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圧縮オーディオを高音質で楽しむためのテクニック

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TEXT：藤本健

Column

圧縮オーディオを高音質で楽しむための
テクニック

音楽CDをMP3やWMAに変換したんだけど、イマイチ音がよくない・・・。そう思っているユーザーも多いだろう。そこで、高音質なオーディオ圧縮を実現する方法の一つを紹介しよう。

フリーの波形編集ソフト「Sound Engine Free」を使ってリッピングしたWAVファイルの音量を下げてから、MP3やWMAなどにエンコードすることで音質が向上する

　音声圧縮方式には、MP3にWMA、AAC、Ogg Vorbisなど、さまざまなフォーマットが存在する。これらはWAVと比較して約1/11（128kbpsの場合）にまでファイルサイズを圧縮できるため非常に便利だ。ただし、これらは非可逆圧縮と言われ、人の耳では分かりにくい程度に音の情報を間引いて圧縮を実現しているため、若干ながら音質が落ちてしまう。どうしても音楽CDの原音にこだわるなら、WAVのまま使うか、WMA Lossless、Apple Lossless、FLACなどのロスレス（可逆）圧縮を用いるべきだろう。

　とはいえ、MP3やWMAでも、うまく圧縮すれば多くの人には音質の差が分からない程度になる。一般的に128kbpsのbitレートが使われているが、160kbps、192kbpsへ上げてゆくと間引くデータが少なくなり音質は向上する。

　非可逆圧縮した音を実際に聞いて原音との違いが分からないなら、さほど問題はないが、曲によってはハッキリと劣化が分かるケースがあるのがやっかいなところだ。具体的には、クリップしたようなブチッという音が入ったり、シンバルやハイハットの音が明らかに歪んだりする。これは、単にbitレートを上げて解決する問題ではなく、高域が欠けていることとも関係ない。圧縮アルゴリズムの弱点に合致した音楽データであるため、こうしたことが起きてしまうのだ。

　弱点というのは、コンプレッサ（音量のピークを一定に揃えること）のかかった音に弱いこと。つまり大音量がひたすら続くような音に弱いのだ。とくに最近のJ-Popは思い切りコンプレッサをかけて音圧を稼ぎ、最大音量に設定して作られるため、まさに圧縮オーディオに弱い音楽データと言える。

　そこで、MP3やWMAなどに圧縮する前のWAVデータに、ちょっとした処理をしてやると、音質は飛躍的に向上、クリップ現象なども防ぐことができるのだ。

　その処理とは、単に曲全体の音量レベルを下げること。もちろんリッピングするのだから、CDの再生ボリュームをいじったり、Windows Media Playerなどのエンコードソフトのボリュームを絞ったりしてもダメ。波形編集ソフトを用いてWAVデータの波形を書き換え、音量レベルを下げる必要がある。具体的には－6dB程度レベルを下げるのが無難だ。これは音量を半分にすることになるが、圧縮ソフトの特性上、実際にはそこまで小さな音にはならないようだ。可能であれば、さらにエクスパンダーというエフェクトをかけて、コンプレッサ効果を取り除いてやるとさらに効果的だ。波形編集ソフトには、Sound Engine Free、Audacityなど日本語の使えるフリーソフトもあるので、試してみてはどうだろうか？