クアッドコアのパワーは圧倒的
電力効率の進歩も顕著だ
結果を見るとさすがにデュアルコアとクアッドコアの差が歴然としている。とくにTMPGEnc Video Mastering Works5の動画エンコードテストでは約3倍、CINEBENCH R11.5のCGレンダリングテスト(CPU)でも約2.9倍、Phenom II X4はAthlon 64 X2 5000+BEに比べて高速で、PCMark Vantageでも約62%速い。Athlon II X4もPhenom II X4に近いスコアをマークしている。Athlon II X4なら消費電力もAthlon 64 X2 5000+とほとんど変わらず、Phenom II X4より安心して使えそうだ。
Athlon II X2 240eも侮れない。同じデュアルコアでもPhenom譲りの128bit浮動小数点演算ユニットや1MBの2次キャッシュを装備するアドバンテージがあり、クロック差以上の大きな差をAthlon 64 X2 5000+に付けている。それでいて消費電力は高負荷時で20W以上の大幅減なのだから、こちらも悪くない。
なお、Socket AM2とAM3の差は意外に少ない。一般的な用途ならあまり気にする必要はないと思われる。
アップグレードに適したCPU
省電力モデル
- AMD
Athlon II X2 240e - 実売価格:5,500円前後
格安クアッドコア
- AMD
Athlon II X4 645 - 実売価格:10,000円前後
上位クアッドコア
- AMD
Phenom II X4 945 - 実売価格:14,000円前後
CPUを交換したら冷却性能をチェック
もとのCPUより大幅に高性能なCPUに交換する場合は、消費電力や発熱が増える可能性が高い。HWMonitor(http://www.cpuid.com/softwares/hwmonitor.html)などのツールで冷却が十分にできるかもチェックしよう。とくにCPU付属の純正CPUクーラーはそのCPUに必要な冷却能力しか持たないので、使い回しは避け、新しいCPUに付属するクーラー、または市販のより強力なクーラーを導入するのが無難だ。
もとのCPUよりも大幅に高性能なCPUに交換する場合は市販の強力なCPUクーラーを導入することも検討したい
【検証環境】
[Socket AM2]
前ページのAM2マシンで、上記のCPUに換装
[Socket AM3]
マザーボード:ASRock 880GM-LE/M/ASR(AMD 880G+SB710)、メモリ:CFD販売 CFD Elixir W3U1333Q-1G(PC3-10600 DDR3 SDRAM 1GB×2)、ほかはSocket AM2環境に準ずる
【問い合わせ先】
AMD:0053-165-0441(日本AMD)/ http://www.amd.co.jp/
強化ポイント2 | 予算10,000円~19,000円 |
ビデオカードの増設
■ここを事前にチェック
- PCI Expressスロットの構成
- 電源コネクタの種類と数
- ディスプレイの入力端子
3D描画と動画再生の性能を効果的にパワーアップ
3D描画や動画再生のパフォーマンスをアップさせるにはCPUの交換よりもビデオカードの追加のほうが効果的だ。
ビデオカードはPCI Express x16スロットがあれば追加できるが、見た目にはx16でも4レーンしかないスロットでは性能がかなり落ちる。また、PCI Express 1.1対応スロットではPCI Express 2.0対応カードを挿しても性能が制限される。ただカードをスロットに挿せばよいだけのように見えて意外に制約があり、今回のように4年近く前のシステムにハイエンドビデオカードを追加するのはお勧めできない。8ピンの電源コネクタを必要とするようなものは、電源の出力が問題になる可能性もある。
一方、廉価版ビデオカードではプレイできる3Dゲームは大幅に限定されてしまう。ミドルレンジの下位クラス辺りのGPUを搭載した製品が性能とコストのバランス的にもちょうどよく、電源的にも無難だろう。
今回はNVIDIA GeForce GTX 460とAMD Radeon HD 5670を搭載したビデオカードを候補としてテストしてみた。価格を反映して少しGeForce GTX 460のほうがスコアがよいが、どちらもとくに負荷の高いゲーム以外ならプレイできそうだ。消費電力はどちらも大きくはないが、電源コネクタレスのRadeon HD 5670はとくに優秀で、価格的にもアップグレードに向いたカードと言える。
ミドルレンジクラスがお勧め
GeForce GTX 460搭載
- EVGA
- 01G-P3-1370-KR
- 実売価格:19,000円前後
GeForce GTX 460を搭載したビデオカード。OC設定やファンスピードの調整、およびGPUの温度を監視可能な「EVGA PRECISION」が付属している。電源コネクタは6ピン×2
Specificationコアクロック:675MHz
メモリクロック:3.6GHz
ビデオメモリ(バス幅):GDDR5 SDRAM 1GB(256bit)
インターフェース:Mini HDMI×1、DVI-I×2
Radeon HD 5670搭載
- HIS
- H567Q512
- 実売価格:10,000円前後
ミドルレンジGPU「Radeon HD 5670」を搭載した電源コネクタレスのビデオカード。HIS独自のGPUクーラーシステム「IceQ」を備えており、高い静音性と冷却性能を両立
Specificationコアクロック:775MHz
メモリクロック:3.8GHz
ビデオメモリ(バス幅):GDDR5 SDRAM 512MB(128bit)
インターフェース:HDMI×1、DVI-I×1、Dsub 15ピン×1
注意!! Windows XPはDirectX 11非対応
現行GPUの必須条件とされているのがDirectX 11対応だ。粗いポリゴンをGPU側で分割することで精細なグラフィックス描画を実現する「テッセレーション」や、CPUとGPUのパワーを効率的に描画表現に活かせるDirect Computeなど、ゲームタイトルにも好影響のある技術が多く導入されている。
ただ、DirectX 11はWindows XPでは利用できないことに注意。Windows XP上ではDirectX 11対応GPUを使ってもDirectX 10までの機能しか使えないのだ。DirectX 11に魅力を感じるならWindows 7を導入しよう。
【検証環境】
前ページのAM2マシンに上記のビデオカードを増設。
【問い合わせ先】
EVGA:info@synnex.co.jp(シネックス)/ http://www.evga.com/
HIS:03-3980-6442(恵安)/ http://www.hisdigital.com/jp/