUが下位互換性を意識して設計されているといっても、実際に利用するにあたっては、マザーボードのBIOSや電源部の設計など、CPU単体以外の要素も問題になる。自分のマザーボードが具体的にどのCPUに対応しているのか、マザーボードメーカーのWebサイトで対応状況をしっかり確認し、対応しているならCPUを交換する前にBIOSアップデートもすませておこう。
ASUSTeKのマザーボードは、個別の製品情報ページから対応CPUリスト(CPU Support List)が閲覧できる。日本語サイトは比較的新しい製品のみだが、グローバルページには古い製品も掲載されている