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急激に大容量化するデータファイル

HDDはどう進化する

デジタルデバイスの普及により、求められる性能も大きく変化

生活の中のあらゆるデータを HDDに保存する時代に

　今や非常に身近なものとなったHDD。近年は、これまでと比べ、個人向けと業務向けの両面において、使用形態と要求される要素が大きく変化している。

　個人向けでは、デジタルカメラの高画素化や、ビデオカメラや放送の録画データなどのさまざまなデータの大容量化が促進されたことなどで、要求されるHDDの容量が増加の一途をたどっている。

　また、PCや家電のネットワーク対応が進んだことで、大容量のHDDを搭載したPCのホームサーバーとしての使われ方が普及の兆しを見せている。個人でもFTPサーバーを使用したり、自宅のデータバックアップをHDDでカバーしたりすることがめずらしくなくなった。複数のHDDを使用した大容量のRAID構成も個人ユーザーレベルで増加しており、「生活の中のあらゆるデータをHDDに保存する」傾向が鮮明になっている。

　こうしたホームサーバーとしての用途では複数のPCやデジタル家電のデータを集積するための大容量と、複数のユーザーの使用が前提となっているため、24時間通電することが基本となっている。

　さらに、業務用途では個人向けのHDD以上に、蓄積するデータの容量はますます増大しており、HDDはより重要なポジションを占めている。

　そして、いわゆる“グリーンIT”をはじめとするエネルギー効率の改善に注目が集まっていることで、低消費電力化がホットなトレンドになりつつある。とくに大量のHDDを運用するデータセンターレベルの話になると、温暖化防止への貢献ということも見えてくる。そのほか、RAIDやSAN、高密度サーバーの普及により、発熱や振動対策にも重点が置かれるようになっている。

高い容量対消費電力と信頼性を両立するHDD

　こうしたHDDの使われ方の変化により、ユーザーからのニーズと評価基準は大きく変化している。

　まずは、容量対消費電力（GB/W）の重要性が大きく増したこと。また、重要なデータが保存されることから、信頼性の向上も大きく重視される。加えて、上述したホームサーバー用途では、個人用の製品でも24時間通電することが求められる。これを前提にしたHDDの高信頼設計も重要だ。さらに、ケース内の複数内設置が一般的になったことで、耐振動・衝撃特性の向上まで求められる。

　こうした新しいHDDの基準を高度に満たす製品として挙げられるのが、「Seagate Barracuda ES.2」などの高信頼性／低消費電力HDD製品だ。

　Barracuda ES.2の優れた特徴の一つは、容量対消費電力効率が高いこと。1TBモデルを従来製品となるBarracuda ESの750GBモデルと比較した場合、容量は33％増だが、GB/Wは約55％と大きく向上している。さらに、消費電力も約20％低減。アイドル時8W、リード／ライト時は11.6Wに抑えている。

　それでいながら、速度も非常に高速だ。回転速度は7,200rpm、平均シークタイムは、読み出し時が8.5ms、書き込み時が9.5ms。内部データ転送速度は105MB/sである。

　このように高性能を保ちつつ、消費電力の低減を実現した理由の一つは、省電力技術「PowerTrimテクノロジ」にある。これは、HDDの動作状態（リード／ライト／シークなど）を詳細に監視し、リアルタイムで使用する回路ブロックのみに電力を供給することで、性能を低下させることなくムダな電力消費を解消し、効率的に消費電力を削減するものだ。

　また、そのほかの特徴として、複数台・高密度設置を前提とした実働状態における信頼性と耐振動性能の強化を目的とした「RVFF（Rotational Vibration Feed Forward）」機能を搭載。これは複数のHDDを同じ筐体に搭載する際、相互の振動による性能低下を防止する効果もある。さらに24時間通電環境での信頼性確保のために「Work Load Management」機能を搭載する。それに加え、製品出荷時には厳重なテストも実施されている。

　これらの効果により、回復不能エラー率はデスクトップ向けHDDの10分の1と極小だ。

　こうした優れた電力効率と高耐久性・信頼性を備えた製品であれば、これからの新時代のHDDに求められる条件を、高いレベルで満たしていけるはずだ。

Seagate Barracuda 7200.11シリーズでは垂直磁気記録方式の採用により、1プラッタあたり250GBという高密度化を実現している