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Winny感染ウイルス情報漏洩の手口と対策

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テキスト：芝田隆広／イラスト：タゴダイスケ

個人情報の漏洩を防ぐためのツールを導入する

　Winnyなどを利用した暴露ウイルスが蔓延し、被害が広がるにつれて、Microsoftやセキュリティソフトのベンダーなどが、その被害を食い止めるための対策を講じるようになってきた。市販のセキュリティソフトでWinny抑制機能を備えたものも出てきているが、なるべく安上がりに、手っ取り早く対策を施したいならば、最近ではさまざまなメーカーが無料で対策ソフトを配布しているので、それを利用してみるとよいだろう。

　また、検証目的などでどうしてもWinnyなどのファイル共有ソフトを使わざるを得ないという場合は、それらのプログラムを実行するための専用PCを用意しておくとよい。個人情報などがまったく入っていないPCであれば、たとえウイルスに感染したとしても、最悪の事態だけは避けられるはずだ。

Microsoft純正のツール

MicrosoftもWeb上で使える「悪意のあるソフトウェアの削除ツール」を無償で提供している。「PCが感染していないかチェックする」ボタンを押すとウイルスの検出や駆除が行なえる

Winny検索ツールで検出

シマンテックでは、そのPCにWinnyがインストールされているか、起動しているか手軽に調べられる検索ツールを配布している。またAntinny用の駆除ソフトも用意されている

オンラインで感染チェック

トレンドマイクロのオンラインスキャンでは、自分のPCがウイルスに感染していないかどうかを調べられる。また、Winny悪用ウイルス専用駆除ツールも無料で利用可能

Winny専用のワクチンツール

アンラボでは、Winny関連ウイルスを削除するための専用のワクチンソフトを配布している。ダウンロードして実行すれば、感染したファイルの検出・削除が行なえる

基本的なセキュリティ対策も忘れずに

　対策ソフトを利用したからと言って、すべての危険が避けられるわけではない。暴露ウイルスは新種や亜種がどんどん登場しているので、対策ソフトだけでは対応できない場合もあるし、未知のウイルスなども日々登場しているためだ。こういった危険から逃れるために、基本的なセキュリティ対策は十分施しておこう。

　ルーターの導入も効果的だ。ルーターを使うと、そこで外部からの侵入を遮断できるので、山田オルタナティブのように、自分のPCをWebサーバーとして公開してしまうようなウイルスの被害を食い止められる可能性がある。ルーターがない環境では、ソフトウェアによるファイアウォールの設定をきちんと行なって、外部への情報漏洩を避けるようにしたいところだ。

アンチウイルスソフトは必須

アンチウイルスソフトは、今やすべてのPCに必須のソフトと言える。これはトレンドマイクロの「ウイルスバスター2006 インターネットセキュリティ」

パターンファイルは常に最新に

パターンファイルは常に最新版を使っていなければ意味がない。自動アップデートの設定は必ずONにしておこう。画面はシマンテックの「Norton Internet Security 2006」

フリーのスパイウェア駆除ソフト

フリーソフトのスパイウェア駆除ソフト「Spybot Search＆Destroy」では、個人情報を外部に送信するスパイウェアを削除できる。無料で利用できるのでぜひインストールしておきたいところだ

ファイアウォールを利用する

Windows XPにも標準でファイアウォールは用意されているが、あまり使いやすくはない。「Norton Internet Security」のファイアウォールではスパイウェアなどが外部に情報を送信しようとすると、警告を発してくれる

暴露ウイルスに感染しているかどうかを調べる

　暴露ウイルスに感染しないようにするにはWinnyなどの危険なソフトを使わない、不審なファイルは開かないよう徹底するのが一番だ。しかし過去に一度でもWinnyを使ったことがある人や、怪しいファイルやURLを間違ってクリックしてしまったことがあるという人も多いだろう。そういった経験があり、自分のPCが暴露ウイルスに感染していないか不安だという人は、下に示すような方法を使って感染の有無を調べてみるとよいだろう。

個人情報漏洩を行なう主なウイルス

Antinny

【感染時の動作】
デスクトップ画面のキャプチャやマイドキュメントの中身、Outlook Expressのメールなどを、Winnyを通じて共有したり、Web掲示板などにアップロードしたりする。亜種も多く作られており、アップロードする情報や場所などが異なる

【検知方法】
亜種が大量にあるが、各社のチェックツールでの対応が進みつつあるので、前ページで紹介したAntinny駆除ツールを使って確認するとよい。また、Winnyフォルダ内のUpFolder.txtに設定した覚えのないフォルダが記述されていたら感染している可能性がある

山田ウイルス

【感染時の動作】
PCをWebサーバーとして機能させ、ユーザーのHDD内のファイルやデスクトップ画面のキャプチャをネット上に公開する。公開されたPCにアクセスできるURL情報を、匿名掲示板などに公開する。亜種に山田オルタナティブなどがある

【検知方法】
http://127.0.0.1/をブラウザで表示させ、~ss.jpg、C.htmlといったファイルが見えるならばそのPCは感染している可能性が高い。またメモ帳などでC:\Windows\system32\drivers\etc\hostsというファイルを開いてみて、行頭に「#」を含まない行に127.0.0.1以外のIPアドレスが記載されていたら危険

原田ウイルス

【感染時の動作】
Winnyのダウンロードフォルダ内のAVIなどのファイルを全部削除したり、デスクトップ画面をキャプチャして、メールで転送したりする。AVIやWMVなどの動画ファイルに偽装されていることが多い

【検知方法】
フォルダ内のAVIやZIP、RAR、MP3といったファイルが勝手に削除されたり、デスクトップ上に見覚えのない画像が表示されたりした場合には、感染している疑いが強い

情報漏洩が発覚した場合にどうすればよい？

　上記のような手段を使って自分のPCがウイルスに感染していることが確認されたら、何はともあれ、そのPCのネットワークケーブルを抜くのが重要だ。もちろんそれまでに漏洩した情報がそれで消えるわけではないが、ネットワークにつながっていなければ、それ以上の情報流出は避けられる。

　次にほかのPCで対策ツールをダウンロードしたり市販ソフトを入手したりするなどして、ウイルスの駆除を行なおう。ウイルスはどこに潜んでいるか分からないので、もし可能であれば、一度そのPCのHDDをフォーマットしてOSをクリーンインストールし直すのがベストだ。

　企業ユーザーならば、大手損害保険会社が「個人情報漏洩保険」を販売している。企業の個人情報流出は、規模によるが、場合によっては顧客に対して億単位の賠償費用が必要になることもあるので、万が一に備えて契約しておくとよい。

　情報が漏洩した場合はもう取り返しはつかないと考えたほうがよいが、どうしても不安という場合は独立行政法人情報処理推進機構（IPA）の、「Winny緊急相談窓口（Winny119番）」に相談してみるという手もある。これで情報漏洩が止められるわけではないが、対処法などについてアドバイスが受けられるので、一人で悩むよりは適切な処置が施せるだろう。

　もっとも、Winnyの使用の有無にかかわらず、これまでに紹介した対策を施していれば、ウイルスに感染する危険性は低い。決して他人事だとは考えずに、普段から総合的なセキュリティ意識を持つようにしてほしい。

Winny緊急相談窓口

Winny119番に相談する