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最新HDD事情 |
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TEXT:鈴木雅暢 |
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2005年末から新年にかけて、続々と各社の新型モデルが登場しているHDD市場。容量の増加やSerial ATA 2.5、eSATAの登場など、目新しいトピックも多く、大容量モデルの実売価格の下落も手伝って、市場は一気に盛り上がってきた。本特集では上記を含めた最新のHDDに関する情報を多角的にまとめていく。 |
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400GBモデルが一気に身近に。HDDは今が買い時 |
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HDDの最近のトレンドとして挙げられるのは、容量の全体的な底上げだ。2005年末から400GBクラスのラインナップが急増し、従来からあるこのクラスのモデルも価格の下落が目立ってきている。
2005年秋までは日立グローバルストレージテクノロジーズ(以下日立GST)のDeskstar 7K500しか存在しなかった500GBモデルも、MaxtorのDiamondMax 11、SeagateのBarracuda 7200.9などが登場し、実売価格も下がってきている。300GB以下のモデルはさらに値下がり、1月中旬では250GBクラスが1万円前後にまで下落している。
また、ここ1年ほどの間に登場したHDDの多くが、Serial ATA 2.5(The Serial ATA Revision 2.5 Specification)の3Gbps転送に対応しているのも目新しい。
Serial ATA 2.5とは、従来のSerial ATA 1.0a(Serial ATA Specification 1.0a)を引き継ぐ新しい公式仕様のことだ。ネイティブコマンドキューイング(NCQ)や、3Gbpsの転送速度、スタッガードスピンアップ、ポートマルチプライヤなどといった拡張仕様が加えられている。
これらの拡張仕様はSerial ATAII Working Groupによって仕様が策定され、「Serial ATAII」と総称される。 |
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最近では容量250GBのモデルが、もっともコストパフォーマンスに優れている |
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外付け用の規格である「eSATA」に対応した外付けHDDケースも登場し始めた |
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Serial ATA 2.5で追加された拡張仕様 |
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ネイティブコマンドキューイング(NCQ) |
リードコマンドをキャッシュ内で並べ換えて効率的よく実行する機能。ランダムアクセス性能が向上する |
ホットプラグ |
システムの電源を落とすことなくHDDの着脱を可能にする機能 |
SATA-LED |
アクセス/スタンバイなどHDDのステータスを知らせるインジケータLEDの仕様 |
スタッガードスピンアップ |
複数台のHDDを接続した際に、スピンアップのタイミングをずらすことでピーク消費電力を抑える機能 |
ポートセレクタ |
一つのHDDに異なる二つのコントローラのポートを接続することで冗長化する機能 |
ポートマルチプライヤ |
ポートを分岐することで一つのコントローラに最大15台のHDDを接続できる機能 |
ケーブル/コネクタ仕様Vol.2 |
eSATAやマルチレーン、RAID用バックプレーンなどの新仕様のケーブルとコネクタを追加 |
3Gbps転送 |
Serial ATA 1.0の転送速度(150MB/s)の2倍の300MB/sの転送速度を実現 |
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Serial ATAIIに関連するメディアや販売店の誤解 |
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Serial ATAの規格を決めているSATA-IO(The Serial ATA International Organization)は最近になってから「Serial ATAII=3Gbps転送ではない」という説明を行なったが、いまだに販売店や一部メディアでは「Serial ATAII Phase1=NCQ」、「Serial ATAII Phase2=3Gbps転送」との誤認が見られる。
まず、Serial ATAII Working Groupは「Serial ATAII」という規格を決めていたわけではないことを理解しておこう。そして、Phase1、Phase2というのは「まずこれを先に決めて、その後はこれ」といった進行上の便宜的な言葉に過ぎず、今となっては意味のないものである。
さらに、それぞれの拡張仕様は独立したもので、相互に関連性がない。つまり、「Serial ATAII Phase2に対応したHDDは、必ずNCQと3Gbps転送に対応」といったような便利な関係にはなっていない。実際、3Gbps転送に対応していてもNCQには対応していない製品は存在する。
「Phase」という言葉でひとくくりにできず不便ではあるが、現状はそれぞれの機能ごとに有無を確認するしか方法はない。なお、本稿ではNCQや3Gbpsなどの拡張仕様を総称する必要がある際は「Serial ATA 2.5フィーチャー」という言葉を使うことを、あらかじめ断っておく。
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Serial ATAの外付けを実現する「eSATA」 |
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eSATA(External SATA)もSerial ATA 2.5で拡張された仕様の一部で、Serial ATAの外付けに関する仕様を総称する名称である。eSATAは外付けながら内蔵用と同じデータ転送速度を実現しているのが最大の特徴。基本的にはeSATAは従来の内蔵用Serial ATAとまったく同じインターフェースであるが、従来のSerial ATAとはコネクタの形状が異なっている点に注意が必要だ。具体的な違いについては次のページで詳しく紹介しているので、そちらを参照してほしい。 |
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Sreral ATAII対応HDDカタログ |
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URL:http://www.hitachigst.com/ |
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Deskstar 7K80 |
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7,200rpm|3Gbps |
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3Gbps転送対応のエントリーモデル |
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容量が40GBと80GBのみという、シンプルなラインナップの廉価モデル。プラッタ容量が80GBと、同社のHDDとしては1、2世代前の内部設計ながら、インターフェースまわりは新しくなっており、3Gbps転送、NCQもサポートする。 |
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SPEC
容量:40GB、80GB
キャッシュ:8MB
平均シーク時間:8.8ms
インターフェース:Serial ATA(NCQ対応)、Ultra ATA/133
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URL:http://www.hitachigst.com/ |
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Deskstar T7K250 |
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7,200rpm|3Gbps |
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バランスのよさが魅力の定番モデル |
