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大容量サーバ構築に最適、

Western Digitalの省電力・低発熱HDD

　電力効率の向上と発熱の低減は、ここ数年で一気にPCパーツ全体のトレンドとなった。そして現在、この点で大きな注目を浴びているのがHDDである。

　このトレンドに先鞭を付けたのが、Western DigitalのWD Caviar GPシリーズだ。従来より同社製HDDで採用されてきた機能を消費電力や発熱の低減に向けてチューニングすることで、総合的な消費電力の低減を実現している。

　代表的な技術としては、HDDの磁気ヘッドを移動させる際、アクセスタイムに影響のない範囲で最適化することで電力消費を抑える「IntelliSeek」機能や、アイドル時にヘッドをディスクから退避させ、ヘッド駆動に必要な電力を低減する「IntelliPark」機能などが挙げられる。

　公称値では、同社のスタンダードモデルCaviar SE16シリーズの750GB版「WD7500AAKS」が読取り／書込み時に8.77W、アイドル時8.4Wであるのに対し、Caviar GPシリーズの1TB版「WD10EACS」は読取り／書込み時で7.4W、アイドル時は何と4Wと、大きな低減をはたしている。性能面でも、今回実施したベンチマーク「PCMark05」のHDD関連テストでは、WD7500AAKSに比べても十分な性能を確保していることが分かる。

ノートPCでも性能に妥協しない大容量・高速HDD

　そして、同社製品でもう一つ注目したいのが、2.5インチHDDのWD Scorpioシリーズだ。なかでも最新・最大容量となるWD3200BEVTは、160GBのプラッタ容量を達成し、9.5mm厚製品では他社に先駆けて320GBという大容量を達成。同時に高密度化による転送速度向上により、下位容量の製品と比べても1、2ランク上の性能を実現している。PCMark05のHDD関連テストにおける従来モデルWD1600BEVS（160GB版）との比較結果は、この点を証明するものだろう。

　この2機種を筆頭に、Western Digitalは高性能／大容量ながら高いコストパフォーマンスを持つHDDを送り出している。店頭では、その性能にぜひとも注目してほしい。

Western Digital

WD Caviar GPシリーズ

URL：http://www.wdc.com/jp/

低消費電力と高性能をバランスよく兼ね備える“グリーンパワーHDD”

Lineup
WD10EACS（1TB）
WD7500AACS（750GB）
WD5000AACS（500GB）

Spec
回転数：非公開
インターフェース：Serial ATA 2.5
キャッシュ容量：16MB
シークタイム：非公開

Caviar GPシリーズは低消費電力が特徴。アイドル時では5W前後という省電力性能を誇る

同社のミドルレンジパフォーマンスモデルCaviar SE16シリーズと比べて、性能面での大きな違いはない

Western Digital

WD Scorpio WD3200BEVT

URL：http://www.wdc.com/jp/

2.5インチHDDで世界最大容量を誇る320GBモデル

Lineup
WD3200BEVT（320GB）

Spec
回転数：5,400rpm
インターフェース：Serial ATA 2.5
キャッシュ容量：8MB
シークタイム：12.0ms

2.5インチHDDながら320GBという大容量。これだけあればノートPCでも容量に不満を感じることはないだろう

同社の従来機種「WD1600BEVS」との性能比較では、すべての項目で安定して3200BEVTが高い性能を発揮している

検証環境

CPU：Core 2 Duo E4500（2.2GHz）
マザーボード：GIGABYTE GA-P35-DQ6（Intel P35＋ICH9R）
メモリ：UMAX Pulsar DCSSDDR2-2GB-800（PC2-6400 DDR2 SDRAM 1GB×2）
ビデオカード：NVIDIA GeForce 7800 GTリファレンスカード
HDD（システムドライブ用）：Western Digital WD5000AACS（Serial ATA 2.5、7,200rpm、500GB）
OS：Windows Vista Ultimate

電力消費と発熱の小ささに優れるCaviar GPシリーズ

　Caviar GPシリーズの特徴と言えば、やはり低発熱・省電力が挙げられる。では、具体的にどのようなメリットが出てくるのだろうか？

　消費電力における代表的なメリットは、電気代の削減が挙げられる。HDDの消費電力自体は、PCパーツの中では大きいほうではないが、1台のPCに複数搭載する場合や、複数台のPCを同時に利用する場合などの消費電力低減効果は決して小さくはない。

　そして、さらに重要なのは、発熱の減少だ。理論上、HDDの温度が低ければ低いほどHDDの故障確率も下がる。HDDの内部のモーターに使われている潤滑油や基板部のチップやコンデンサなどの劣化が軽減されるためだ。

　また、自作PCやHDDの外付けケースに組み込む際には、静音化という面でも大きなメリットが生まれる。

　さて、このようなメリットのある消費電力と発熱の低減だが、実際の効果はどれほどのものだろうか？　Caviar GPシリーズの1TBモデルであるWD10EACSとミドルレンジパフォーマンスモデルのCaviar SE16 WD7500AAKSで、動作時の温度と消費電力を比較してみた。

　消費電力は、HDD用のACアダプタを使い、消費電力計で測定した（今回使用した消費電力計の測定値は公称値より大きくなる傾向にある）。そして温度に関しては、ケースに収めない状態で各種ベンチマークを15分間連続実行した時点の温度を、HDDに搭載された温度センサーからS.M.A.R.T.（HDDの状態を監視する機能）経由で測定している。

　実際の結果は、グラフに示したとおり目覚ましいものだ。消費電力はとくに低減効果が大きく、HDDの消費電力が最大となるスピンアップ（モーター回転開始）時では、何と17W低減されており、WD7500AAKSの半分以下だ。アイドル時でも同様に半分以下となる6Wの低減、ベンチマーク実行時でも5W、約36%の低減となっている。

　温度も同様で、WD7500AAKSと比較して4℃の減少となった。わずか4℃と思うかもしれないが、高負荷時のHDDにおいて、この差は意外と大きい。

　このように、Caviar GPの消費電力と発熱の低減技術は、実際の環境でも非常に高い効果を持つ。これらの要素を重視した“グリーン”なPCを作る際には、第一に選択したいHDDである。