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TEXT：北川達也

Blu-ray DiscとHD DVD。次世代光ディスクの標準化をめぐる争いは、いよいよ市場における総力戦に突入しようとしている。これまではハイエンド製品での争いだったが、2006年末にはそれぞれの規格を採用した次世代ゲーム機が登場し、戦線は一気に拡大した。

■	HD DVD vs. BD 高速化ではBDが先行

　Blu-ray Disc（以下、BD）とHD DVDの物理的な仕様（物理規格）を比較した場合に見えてくるのが、「BDのメリットはHD DVDのデメリットであり、HD DVDのメリットはBDのデメリットとなっている」ことだ。実際にBDは、波長405nmの青紫色レーザーに最適化した光学系を採用したことが最大の特徴。BDは、これによって1層メディアで25GB、2層メディアで50GBの記録容量を実現している。一方のHD DVDは、DVDとの互換性などを重視し、CD/DVDの記録再生も実現するという意味でのシステムトータルでの設計の容易さなど追求した。結果として、従来のDVDとほぼ同等の光学系を採用したHD DVDの記録容量は1層あたり15GBで、2層でも30GBにとどまる。この記録容量はBDの60％にしか満たない。

　加えて、記録容量の差は、将来的な記録／再生速度にストレートに反映されることになる。と言うのも、BDの標準データ転送速度（1倍速）は、「36Mbps」だが、メディアの回転数は、2,000回転強ほどしかない。HD DVDは標準データ転送速度こそ「36.55Mbps」とわずかにBDよりも高速だが、その際のメディアの回転数は3,000回転を超える。このため、メディアの回転数を光ディスクの上限まで引き上げた場合の理論上の最大記録再生速度は、BDの最大12倍速に対し、HD DVDは、最大8倍速にとどまる。

　また、記録面上（再生専用メディアの信号位置）でのエネルギー密度の高さもBDのメリットの一つ。BDでは、青紫色レーザーに最適化した結果、レーザー光を極限まで絞り込んだ。このため、同一出力のレーザーを使用した場合、記録面上のエネルギー密度がHD DVDと比較して高く、高速化も容易である。実際にBDでは、すでにBD-R/R DLの4倍速規格を策定中で、来年の比較的早い時期には規格化が終了する予定だ。このため、来年はBD-R/R DLでは4倍速、BD-REでは2倍速の製品が主流になるはずだ。対してHD DVDは、HD DVD-R/RWともに1倍速からスタートし、2倍速記録の実現は2世代目以降の製品となる。

数を増やしたPC用BDドライブ