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日立GSTの7,200rpm主力ドライブ。プラッタ容量は125GBで、Serial ATAモデルは、NCQ、3Gbps転送に対応する。同社が配布している「FeatureTool」を使うことで、3Gbps/1.5Gbpsモードの切り換え、シーク音の静音化などの設定が可能。 |
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SPEC
容量:160GB、250GB
キャッシュ:8MB
平均シーク時間:8.5ms
インターフェース:Serial ATA(NCQ対応)、Ultra ATA/133 |
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URL:http://www.maxtor.com/ |
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DiamondMax 11 |
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7,200rpm|3Gbps |
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4プラッタで500GBを実現した最新モデル |
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Maxtorの最新大容量HDDモデル。プラッタ容量は非公開だが、400GBが3プラッタ構成、500GBモデルが4プラッタ構成ということから、133GB(あるいは500GBのみ125GB)のようだ。もちろん3Gbps転送、NCQにも対応している。 |
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SPEC
容量:400GB、500GB
キャッシュ:16MB
平均シーク時間:8.5ms未満
インターフェース:Serial ATA(NCQ対応)、Ultra ATA/133 |
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URL:http://www.maxtor.com/ |
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DiamondMax 10 |
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7,200rpm|3Gbps|1.5Gbps |
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定番HDDが3Gbps転送に対応 |
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Maxtorの主力モデル。容量バリエーションが豊富で、250GB以上のモデルでは16MBの大容量キャッシュを搭載している。Serial ATAモデルのうち、製品型番「6V」で型番が始まるモデルは3Gbps転送にも対応している。 |
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SPEC
容量:80GB~300GB
キャッシュ:8MB~16MB
平均シーク時間:9ms未満
インターフェース:Serial ATA(NCQ対応)、Ultra ATA/133 |
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URL:http://www.seagate.com/ |
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Barracuda 7200.9 |
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7,200rpm|3Gbps|1.5Gbps |
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最大160GBのプラッタを採用 |
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3Gbps、NCQに対応したSeagateの現行主力モデル。40GB~160GBモデルが160GBプラッタ、200GB~400GBモデルは133GBプラッタ、500GBモデルは125GBプラッタとなっている。300GBモデル以上は16MBの大容量キャッシュを装備する。 |
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SPEC
容量:40GB~500GB
キャッシュ:2~16MB
平均シーク時間:8.5ms
インターフェース:Serial ATA(NCQ対応)、Ultra ATA/133 |
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URL:http://www.westerndigital.com/ |
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WD Cavier SE16 |
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7,200rpm|3Gbps|1.5Gbps |
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16MBの大容量キャッシュを搭載 |
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Western Digitalのデスクトップ向けHDDのハイエンドモデルで、16MBの大容量キャッシュを搭載するのが特徴。250GBと400GBモデルが用意されており、3Gbps転送に対応するのは前者のみで、両モデルともNCQへの対応は明記されていない。 |
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SPEC
容量:250GB、400GB
キャッシュ:16MB
平均シーク時間:8.9ms
インターフェース:Serial ATA |
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URL:http://www.westerndigital.com/ |
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WD Raptor |
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10,000rpm|1.5Gbps |
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超高速10,000rpmの最新150GBモデル |
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Serial ATA HDDとして唯一、回転速度10,000rpmを実現したRaptorシリーズの最新モデル。従来モデルよりプラッタ容量の増量により容量が倍増したほか、NCQにも対応。MTBF(故障までの平均時間)120万時間という高信頼性もウリの一つ。 |
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SPEC
容量:150GB
キャッシュ:16MB
平均シーク時間:4.6ms
インターフェース:Serial ATA(NCQ対応) |
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URL:http://www.samsung.com/ |
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Spin Point P |
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7,200rpm|3Gbps |
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独自の静音設計が魅力 |
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国内の大手メーカーPCでの採用例が多いSamsungのデスクトップPC向け主力製品。NoiseGuard、SilentSeekといった同社独自の静音技術による静音設計は評価が高い。Serial ATAモデルは3Gbps転送、NCQに対応している。 |
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SPEC
容量:200GB、250GB
キャッシュ:8MB
平均シーク時間:8.9ms
インターフェース:Serial ATA(NCQ対応)、Ultra ATA/133 |
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