たとえば、Windows Vistaの象徴的な存在である新インターフェースのWindows Aeroは、3DCGの技術を使ってデスクトップ画面を描画するため、DirectX 9に対応したビデオカードと、十分なメモリ容量が必要だ。特徴であるウィンドウ外枠の半透明化処理は、背後のウィンドウの内容をある程度判別できるメリットがあり、美しさと分かりやすさを兼ね備えている。GPUさえ十分な性能を持っていれば、CPUの代わりにGPUが描画命令を処理してくれるので、システム全体の軽快さも増す。

　また、アプリケーションの利用頻度などを解析し、メモリ管理を最適化する「スーパーフェッチ」、バックグラウンドアプリケーションのI/Oアクセスのタイミングを調整する「ロープライオリティI/O」といった、操作感を向上させるためのインテリジェントなフィーチャーも注目。これらのメリットを活かすには、やはりメモリ容量が必要になる。

　また、Windows Vistaでは、ユーザーが操作しているフォアグラウンドのアプリケーショントのバックグラウンドで別のプログラムが走る「マルチタスク」環境が前提となっている。OS標準のバックグラウンドタスクの例としては、ウイルスやスパイウェアの侵入を監視する「Windows Defender」などがある。また、「ガジェット」と呼ばれるミニアプリケーションを常駐させ、簡単にアクセスできるようになっており、CPUが同時にこなすべき処理が格段に増えている。こういった環境では、一つのCPU内部に「コア」（プログラムを解釈し、実行する部分）を複数内蔵したマルチコアCPUの威力がてきめんに現われる。

　つまりは、Windows Vistaの特徴を活かし、快適に使うならば、Windows XP時代とはまた違った、それ相応のハードウェアが必要になるということである。PCパーツ選択の感覚もWindows Vista用にアップデートする必要がある。そして、適切なハードウェアを与えてやれば、Windows VistaはWindows XPよりも格段に快適な環境を提供してくれる。本特集では、Windows Vistaの機能解説に続き、Vistaに最適なPCパーツ選択を指南していく。これを参考に快適なVistaライフを満喫していただければ幸いだ。