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Windows Vista発売! 激変するPC自作 |
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TEXT:鈴木雅暢 |
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機能が異なる4種類のエディション 本命はどれだ? |
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Windows Vistaには、機能の違いによって、主に四つのエディションが存在する。入門向けの「Home Basic」、マルチメディア機能付きの「Home Premium」、ビジネス向けの「Business」、最上級の「Ultimate」だ。厳密には大企業向けの「Enterprise」も存在するが、個人ユーザーが利用することは現実的でないため、省いている。それぞれのエディションの特徴は下の表にまとめたとおりだ。それぞれの機能の詳細、あるいは搭載機能の一覧については後のページで掲載しているので、そちらを参照してほしい。
さて、どのエディションを選ぶかであるが、一般の個人ユーザーにとっては、「Home Premium」がまず有力な選択肢になるだろう。パフォーマンス向上やセキュリティ対策に関する基本機能はもちろん、Windows Aeroをはじめ、バランスよく機能を搭載しており、テレビ視聴/録画機能を持つマルチメディア統合ソフト「Media Center」も標準で搭載している。一方、ビジネス向けと位置付けられている「Business」も、リモートデスクトップのホスト機能をはじめ、ファイルの履歴を管理する「シャドウコピー」、HDDを完全バックアップして復元することができる「Complete PCバックアップ」など、重要なデータを扱う場合に便利な機能を多く搭載している。こういった機能に魅力を感じる個人ユーザーも少なくないだろう。
もっとも、BusinessではMedia Centerを含め、エンタテイメント系の機能のほとんどが省かれてしまうので、Businessの機能に魅力を感じる個人ユーザーは、Home PremiumとBusinessの両方の機能をあわせ持つUltimateを選ぶという方が多くなるかもしれない。HDDを暗号化して内容を見られるのを防ぐ「BitLocker」機能はEnterprise以外ではUltimateにしか搭載されないほか、オンラインサービスの「Windows Ultimate Extras」など、Ultimateのみの特典もある。 |
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Home Basic
入門向けのエディション。OSのアーテキクチャそのものはほかのエディションと同じで、進化した検索機能やスーパーフェッチなどの先進機能が利用できる。ただ、Windows AeroやDVD再生機能が利用できないなど制限も多く、新OSとしては少々もの足りない仕様。2台目以降のPC向けなど、かなり割り切った用途向けと言える。 |
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Home Premium
一般ホームユーザー向けのエディション。新ユーザーインターフェースのWindows Aeroはもちろん、10フィートUIを採用したマルチメディア統合ソフト「Media Center」が標準で付属。テレビの視聴/録画をはじめ、オンラインで配布されているマルチメディアコンテンツなどを家電ライクなインターフェースで手軽に楽しめる。 |
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Business
ビジネスユーザー向けのエディション。Windowsサーバーへのドメイン参加機能のほか、ファイルの履歴を管理し、任意の時点に復元できる「シャドウコピー」、HDD全体をバックアップし、復元できる「Complete PCバックアップ」などといった便利な機能をサポートする。Windows Media Centerなど、エンタテイメント系の機能は省かれている。 |
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Ultimate
最上級のエディションで、下位のHome Premium、Businessが持つすべての機能に加えて、HDDを丸ごと暗号化する「BitLocker」など、Ultimateにしか搭載されない機能も加わっている。さらにUltimate専用のアプリケーションやコンテンツなどをダウンロードできるオンラインサービス「Windows Ultimate Extras」が利用できる。 |
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Ultimateのみの機能
BitLocker
HDD内のデータすべてを暗号化することによって保護する。盗難にあったり、紛失してしまったりした場合でも外部にデータが漏洩するのを防げる
Windows Ultimate Extras
Ultimate専用アプリケーションやコンテンツなどがダウンロードできる、Ultimateユーザー専用のオンラインサービス |
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これら四つのエディションのインストールメディアはすべて共通で、ライセンスキーによって区別される。最初に購入したエディションから上位のエディションへのアップグレードもサポートされており、オンラインで上位エディションのライセンスキーを購入できる「Windows Anytime Upgrade」というサービスも用意されている。Anytime Upgradeの種類と価格は右の表に掲載したとおりだが、Home BasicやHome PremiumからBusinessへのアップグレードはできない(Ultimateへは可能)点に注意してほしい。また、Anytime Upgradeの価格は、それぞれのエディションの価格差よりかなり割高になっているので、上位のエディションが必要なことが分かっている場合は、最初から上位のエディションを購入したほうがよいだろう。 |
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エディションをアップグレードできる「Windows Anytime Upgrade」は、ウェルカムセンターやコンピュータのプロパティから起動できる |
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Anytime Upgradeではオンラインでアップグレード用のライセンスを購入後、手元にあるVistaのインストールディスクを使って再セットアップする |
