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TEXT:鈴木雅暢 |
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Core 2 Extreme QX6700と同時に、サーバー/ワークステーション向けのブランドであるXeonにもクアッドコアのXeon 5300シリーズ(開発コードネーム:Clovertown)が加わっている。こちらもIntel Coreマイクロアーキテクチャのダイをベースにしたデュアルダイであるが、Core 2 Extremeとの大きな違いは、クアッドコアCPUでありながら、かつデュアルプロセッサ(デュアルソケット)構成にも対応すること。つまり、4コア×デュアルソケット=8コアの環境を実現できる。上位モデルのX5355は1,333MHzのシステムバスに対応する点もトピックだが、2007年の出荷予定となっており、現在入手できるのはシステムバス1,066MHz対応の製品のみである。 |
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クアッドコア×2で“8コア”環境を実現するXeon 5300シリーズ |
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デュアルソケット構成に対応したクアッドコアのXeon E5320。ソケット仕様はLGA771で、Core 2 ExtremeやCore 2 Duoとの互換性はない |
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Xeon E5320を2基搭載したリファレンスシステム。フロント側にある四つのファンからのエアフローが、CPU、メモリ/チップセットのヒートシンクを通って背面へ抜ける仕組。冷却効率を最大化するため、巨大なダクトが装着されている |
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二つのCPU、Intel 5000Xチップセットの放熱用には、エアフローの方向に合わせたスリット式のヒートシンクが実装されている |
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上のWindowsタスクマネージャ、下のCrystalCPUIDともに8コアが認識されていることが分かる。タスクマネージャの表示は圧巻だ |
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Xeon 5300シリーズのラインナップ |
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動作クロック |
コア数 |
2次キャッシュ |
システムバス |
Xeon X5355 |
2.66GHz |
4 |
4MB×2 |
1,333MHz |
Xeon E5345 |
2.33GHz |
4 |
4MB×2 |
1,333MHz |
Xeon E5320 |
1.86GHz |
4 |
4MB×2 |
1,066MHz |
Xeon E5310 |
1.60GHz |
4 |
4MB×2 |
1,066MHz |
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Intel 64 |
EIST |
TDP |
製造プロセス |
実売価格 |
Xeon X5355 |
○ |
○ |
120W |
65nm |
140,850円前後 |
Xeon E5345 |
○ |
○ |
80W |
65nm |
102,270円前後 |
Xeon E5320 |
○ |
○ |
80W |
65nm |
82,920円前後 |
Xeon E5310 |
○ |
○ |
80W |
65nm |
54,680円前後 |
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ここからは実際に、ベンチマークテストを利用してCore 2 Extreme QX6700のパフォーマンスを検証していこう。比較対象には、現行のIntel、AMDの代表的なデュアルコアCPUのほか、Xeon E5320のデュアル/シングルシステムを用意している。
まずはSandra 2007 SP1のスコアを見てみよう。Core 2 Extreme QX6700は、Dhrystone、Whetstone、Integer、Froating-Pointと、CPUに関するすべての項目で同クロックのデュアルコアであるCore 2 Duo E6700のほぼ2倍のスコアをマーク。Xeonのデュアル構成もシングルに対してほぼ2倍であり、確かにクアッドコアも8コアもしっかり機能していることが分かる。もっとも、Sandra 2007はCPUコア内部の純粋な演算性能を見るテストであり、そのスコアはあくまでそのCPUが秘めるポテンシャルとして見るべきである。そのポテンシャルがどの程度活かされているかは、実際にアプリケーションを利用したテストで見ていこう。
3DMark06は、ゲームロジックと物理演算、AI処理をマルチタスクで行なうCPU Testがトータルスコアに反映されるため差が付いている。QX6700とE6700の差は約5%というところ。解像度が上がるとビデオカードの負荷が高くなるためか差は若干縮まるが大勢に影響はない。TMPGEnc 4.0 XPressによるMPEG2エンコードテストは、Core 2 Extreme X6800のほうが、Core 2 Extreme QX6700よりも5%ほど高速。Xeonもデュアルとシングルでほとんど差がないなど、コア数によるアドバンテージがほとんど見られず、動作クロックの差でスコアの差が付いている。現状では4スレッドを有効に利用できる設計になっていないのだろう。FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3も同傾向だが、こちらはマルチスレッドにも対応していないので仕方がないだろう。
単体アプリケーションとしては、唯一クアッドコアの大きなアドバンテージが確認できたのがCINEBENCH 9.5の3DCGレンダリングテスト。Core 2 Extreme QX6700はCore 2 Duo E6700に対して約70%のスコアアップを達成、Core 2 Extreme X6800にも54%の差を付けた。Xeonのデュアルとシングル構成の差も51%と、8コア環境のメリットも確認できる。消費電力の計測結果はグラフに示したとおり。公称TDPの値が示しているように、クアッドコアのQX6700では負荷時の消費電力は跳ね上がり、Pentium D 960に近い水準になってしまっている。 |
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参考までに、マルチタスク環境のテストとして、TMPGEncでのMPEG2エンコードをしながらFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3を実行して、双方のスコアを見ている。それぞれの単体のスコアと比べて見てほしい。FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のスコアはクアッドコアではスコアダウンの幅が若干小さくなる程度。しかし、エンコード時間は大幅に違う。Core 2 Duo E6700では、単体動作時より約54%もよけいに時間がかかったのに対し、Core 2 Extreme QX6700では6%弱しかよけいに時間がかかっておらず、37%ほど遅くなったCore 2 Extreme X6800を抜いて全環境で最速。2位のXeonデュアルも単体時と比べて+7%しか時間がかかっていない。このようなヘビーな環境では確かにクアッドコアのメリットはあると言えるだろう。
全体的に見ると、ある程度予想はしていたとはいえ、クアッドコアのデュアルコアに対する優位性は限定的な印象だ。Intelは、2007年にもデスクトップPC向けのメインストリームにクアッドコアCPU「Core 2 Quad」の投入を明らかにしているが、現状を見る限り、これが登場したと同時に本格的なクアッドコア時代がやってくるとは考えにくい。これからどこまでソフトウェアベンダーの協力が得られるかにかかっているだろう。 |
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【ベンチマーク環境】
マザーボード:
<LGA775環境>ASUSTeK P5B Deluxe/WiFi-AP(Intel P965)
<Xeon環境>SUPERMICRO X7DA8 (Intel 5000X)
<Socket AM2環境>ASUSTeK CROSSHAIR(NVIDIA nForce 590 SLI)
共通構成:
HDD:Western Digital WD Raptor WD1500ADFD(Serial ATA 2.5、10,000rpm、150GB)
ビデオカード:NVIDIA GeForce 7800 GTXリファレンスカード
メモリ:センチュリーマイクロ CD512M-D2U800(PC2-6400 DDR2 SDRAM 512MB)×2
Xeon環境のみPC2-5300 DDR2 SDRAM FB-DIMM 1GB×4
OS:Windows XP Professional SP2(DirectX 9.0c) |
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