構築術1 | 高級サウンドカードは何が違うのか |
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金メッキを施したRCAピンプラグ
オーディオグレードの高品質コンデンサの多用や、LINE OUT端子に音質面で有利なR C Aピンプラグを採用するなど、アナログ部分にコストをかけているのが高級サウンドカードの特徴だ
PCで音楽を再生する際、音質を大きく左右する要素の一つがサウンドカードやオーディオデバイスだ。ただ、相手が音なので、何が違うのかというのが分かりにくいのも事実。さまざまな差が総合的に音に現われるとしか言えないのだが、製品自体を見て分かるのは、端子がステレオミニジャックではなく金メッキのRCAピンプラグであったり、回路が線対称に設計されていたりなど、アナログ部分の仕様が中心である。
音質にこだわったサウンドカードとしては、ASUSTeKの「Xonar Essense STX」やオンキヨーの「WAVIO SE-200PCI LTD」が挙げられる。PC内部のノイズを拾わないことから、USB接続型のオーディオデバイスの人気も高い。高音質を実現したUSB接続型のオーディオデバイスとしては、オンキヨーの「WAVIO SE-U55SX2」や、USB DACを内蔵した2チャンネルアンプにスピーカーをセットした「CORE-A55」などがある。
構築術2 | 音楽ファイル形式を見直して高音質環境を実現 |
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FLAC対応の再生ソフト
可逆圧縮形式として人気の高いFLACに対応した「foobar 2000」(http://www.foobar2000.org/)
可逆圧縮で取り込む
WMAやMP3は非可逆圧縮のため、どうしても音質が低下してしまう。音質にこだわるなら、可逆圧縮か無圧縮を使おう
音楽ファイルをPCで管理する場合、どんなファイル形式を使っているだろうか。WMAやMP3は多くの再生ソフトが対応していて扱いやすい上、ファイルサイズもコンパクトで便利だ。しかしこれらのフォーマットは音を間引きすることで圧縮しているため、どうしても音質の劣化が生じてしまう。そこで、音質を向上させるにはロスレスと呼ばれる劣化のないものがお勧め。Windows Mediaオーディオロスレス、Apple Lossless、FLACなどがある。
構築術3 | 24bit/96kHz環境でひと味違うサウンドを体験 |
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24bit/96kHzで配信している「e-onkyo music」(http://music.e-onkyo.com)
海外の高音質音楽配信サイトの一つである「HDtracks」(https://www.hdtracks.com/)
一番よい音質のデータはCDだと思っている人は少なくないが、30年も前の規格であるCDは、現在の技術からすると実は低レベルであるのも事実。CDの量子化bit数は16b i t、サンプリングレートは44.1kHzというものだが、現在レコーディングでは24bit/96kHzが採用されており、CDに収めるために量子化bit数やサンプリングレートを落としている。
ただ、最近になって24bit/96kHzの高音質のままで音楽を配信するサービスが続々と登場している。こうしたサービスを利用すれば、質の高い音を存分に楽しめる。
PCを軸に構築するオーディオ環境のメリット
最近PCを核にしたシステムでハイエンドオーディオを楽しむ人が増えてきている。PCであれば、コストを抑えて高音質再生環境を構築することができるからだ。
ただ、高音質で音楽を楽しむためにはある程度の投資は必要だ。まずスピーカーを一定レベル以上のものにした上で、サウンドカードやオーディオデバイスに投資するとよい。
さらにCDをそのまま再生すると光学ドライブの回転音がジャマなため、できればデータをリッピングしてHDDやフラッシュメモリに保存しておきたいところ。その際、MP3やAAC、WMAなどにせず、WAVにするか可逆圧縮と呼ばれる劣化のない形式で圧縮するのがポイントだ。
最近増えつつある、CD以上の音質を実現した音楽配信サービスを利用するのもよいだろう。このようにハードウェアだけでなく、音楽ソースの内容にもこだわることで、高級オーディオ機器を上回る音質を実現することが可能だ。
藤本健のインプレッション
WAVIOSE-U55SX2に変えて24bit/96kHzデータを再生すると、今までとはまったく違うPCオーディオの世界が開けた。ぜひこの違いを体験してほしい。
花茂未来の初心者的感想
オンボードからXonar Essense STXに変えるだけで、これだけ音が変わるのかと驚いた。音の解像感がグッと増し、個々の楽器の音がクリアに響いている。
24bit/192kHに対応した高性能サウンドカード
- ASUSTeK
- Xonar Essense STX
- 実売価格:15,000円前後
マザーボードやビデオカードのイメージが強いASUSTeKだが、実はサウンドカードにも力を入れている。なかでもこの製品は、非常に高音質でマニア受けしている1枚。アナログ・デジタルの入出力を備えるとともに、オペアンプのチップも交換可能だ。
Specification
●音声入力:LINE IN(ホン)、AUX IN(ピンヘッダ)
●音声出力:S/P DIF OUT(同軸/光ミニ)、S/P DIF OUT(ピンヘッダ)、LINE OUT(RCA)
7.1チャンネルのサラウンド環境も構築できるオーディオグレードのサウンドカード
- オンキヨー
- WAVIO SE-200PCI LTD
- 実売価格:20,000円前後
プラン1で紹介したSE-90PCIの上位機種にあたるのがこの製品。ステレオ出力として金メッキが施されたRCAピンプラグで用意されているほか、7.1チャンネルのサラウンド出力も可能。再生は24bit/192kHzにまで対応している。
Specification
●音声入力:S/P DIF IN(光角型)、LINE IN(RCA)、マイク(ミニ)
●音声出力:S/P DIF OUT(光角型)、LINE OUT(RCA)、LINE OUT(7.1チャンネル、ミニ)
USB接続で手軽に使えるハイエンドのオーディオデバイス
- オンキヨー
- WAVIO SE-U55SX2
- 実売価格:20,000円前後
オンキヨーのUSBオーディオデバイス、SE-U55シリーズの最新製品。USB接続のため、ノートPCでの高音質環境構築にも使える。音質向上のため、あえてバスパワーからの電源供給ではなく、ACアダプタを利用するなどのこだわりを見せている。
Specification
●音声入力:S/P DIF IN(同軸)、S/P DIF IN(光角型)、LINE IN(RCA)、マイク(ミニ)
●音声出力:S/P DIF OUT(光角型)×2、LINE OUT(RCA)、ヘッドホン(ミニ)
USB DACを搭載しPCとも接続できるコンパクトなデジタルアンプ+スピーカー
- ケンウッド
- Prodino CORE-A55
- 実売価格:26,000円前後
デジタルアンプを搭載した、コンパクトなオーディオ機器。USBインターフェースを搭載し、PCと接続すればオーディオデバイスとして使うことができる。アンプ単体の「KAF-A55」もあり、好みのパッシブスピーカーと組み合わせられる。
Specification
●音声入力:S/P DIF IN(光角型)、S/P DIF IN(光ミニ)、LINE IN(ミニ)、AUX IN(ミニ)
●音声出力:ヘッドホン(ミニ)
●本体サイズ(W×D×H):170×144×42mm(アンプ部)
【問い合わせ先】
ASUSTeK:03-5812-6131(ユニティ)/ http://www.asus.co.jp/
オンキヨー: 0570-001900 / http://www.jp.onkyo.com/
ケンウッド:0570-010-114 / http://www.kenwood.co.jp/