CPUのアップグレードよりもストレージデバイスに注目したい
PCをアップグレードしようというとき、まず思い付くのがCPUの交換だ。しかしLGA1156環境を使っているならちょっと待ってほしい。Sandy Bridgeが登場した今、LGA1156は費用対効果で劣っており、上位CPUへのアップグレードに数万円費やすのは賢明ではない。とはいえ、LGA1155マザーのリコールにより現状Sandy Bridgeへの移行は難しい。そこで検討したいのが、ストレージデバイスのアップグレードだ。もしも現在システムドライブにHDDを使っているなら、SSDへの換装をお勧めする。その性能はHDDの比ではなく、実際のところ、CPUアップグレードよりも性能アップをより体感できるはずだ。
2010年作成のLGA1156マシン
[強化ポイント] HDD
HDDは現在のPCの中では低速な部類のデバイス。CPUやメモリなどが高速化していく中、補助記憶装置の高速化はPCの体感速度の向上にとって大きな課題であり、SSDが現在のその解と言える。また、ストレージ機器はプラットフォームを移行しても引き続き利用できるため、アップグレードに最適なデバイスでもある。
Sandy Bridgeは確かに高速ではあるが……
下のグラフの結果を見ると、Sandy Bridgeの中でも最上位のCore i7-2600Kは確かに高速だ。とはいえ、PCMark VantageではAES-NIといった新命令に対応しているだけでスコアが跳ね上がるため(Core i5-750はAES-NI非サポート)、実際に体感速度に歴然たる差があるかと言うとそうでもない。LGA1156用CPUも現状では十分高速な部類に入り、4コアモデルならまだまだ現役で戦える。それよりはやはりSSDに換装するのが建設的だ。いずれLGA1155環境に移行するにせよ、SSDであれば容易に次環境に持ち越せる。
【検証環境】
<LGA1156>
CPU:Intel Core i5-750(2.66GHz)、マザーボード:GIGABYTE GA-P55A-UD3(rev. 2.0)(Intel P55)
<LGA1155>
Intel Core i7-2600K(3.4GHz)、マザーボード:ASUSTeK P8P67(Intel P67)
<共通環境>
メモリ:CFD販売 CFD Elixir W3U1333Q-2G(PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2)、ビデオカード:MSI R5770 Hawk(AMD Radeon HD 5770)、SSD:Micron Technology Crucial RealSSD C300 CTFDDAC064MAG-1G1(Serial ATA 3.0、MLC、64GB)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版
強化ポイント | 予算10,000円 |
HDDからSSDに換装するだけで劇的に体感速度が向上
フラッシュメモリを用いるSSDは構造的にランダムアクセス性能に優れるほか、多チャンネルアクセスによってシーケンシャル速度でもHDDを大きく上回る。その速度はすでにSerial ATA 2.5(3Gbps)インターフェースの限界を超え、Serial ATA 3.0(6Gbps)の領域に入っている。今回用意したCrucial RealSSD C300はSerial ATA 3.0対応だが、ここではSerial ATA 2.5インターフェースが標準のLGA1156環境全体を想定し、あえてサードパーティ製のSerial ATA 3.0ポートは使用しなかった。しかし、それでもCrystalDiskMarkの計測ではシーケンシャルリードで約270MB/sをマークし、7,200rpmのHDDと比べ約2.5倍高速だ。また、Windows 7の起動も約10秒短縮でき、体感速度も大きく向上している。もちろんここに示していないランダムアクセス性能も優秀で、アプリの起動など全体的に体感速度は大幅に向上している。SSDは高価だが、小容量SSDをシステムやアプリのインストールに限定して使えば、1万円前後と最小限にコストを抑えつつ大きな効果を得られる。
CPUはそのままで、HDDからSSDに変えただけでPCMarkのスコアは一気に5,000ポイント近く向上する
[オススメのSSD]
選んで損なし! 6Gbps転送に対応した超鉄板の高速SSD
- Serial ATA 3.0
- 64GB
- Micron Technology
- Crucial RealSSD C300 CTFDDAC064MAG-1G1
- 実売価格:10,000円前後
MicronのRealSSD C300はSerial ATA 3.0(6Gbps)に対応する高速タイプのSSD。大容量のモデルほど高性能で、256GB版ではリード最大355MB/s、ライト最大215MB/sを実現する。下位の64GBモデルも十分高速であり、価格も1万円前後と、HDDクラスの価格帯で購入できるのが魅力だ。
RealSSD C300の速さのヒミツ
RealSSD C300の心臓部であるMarvell「88SS9174-BJP2」チップ。いち早くSerial ATA 3.0をサポートした高速コントローラだ
製品名 | 容量 | 実売価格 |
---|---|---|
CTFDDAC256MAG-1G1 | 256GB | 46,000円前後 |
CTFDDAC128MAG-1G1 | 128GB | 23,000円前後 |
【問い合わせ先】
Micron Technology:03-3206-0806(エスティトレード)/ http://www.crucial.com/
【検証環境】
CPU:Intel Core i5-750(2.66GHz)、マザーボード:GIGABYTE GA-P55A-UD3(rev. 2.0)(Intel P55)、メモリ:CFD販売 CFD Elixir W3U1333Q-2G(PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2)、ビデオカード:MSI R5770 Hawk(AMD Radeon HD 5770)、SSD:Micron Technology Crucial RealSSD C300 CTFDDAC064MAG-1G1(Serial ATA 3.0、MLC、64GB)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版
<Windows 7の起動時間>
電源スイッチをONにしてから、スタートアップに登録したメモ帳が起動するまでの時間を計測
<最大リード速度>
CrystalDiskMark 3.0(1,000MB、5回)を使用して計測