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ATX電源頂上決戦 夏の陣
TEXT:Ta 152H-1
電源の仕組を分かりやすく解説
電源の基本はAC(交流)→DC(直流)の変換
 一般に電源とは電力を供給する装置のことで、PC用電源は家庭用のコンセントに供給されているAC(交流)100Vの電力供給を受けて、DC(直流)12V/5V/3.3Vといった電圧の電力に変換して供給する。

 PC用電源は一般にスイッチング電源と呼ばれているもので、その基本構造は誕生当初のIBM PCと現在のPC/AT互換機で大きく変わるところはない。スイッチング電源の構造はそれ以前の電源と比較して複雑だが、同じ電力を得るのにより小さく軽く作ることが可能で、その技術が確立すると広く普及した。

 PC本体同様、電源はどの製品もその内部構造は似かよっている。自作PC用電源の多くは、当初デファクトスタンダードとなっていたものをベースに策定されたATX規格で電源仕様が定められており、これをもとに設計されている。現在では要求仕様をPower Supply Design GuideとしてIntelがまとめ、その中にATX12Vなど電源仕様も含まれているため、必然的に同じような構造になる。
Enermax PRO82+ EPR625AWTの内部
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一般的なPC電源における電力変換の流れ
1 AC電源を入力する
家庭用100VのAC(交流)電源を保護回路やノイズ低減フィルタを通して、ダイオードブリッジによる整流回路に引き込む
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2 整流回路で脈流に変換
ダイオードブリッジを用いて交流を一方向の脈流に整流する
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3 PFC回路で力率を向上
Active PFC回路などにより、一度に流れる電流量を抑制し、力率を向上させる
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4 1次平滑回路で安定した直流に変換
電解コンデンサを使用して脈流を平滑化し、より安定した直流に変換する
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5 スイッチング回路でパルス信号に変換
直流化した電力をスイッチング回路を用いて一旦周波数の高いパルス信号に変換を行なう
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6 トランスで電圧を調整する
入力と出力を絶縁して、実際にPC内部で使う電圧になるように調整する
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7 PWMコントローラで電圧を安定させる
出力された電圧をパルス幅変調(Pulse Width Modulation)回路にフィードバックすることで出力電圧を一定に保つ
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8 2次平滑回路で直流に戻す
トランスからの出力はまだパルス状の出力なので、これを整流・平滑化して直流に直す
電源の各部位とその機能
image(1)インレットフィルタ
ノイズや突入電流を抑制する部品で構成された回路。Xコンデンサ、Yコンデンサ、チョークコイルなどが置かれている。Xコンデンサはノーマルモードノイズ対策用に+と−の信号線の間に挿入されるコンデンサ、Yコンデンサはコモンモードノイズ対策用に、信号線とグラウンド(アース)間に挿入される。さらに突入電力抑制をかねたノーマルモードのチョークコイルといった部品で構成された回路が定番。ほかにもサージアブソーバーや突入防止のための抵抗など、高価な電源になるほどこの前段部分の回路構成も複雑なものになる。逆に安価な電源では、このフィルタ回路は極力簡略化してしまう。
image(2)整流回路
ダイオードブリッジを用いて交流を一方向の脈流に整流する。ダイオードは一方向にしか電気を通さないので、マイナス方向に流れようとする間は電気を通さない。この時点で電圧は0からピーク値の間を大きく変動する「脈流」と呼ばれる状態になっている。
image(3)Active PFC回路
高調波規制からスイッチング電源の力率改善が求められるようになった結果、平滑回路に入る前に力率改善(Power Factor Control)回路を経由する製品が多くなった。脈流をそのまま整流すると入力側から見て電流の流れる時間が小さくなり、大量の電流が流れ力率が低下する。これを抑えるために信号を細切れにして一度に流れる電流を抑制するチョッパー回路を入れ対策している。これがPFC回路だ。昇圧回路も兼ねていて、PFC対応電源は100/200Vの切り換えに自動で対応できる。この回路も一種のスイッチング回路である。
image(4)平滑回路(1次側)
入力コンデンサを用いて脈流をより安定した直流に変換する。コンデンサは電圧がかかると自身の容量がある間は蓄電し、電圧がかからなくなると放電する。この性質を利用して脈流を平滑化する。平滑回路の前段には大き過ぎる突入電流を防止する回路がある。入力コンデンサは大出力電源ほど大容量のコンデンサを使うことになる。以前は高級と言われる電源でも入力コンデンサは85℃品が使われていたが、電源の出力が大きくなり、発熱が増えた現在では、ここに105℃品を使う製品も多くなってきた。
image(5)スイッチング回路
平滑回路でほぼ直流化された電力はパワートランジスタやPower MOSFETと呼ばれる大電力のスイッチング素子を使い、数kHz以上の高い周波数のパルス状の電力となる。スイッチング素子は発熱が大きいのでヒートシンクに貼り付けられている。スイッチング素子の選択や回路構成は電源の変換効率に大きく影響する。
image(6)トランス
入力と出力を絶縁して、400V以上の入力を実際に使う電圧値に近い出力電圧に変換する。高周波数のスイッチングを用いることで、商用周波数(50/60Hz)でトランスを使って電圧変換を行なうよりも小型、軽量のトランスを使うことが可能になる。このことがスイッチング電源を使う大きなメリットとなる。
image(7)PWMコントローラ
スイッチング回路はパルス信号のON時間を調整することによって整流後の電圧値を変えることができる。出力電圧の変動をパルス幅変調回路にフィードバックすることでこのパルス幅を調整し、出力電圧を一定に保つ。そのための制御用ICがPWMコントローラである。
image(8)整流・平滑回路(2次側)
トランスからの電力はパルス状の出力なので、これを整流・平滑化して再度直流出力にする。整流ダイオードには低電圧大電流が流れるため、発熱が大きく、やはりヒートシンクに貼り付けられる。また、平滑化はコイルとコンデンサの組み合わせで行なう。ここのコンデンサには熱に強い105℃品が使われることが多い。
image(9)基板
限られた体積の筐体内に大出力電源を収めることもそうだが、アナログ回路である電源は部品のレイアウトが性能に影響するため、その設計には多くのノウハウが存在する。本製品では価格を抑えるためか比較的安価なフェノール基板を採用しているが、より高い安全性を考えると高価だがガラスエポキシ基板(右上)の採用が望ましい。
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