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ATX電源頂上決戦 夏の陣
TEXT:鈴木雅暢
自分のPCの消費電力はどれくらい?
最適な定格出力を知るために5種類のPCシステムを実測
 電源の出力はある程度余裕があるほうがよいとよく言われるが、出力が大きければその分回路も大規模になるので発熱も大きくなる。また、電源の変換効率は、負荷率50%前後がもっともよくなるように設計されているのが一般的だ。80PLUS認証を受けるには、負荷率20〜80%のすべてで変換効率80%以上というのが条件であるように、20%以下となるような低負荷、80%を超えるような負荷率での利用は望ましくないと言える。つまり、電源の定格出力はPCの純粋な消費電力より大き過ぎても小さ過ぎてもよくないということだ。では、読者諸兄のPCはどのくらいの電力を消費するのだろうか。ここでは、消費電力を判断する目安となるよう、最小構成からハイエンド構成まで、5種類のシステムを用意し、実際の消費電力(アイドル時/高負荷時)を測定してみた。適切な電源ユニット選びの参考にしてほしい。
image各システムの消費電力は、サンワサプライのワットチェッカーで測定した。今回の検証では電源にSeasonic S12 ENERGY+ SS-650HTを使用
 PCの中で消費電力の大きいパーツと言えば、ビデオカードとCPUが双璧だ。現行のビデオカードはハイエンドになると200W近い電力を消費する。さらにSLIやCrossFireXなどで2枚使うとなればそれだけでそうとうな電力となる。

 CPUはマザーボードのVRMと合わせてTDPの2、3割増くらいが目安か。Core 2 Quadなら120W前後は見たほうがよいかもしれない。ビデオカードもCPUも、使うのは+12V系電流である。なお、CPUもビデオカードも省電力機能を持っており、高負荷時以外は使っていない回路がオフラインにされるためそれほど大きな電力は消費しない。

 HDDも3台、4台となるとかなり電力を消費するが、ピークに達するのはシステム起動時のスピンアップ時。通常の読み書き動作では多くとも1台あたり10W前後だが、スピンアップ時には1台30W前後消費する。その約8割が+12V系、残りは+5V系だ。記録型の光学ドライブもHDDとほぼ同じ電力仕様で、ピークはやはりメディアへの書き込み時だ。CPUやビデオカードとピークに達するタイミングは一致しないので単純に加算しなくてもよいかもしれない。

 さて、今回のテストの条件だが、電源ユニットは、すべての構成でSeasonic S12 ENERGY+ SS-650HTで統一した。定格出力650Wなので、低消費電力構成(とくにアイドル時)では少しロスが大きいことを考慮して見てもらいたい。高負荷時の数値は「CPU Burn-in 1.01」を実行(クアッドコアの場合は三つ同時)しつつ、3DMark06を実行したときのピークの電力である。現実的に想定できる高負荷環境としてはかなりシビアな部類だ。

 必要な定格出力の目安としては、高負荷テスト時の電力が負荷率70%以下の状態にあることを理想とすれば、高負荷時の電力を0.7で割った値くらいが目安。ただ、総合出力ではなく、+12V系出力のみで考えたい。たとえば、アッパーミドル構成なら、263÷0.7=約376(W)。今回取り上げている中で言えば、+12V系合計で396Wの出力があるPRO82+(EPR425AWT)辺りがジャストサイズ。同じ400Wクラスでも+12V系が大きくないパワグリ(EG-400PG)やCoRE PoWER 2プラグイン400Wなどではやや不安がある。

