2008年11月21日より開催した「Windows Vista杯 自作PCの祭典 2008」は、2009年1月15日に無事応募の締め切りを迎えました。その間に寄せられたエントリーは184件にも上り、多数の個性的な自作PCが集まりました。ここでは、本祭典を総括し、各賞の選考結果を発表いたします。
まず、部門別の応募状況とエントリーマシンの傾向を見てみましょう。もっともエントリーが多かったのは「勝手にオレが一番!」部門で、全体の19.6%となる36件の応募がありました。これと1件差で「コストパフォーマンス部門」が続きます。前者はほかのどの部門にもあてはまらないコンセプトのマシンが集まったことが、後者は低価格指向のマシンと比較的高価なパーツを使いつつも全体的なコストパフォーマンスを高めたマシンの両方が集まったことが多くのエントリーにつながったようです。とくに勝手にオレが一番!部門にはケースから作り上げたというエントリーが多く、自作色が非常に強くなりました。
次いでエントリーが多かったのは、意外にも?「バカPC&痛PC部門」でした。ゲーム機の筐体にPCを収めたネタ志向のマシンから、容量10TB超の超大容量HDDマシンなどの実用志向のマシンまで、こちらも幅広い層がエントリーしています。
これに続くエントリーを集めたのが「定格パフォーマンス部門」と「ゲームPC部門」です。定格パフォーマンス部門は定格駆動で最高のパフォーマンスを追及するというコンセプトであったため、CPU、ビデオカードなどに最新パーツの使用が目立ちました。なかには本祭典の締め切り間際に発売されたAMDの新 CPU、PhenomⅡ X4の搭載機もあり、良好なベンチマークスコアをマークしていました。ゲームPC部門はハイパフォーマンス志向のヘビーユーザーから、低予算でいかに目的のタイトルを楽しめるかというコストパフォーマンス志向のユーザーまで層が厚くなった感があります。また、PC本体以外にも、マルチディスプレイや入力デバイス、PCルームなど、周辺環境にも強いこだわりが見られるのが特徴です。
全体の7.1%の応募があった「AV PC部門」ではゲームPC部門と同様に部屋やAV機器などの周辺機器とのコーディネイトに気を使う傾向が多く見られましたが、こちらは静音化や省スペース化の必要を感じるユーザーも多かったようで、スペックはほかの部門に比べてやや抑え気味の傾向にあります。
エントリー比率は少ないながらも大きな注目を集めたのが、「究極パフォーマンス部門」。文字どおり、最高の性能を目指して最高のパーツを投入した熱い戦いが繰り広げられました。この部門では、昨年11月に発売されたIntelの新CPU、Core i7の使用者が多く、その高い性能が証明されたとも言えるでしょう。
もっともエントリーが少なかった「64bit Vistaの達人部門」ですが、これは64bit環境のエントリーがほかの部門に流れてしまったためと思われます。64bit環境自体のエントリーはかなりの割合を占めており、Vista Ultimate 64bit版の24.6%を筆頭に、全体では約35%ものユーザーが64bit版Vistaを使用していました。メモリの低価格化に伴い、パフォーマンス志向のユーザーを中心に64bit環境が着実に浸透しているようです。ちなみに、OSのパッケージ形体を見てみると、8割近いユーザーがパーツバンドルで購入できるDSP版を利用していました。やはりコスト的なメリットが大きいDSP版のWindowsを利用できることもPC自作のメリットととらえられているようです。
このほか、全体的な傾向を見ると、部門を問わずSSDの使用が目立ちました。性能と静音性の両方が手に入るSSDはさまざまなユーザーのニーズを満たすことから、多少コストがかさんでも導入したいというユーザーが多いようです。多くのユーザーがシステムドライブにSSD、データドライブにはHDDという使い分けを行なっており、今後はこのような利用法がトレンドとなってゆくことが予想されます。また、ヘビーゲーマーやベンチマークのハイスコアラーたちの間では、SLIやCrossFireXなどのマルチGPU環境の利用が一般的になってきていることもうかがえました。
それでは、グランプリをはじめとする各賞の発表に移ります。受賞作はいずれも自作マインドにあふれる個性的なマシンばかりです。パーツ選択や使いこなしのよいお手本ですので、ぜひ、みなさんが自作される際の参考にしてください。
<受賞者> Evo@Tad49 氏
<受賞作品テーマ>
最適バランスで総合最速を目指す
<受賞マシンの構成パーツ>
高いトータルパフォーマンスを美しくまとめ上げた死角のないハイエンド機
PCMark05で全エントリー中最高スコア、3DMark06で3位と、総合的なパフォーマンスが非常に高いマシン。この性能を得るために、CPU、ビデオカードだけでなく、ストレージまわりのパーツ選びにも気を使っている。なおかつ、各種のハイエンドパーツをPCケースにうまく収めて水冷システムで冷却するなど、死角のない仕上がりになっている。
<審査員より>
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