構築術1 | ヘッドホンアンプの役割と仕組 |
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ヘッドホンアンプもそのほかのアンプと同様、信号を増幅することが役割だ。ただ昨今の製品はDACを内蔵し、USBインターフェース経由でPCとつなげられる製品が増えている。つまりヘッドホン専用の外部オーディオデバイスとして利用できるわけだ。
もちろん内部で使われているのはオーディオ専用の部品であり、比較的低価格のものでもPCに備えられたヘッドホン端子から出力される音とは別次元の音質を味わえる。さらにヘッドホンを確実にドライブできる、十分な出力が得られるのもポイント。
扱いが容易な点もヘッドホンアンプの魅力だ。そもそも小型なため机上などに設置しやすい上、PCとの接続を前提とした製品では電源をUSB経由で供給するものが多く、電源ケーブルを引き回す必要もない。ヘッドホンを中心に音楽を聴くなら、ぜひ手元に置きたいデバイスだ。
オーディオ品質の部品を使用
iBasso Audio D2+Hj Boaの内部。オーディオクオリティのコンデンサが多数使われているなど、音質への配慮が見られる
構築術2 | ヘッドホンアンプをDACとして活用する |
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入力端子を豊富に装備
Topping D2は光角型と同軸の二つのS/P DIF入力端子を備えているほか、アナログのLINE IN端子(RCA)まで備えており、幅広い用途で活用できる
PCに接続するヘッドホンアンプにおいて欠かせないのが、USB経由で入力された音声信号をアナログに変換するUSB DACである。ただ、製品によってはUSB以外で入力されたデジタル信号をアナログに変換する、単純なDACとして機能する製品も多い。
たとえばセンチュリーが販売する「Topping D2」は、USB入力端子のほかに、光角型と同軸のS/P DIF入力端子を持つ。このため、デジタル出力端子を備えたPC以外のデバイスをつなぎ、単純なDACとして使用することも可能になっている。
さらに多くの製品で、アナログ出力のLINE OUT端子が搭載されており、一般的なアクティブスピーカーを接続することも可能だ。これにより、普段はヘッドホンでの利用が中心だが、スピーカーでも音楽を聴きたいといった用途でも使うことができる。このように、多様な用途をサポートできる懐の深さが、昨今のヘッドホンアンプの特徴と言えるだろう。
構築術3 | ヘッドホンにこだわる |
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ヘッドホンの種類はとにかく豊富で、さまざまなメーカーから多数の製品がリリースされており、価格帯も数千円と気軽に購入できるものから、10万円以上もする高価なものまで幅広い。
ヘッドホンを購入する際、まずポイントになるのはオープンエア型と密閉型の選択だ。一般的にオープンエア型は音がこもらず伸びやかな一方音漏れが大きい、密閉型は遮音性が高く迫力のある低音が楽しめるがこもりやすいなどの違いがある。
さらに付け心地も重要なチェックポイントになる。とくに長時間リスニングする場合、ちょっとした違和感が大きなストレスになる。付け心地は耳を覆うカバーの材質や固さ、ヘッドバンドの形状などさまざまな要素に左右されるので、できれば購入前に入念にチェックしよう。
ヘッドホンの特徴
オープンエア型
- 音がこもりにくい
- 圧迫感が強くない
- 音漏れが激しい
密閉型
- 遮音性が高い
- 低音が力強い
- 音がこもりやすい
愛用者の多いロングセラーモデル
発売から20年以上が経っているにもかかわらず、いまだに人気が高いのがソニーの「MDR-CD900ST」(実売1万7,000円前後)だ。原音に忠実で、ソースが持つ本来の音を聴くことができる
USB DACを内蔵し新たな魅力を獲得
一旦こだわり始めるとキリがないのがオーディオの世界で、とくにアンプやスピーカーでは数百万円という超高級モデルが多数存在する。ただ、そこまでお金をかけずにクオリティの高いサウンドが楽しめるアイテムがヘッドホンである。もちろんヘッドホンにも高級な製品は多数存在するが、スピーカーほどお金をかけなくてもハイエンド製品の音質を味わうことができる。