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自作ユーザー向けのDSP版、アップグレード版は利便性に難 |
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また、購入の際には、エディション以外に販売形態にも注意が必要だ。Windows Vistaでは、通常パッケージ版の「通常版」、アップグレード版の「アップグレード版」、そして、ハードウェアとセットでの販売となる「DSP版」と3種類が用意されている。アップグレード版は通常版に比べて割安だが、旧OSで使用中の環境を引き継いだままアップグレードできる「アップグレードインストール」が適用できる環境は限られている。また、アップグレード版では旧OS上からしかインストーラが起動しない仕様になっているため、クリーンインストールを行ないたい場合は、まず旧OSをクリーンインストールし、その上でVistaのアップグレード版インストーラを立ち上げなければならないという利便性を欠いた仕様になっている点にも注意してほしい。なお、アップグレード版の対象OSはWindows 2000およびWindows XPで、Windows Me以前のOSは対象外だ。
DSP版は、完成品PCにプリインストールされた形や、特定のPCパーツにバンドルされた形のみで販売される製品だ。製品の仕様はパッケージ版と同じだが、ライセンス形態とサポート窓口が異なる。DSP版では、同時に購入したパーツと一緒に利用することが義務付けられているほか、サポート窓口がマイクロソフトではなく、販売元(PCパーツショップなど)となる。マイクロソフトからのサポートは受けられないが、その分DSP版の価格はアップグレード版と比べても割安なので、自作ユーザーには適した形態と言える。
そのほかエディション選択/販売形態選択の際に注意すべき点としては、64bit版Windows Vistaの存在がある。通常版/アップグレード版については、どのエディションにも、32bit/64bitのライセンスが含まれているが、利用できるのはどちらか一方のみとなる。ただ、64bitのインストールメディアが同梱されているのはUltimateのみで、ほかのエディションでは、マイクロソフトの「Windows Vista インストール メディア お申し込みセンター」に送付を依頼する必要がある(配送手数料は1,050円)。また、DSP版については、64bit版と32bit版は別製品として分けられており、利用したいほうを購入するという形を採る。この配布形態からも分かるように、マイクロソフトは64bit版の配布に積極的ではない。現状の個人向けPCでは、ハードウェア、ソフトウェア(ドライバ含む)ともに、64bitのメリットを有効に活かせる環境が整っていないため、妥当な措置と言えるだろう。 |
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Windows Vistaのエディションごとの価格 |
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エディション |
パッケージ形態 |
参考価格(税込み) |
Ultimate |
通常版 |
51,240円前後 |
アップグレード版 |
33,390円前後 |
DSP版(FDDセットの価格) |
24,000円前後 |
Business |
通常版 |
39,690円前後 |
アップグレード版 |
27,090円前後 |
DSP版(FDDセットの価格) |
19,000円前後 |
Home Premium |
通常版 |
31,290円前後 |
アップグレード版 |
20,790円前後 |
DSP版(FDDセットの価格) |
15,500円前後 |
Home Basic |
通常版 |
27,090円前後 |
アップグレード版 |
14,490円前後 |
DSP版(FDDセットの価格) |
12,000円前後 |
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※DSP版は32bit版、64bit版ともほぼ同じ価格、またHome PremiumとHome BasicのDSP版にはCD版とDVD版が存在し、いずれもほぼ同じ価格 |
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アップグレード版は、通常版よりも割安だが、現在利用中のOSのエディションによっては、使用中の環境を引き継いだアップグレードインストールができない。それ以外の場合は、新規インストールとなるが、DVDブートによるクリーンインストールはできず、旧OSをインストールしてから、その上でVistaのインストーラを立ち上げる手順を取らねばならない。 |
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Windows XP/2000からVistaへのアップグレードインストール |
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Home Basic |
Home Premium |
Business |
Ultimate |
Windows XP Professional |
新規のみ |
新規のみ |
OK |
OK |
Windows XP Home Edition |
OK |
OK |
OK |
OK |
Windows XP Media Center Edition 2005 |
新規のみ |
OK |
新規のみ |
OK |
Windows XP Tablet PC Edition |
新規のみ |
新規のみ |
OK |
OK |
Windows XP Professional x64 Edition |
新規のみ |
新規のみ |
新規のみ |
新規のみ |
Windows 2000 |
新規のみ |
新規のみ |
新規のみ |
新規のみ |
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※OK:アップグレードオプションが選択可能
新規:新規インストール (クリーンインストール)が必要 |
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アップグレード元の
エディション |
アップグレード後の
エディション |
参考価格
(税抜き) |
Home Basic |
Home Premium |
9,800円 |
Home Basic |
Ultimate |
23,800円 |
Home Premium |
Ultimate |
18,800円 |
Business |
Ultimate |
16,800円 |
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※Anytime Upgradeの対象はパッケージ版のWindows Vistaのみ |
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