 なお、構成別にPCシステムの電力をざっくりと計算してくれるWebサイトもある。ASUSTeKのWebサイトにある「電源ワット数計算機」は有名で、比較的簡単に利用できるのでお勧めである。
image消費電力をさらに細かく知りたい場合
海外サイトの「eXtreme Power Supply Calculator Lite v2.5」では電源効率の設定やSSDなど最新パーツまで項目があり、細かく調べたいときに役立つサイトだ
1 最小構成
image今PCを自作する場合、もっとも安上がりと言える構成がこれだ。ビデオカードは使わず、945GCチップセット内蔵のGMA950を利用している。アイドル時は電源のロスがなければもっと低いだろう。高負荷時でも74Wなので、150WクラスのACアダプタ電源などでも対応できるレベルと言える。
アイドル時
58W
高負荷時
74W
使用パーツ
CPU:Intel Celeron Dual-Core E1200(1.6GHz)
マザーボード:ASUSTeK P5GC-MX/
1333(Intel 945GC+ICH7)
メモリ:ノーブランド PC2-6400 DDR2 SDRAM 1GB×1
HDD:Western Digital WD Caviar Blue WD7500AAKS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、750GB)
2 ローエンド構成
image低コストを意識しつつ、Blu-ray DiscなどのHDコンテンツを余裕を持って楽しめるような静音リビングPCを意識した構成。別途ビデオカードを利用しているが、電源の効率を割り引いてもアイドル時、高負荷時とも最小構成からの上昇は小さく、最小構成と同様ACアダプタ電源でも対応可能だろう。
アイドル時
65W
高負荷時
86W
使用パーツ
CPU:Intel Pentium Dual-Core E2220(2GHz)
マザーボード:ASUSTeK P5GC-MX/
1333(Intel 945GC+ICH7)
メモリ:ノーブランド PC2-6400 DDR2 SDRAM 1GB×1
ビデオカード:PowerColor HD345EX-P256D2LP(Radeon HD 3450)
HDD:Western Digital WD Caviar Blue WD7500AAKS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、750GB)
3 ミドルレンジ構成
imageコストパフォーマンスを重視し、ゲームをはじめ、さまざまな用途にバランスよく対応できる汎用的なPCをイメージした構成。さすがにアイドル時、高負荷時ともにグッと電力が増している。+12V系出力は240W(20A)くらい欲しい。最新設計なら350Wクラスでも対応可能だが、低価格製品なら400Wクラスが適当か。
アイドル時
86W
高負荷時
155W
使用パーツ
CPU:Intel Core 2 Duo E8400(3GHz)
マザーボード:ASUSTeK P5K(Intel P35+ICH9)
メモリ:ノーブランド PC2-6400 DDR2 SDRAM 1GB×2
ビデオカード:XFX PV-T94P-YDD(GeForce 9600 GT)
HDD:Western Digital WD Caviar Blue WD7500AAKS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、750GB)
4 アッパーミドル構成
imageコストパフォーマンスを意識しつつも快適さにこだわりのあるユーザーの自作例をイメージし、クアッドコアCPUと高性能ビデオカードの組み合わせ。ミドルレンジ構成と比べても、アイドル時、負荷時ともに一段と消費電力がアップしている。+12V系の仕様しだいで400Wでも対応可能だが、500Wクラスが無難。
アイドル時
131W
高負荷時
263W
使用パーツ
CPU:Intel Core 2 Quad Q6600(2.4GHz)
マザーボード:ASUSTeK P5K(Intel P35+ICH9)
メモリ:ノーブランド PC2-6400 DDR2 SDRAM 1GB×4
ビデオカード:玄人志向 GF9800GTX-E512HW(GeForce 9800 GTX)
HDD:Western Digital WD Caviar Blue WD7500AAKS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、750GB)×2
5 ハイエンド構成
imageゲームもエンコードもとにかく快適にこなしたいパフォーマンス最優先のエンスー向け構成。高負荷時が322Wと高いので+12V系合計は460W以上欲しい。HDDを4台搭載していることも考慮すると+12V系が2系統の電源は避けたい。3系統以上で1系統あたりに余裕のある製品か、1系統にまとめた製品がよい。上記の条件を満たしていれば、総合出力は550Wでもよい。無難にいくなら600Wクラス。
アイドル時
149W
高負荷時
322W
使用パーツ
CPU:Intel Core 2 Extreme QX9650(3GHz)
マザーボード:ASUSTeK P5K(Intel P35+ICH9)
メモリ:ノーブランド PC2-6400 DDR2 SDRAM 1GB×4
ビデオカード:NVIDIA GeForce GTX 280リファレンスカード
HDD:Western Digital WD Caviar Blue WD7500AAKS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、750GB)×2、Western Digital WD Caviar Blue WD7500AAYS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、750GB)×2
【共通検証環境】
電源:Seasonic S12 ENERGY+ SS-650HT(650W)
光学ドライブ:Lite-on Technologies LH-20A1P
CPUクーラー:Thermaltake V1
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