このヘッドホンに特化したアンプがヘッドホンアンプである。従来はどちらかというと地味な存在だったが、昨年からUSB接続でDACを内蔵した製品が続々と登場したことで、PC内の音楽を手軽かつ高音質で楽しめるデバイスとして人気が高まっている。
幅広い機器と接続できる、豊富なインターフェースを備えている製品も多い。S/P DIF入力端子があれば単純なDACとして使うことができるほか、アナログ出力端子を備えていればアクティブスピーカーをつなげられるなど、汎用性の高さも魅力の一つだ。
川添貴生のインプレッション
i Basso Audio D2+Hj boaを使ったところ、音に力強さが生まれ、とくに低音の迫力が増した。アナログ入力もあり、手軽なポータブルアンプとして使ってもおもしろい。
花茂未来の初心者的感想
RAL-2496HA1に変えると、オンボードのヘッドホン端子で目立っていたノイズが感じられなくなり、ソースが持つ本来の音の艶を存分に楽しむことができた。
外出先でも利用可能なポータブルヘッドホンアンプ
- iBasso Audio
- D2+Hj Boa
- 実売価格:19,000円前後
バッテリ内蔵で、ポータブルアンプとしても利用できる便利な1台。USB DACを搭載しているのはもちろん、アナログ入力が用意されているのでiPhoneなどを接続して外出先で使うといった用途にも対応する。
Specification
●音声入力:AUX IN(AUX OUTと兼用、ミニ)
●音声出力:AUX OUT(AUX INと兼用、ミニ)、ヘッドホン(ミニ)
●本体サイズ(W×D×H):51×82×21mm
デジタル出力端子を備えたとにかくコンパクトなヘッドホンアンプ
- NuForce
- Icon uDAC
- 実売価格:15,000円前後
机上に気軽に設置できる、コンパクトさが魅力のヘッドホンアンプ。同軸のS/P DIF出力端子を備えているため、USBで入力された信号を別のDACに入力するといった使い方も可能。LINE OUT端子を使ってスピーカーをつなげることもできる。
Specification
●音声入力:-
●音声出力:S/P DIF OUT(同軸)、ヘッドホン(ミニ)
●本体サイズ(W×D×H):38×21×68mm
多彩なインターフェースで豊富な機器との接続をサポート
- Topping
- DAC+ヘッドホンアンプ D2
- 直売価格:12,800円前後
USBに加えて光角型と同軸のそれぞれのS/P DIF入力端子、そしてアナログの入出力端子と豊富なインターフェースが魅力の1台。DACにはAnalog Devicesの「AD1852JRS」を採用。24bit/96kHz出力もサポートしている。
Specification
●音声入力:S/P DIF IN(光角型)、S/P DIF IN(同軸)、LINE IN(RCA)
●音声出力:LINE OUT(RCA)、ヘッドホン(ホン)
●本体サイズ(W×D×H):115×205×45mm
独自ファームウェアの開発など細部にまでこだわった1台
- ラトックシステム
- RAL-2496HA1
- 実売価格:15,000円前後
Texas InstrumentsのUSBオーディオ・インターフェース「TAS1020B」を採用した、24bit/96kHzをサポートするヘッドホンアンプ。ファームウェアを独自に開発することで、低ジッタなどを実現している。
Specification
●音声入力:-
●音声出力:LINE OUT(RCA)、ヘッドホン(ミニ)
●本体サイズ(W×D×H):90×66×32mm
【問い合わせ先】
iBasso Audio:03-5783-3880(ヒビノインターサウンド)/ http://www.hibino-intersound.co.jp/
NuForce:0120-004884 / http://www.nuforce.jp/
Topping:info@sirobako.com(センチュリー)/ http://www.sirobako.com/
ラトックシステム:03-5207-6410 / http://www.rexpccard.co.jp/