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PCサウンド飛躍の一手

音楽配信サービスの現状

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TEXT：藤本健

Column

音楽配信サービスの現状

PCサウンドを語る上で、ここ最近の音楽配信サービスについて触れないわけにはいかない。ここでは、iTunes Music Store（現iTunes Store）と、10月3日から定額配信を開始したNapsterを比べてみよう。

iTunes Store、Napsterともに、利用するには専用ソフトを導入する必要がある

　音楽CDをリッピングしてPCのHDDに取り込み、外出時にはポータブルプレイヤーに転送して楽しむ。こうしたスタイルは数年前から一般的になっているが、インターネットの音楽配信サービスが急速に普及したことで、音楽データの入手法も変わりつつある。

　国内の音楽配信自体は、1999年頃からスタートしていた。しかし、爆発的に普及したのは、昨年8月のアップルコンピュータによるiTunes Music Storeのサービス開始以降と言ってよいだろう。1曲150～200円という価格設定で、決済が簡単、手軽にダウンロードできる上に、iPodに転送できたり、CDに焼けたりするというのは画期的だった。CDリリース前の先行配信が行なわれたり、すでに廃盤となった旧譜が提供されたりと、これまでにないサービスは人気を集めた。

　そして今年10月、これまでの音楽ビジネスのあり方を根本から覆すサービスがスタートした。ナップスタージャパンによる「Napster To Go」だ。月額1,980円を支払えば、約150万曲という膨大なライブラリをダウンロードし放題で、ポータブルプレイヤーへ転送して外出先へ持ち出すこともできる。1曲ごと試聴して、購入すべきか悩んでからダウンロード、という従来とは異なり、気なる曲を片っぱしからダウンロードできるスタイルはまさに画期的。これまでにない音楽との接し方になりそうだ。

　こうした定額配信は今後各社が追従する見通しで、対応するポータブルプレイヤーも急速に増えると思われる。

	曲数	価格	形式	対応ポータブルオーディオ
iTunes Store	約200万曲	1曲150円から	AAC	アップルコンピュータiPodシリーズ
Napster a la carte	約150万曲	1曲150円から	WMA	ポータブルオーディオへの転送は不可
Napster Basic		月額1,280円		NTTドコモ　FOMA 903iシリーズ（一部）、クリエイティブメディア ZEN Vシリーズ、東芝　gigabeat Sシリーズ、日本ビクター　alneo XA-Cシリーズほか
Napster To Go		月額1,980円

iTunes Store

今年9月にiPodシリーズを一新し、iTunes 7をリリースした上で、以前のiTunes Music Storeから名称を改めた。その背景には米国で映画配信をスタートしたことがあるが、日本国内では現在も映画やテレビドラマを配信する予定がなく、サービス自体は従来とほとんど変わっていない。ストアの利用にはiTunesの導入が必須で、ユーザーインターフェースの使いやすさや検索性は群を抜いている。ほかのユーザーが公開したプレイリストで新たな曲に出会えるのもおもしろい。

ポータブルオーディオプレイヤー市場で最大のシェアを持つiPodシリーズが対応。強力な同期機能も魅力の一つだ

Napster

ナップスタージャパンがタワーレコードのノウハウを活かしてスタートした、まったく新しい音楽配信サービス。1曲単位で購入する「Napster a la carte」、PC限定の定額配信「Napster Basic」、ポータブルプレイヤーへの転送も可能な「Napster To Go」の三つのサービスが用意されている。今のところほとんどが洋楽で邦楽の曲数が少ないものの、276のレコード会社／レーベルが参加しているため、今後の展開から目の離せないサービスになりそうだ。