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TEXT:橋本新義 |
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中古高級オーディオがお買い得 |
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音質を重視したサウンドカードの登場などで、PCのオーディオ環境もかなり向上してきたが、難しいのがアンプやスピーカーなどの再生機器選びだ。最近のPC用アクティブスピーカー(アンプを内蔵したスピーカー)は高性能化しつつあるが、サウンドカードはそれらのレベルを超え、オーディオグレードに近いところまで来ている。できればもっとよい再生機器で聞きたいところだが、本格的なオーディオシステムの価格を考えると、とたんに躊躇せざるを得ないのが実情だ。

そこで今回は、高級中古オーディオに注目した。実は現在、中古オーディオは非常にアツイ市場だ。80年代後半から90年代のバブル期に作られた高品質な製品が、当時の5分の1以下という価格で入手できるためだ。また、技術革新の多いPC製品とは違い、技術的に成熟し、設計コストがものを言うオーディオの世界では、単純に新しければ音がよいというわけではない。中古の高級品が最新製品に比べて性能が上ということも多いのだ。

中古オーディオで問題となるのが、入手方法だろう。基本的には専門ショップでの購入となるが、中古オーディオの入手で忘れてはならないのは、ネットオークション。とくにYahoo!オークションでは、中古ショップではあまり扱っていないアクセサリなどが豊富に流通している。低価格なスピーカースタンドなどは、オークションで入手するのがオススメだ。

もちろん、ショップとオークションには、それぞれにメリットとデメリットがある。下にまとめたので、参考にしてほしい。とくに注意すべき点は、オークションに出品される商品は状態がまちまちなので、入札する際は必ず完動品であることを確認すること。また、「中古オーディオショップなんて身近にない」という読者もおられるだろうが、実は中古オーディオの有力店は、積極的にネット販売を展開しているのだ。今回はその中から3店を次ページに紹介しているので、参考にしてほしい。製品の型番を見てもよく分からない場合は、オーディオを取り上げているWebサイトなどを回って、音の傾向を掴んだり、定評のある製品を見付けたりといった手法も有効だ。 |
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オススメの中古製品リスト |
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BOSE 101IT |
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ケンウッド KA-1001G |
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定価:42,800円
中古相場:15,000円~25,000円前後 |
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発売時の実売価格:60,000円前後
中古相場:10,000円~15,000円前後 |
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ロングセラーを続けるBOSEの101シリーズの製品で、BOSE特有の豊かな低音が特徴。コンパクトで場所を選ばない。101Mもオススメ |
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ケンウッドのハイコンポ「K's」シリーズのプリメインアンプ。この価格帯では音質、外観の質感ともに上々。本体も小型でPC用に最適 |
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オンキヨー D-200II |
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定価:53,000円
中古相場:20,000円~25,000円前後 |
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オンキヨー独自開発のスピーカーユニットを、贅沢な筐体に搭載した小型2ウェイスピーカーの大ヒット機。流通在庫が多く、安価だ |
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テクニクス(松下電器産業) SE-M100 |
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定価:83,600円
中古相場:30,000円~35,000円前後 |
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出力電圧の高いD/Aコンバータに増幅率1のパワーアンプを組み合わせるという、特異な発想のアンプ。デジタル出力との相性がよい |
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中古ショップ/オークションのメリット・デメリット |
中古ショップ
○ 現物を見て動作や音を確認できる
○ 店舗側の保証がある
× オークションに比べると高価 |
ネットオークション
○ 商品数が多く、入手しにくい機器を取引できる
○ ショップに比べると安価
× 基本的に無保証で、製品の状態に不安が残る |
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さて、PCと組み合わせるために中古オーディオを購入するなら、狙いたいのがデジタル入力(S/P DIF IN)を搭載したアンプだ。アンプとPC間をアナログ接続する場合、PC側のアナログ回路やD/Aコンバータも高品質なものが求められ、かなり高級なサウンドカードを使う必要が出てくるからだ。これに対して、デジタル接続は、PC側はデジタル処理を行なうだけで、アナログ回路やD/Aコンバータは高品質なオーディオ用のものを利用できる。マザーボードのオンボード出力からでもそこそこの結果が得られるのだ。

一方スピーカーは、価格や設置場所の問題から、小型の2ウェイ構成の製品をお勧めしたい。小型スピーカーに大出力アンプというのは一見不釣り合いに見えるが、実はこれ、オーディオの世界ではかなりバランスが取れた組み合わせだ。性能に余裕のある大型アンプで小型スピーカーを駆動するというのは、非常に良好な結果が得られるコンビなのである。

さて今回は、下に挙げた機器を実際に購入し、「Sound Blaster X-Fi Fatal1ty FPS」を搭載したPCとデジタルで接続、試聴を行なった。結論から言うと、予想以上に良好な結果が得られた。D/Aコンバータ内蔵アンプのビクター「AX-Z921」の性能と、スピーカーであるCELESTION「DL4」の保存状態のよさによるところが大きいと思われるが、駆動力の弱いアンプからは決して出てこない、明快な音像定位が印象的だ。この音は同価格のPC用オーディオ機器ではまず実現できないレベルである。とくに音楽CDからの音は、単体CDプレイヤーとの比較試聴を行なわない限り、PCから出ているとは思わないレベルだ。 |
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アナログ接続はサウンドカードの性能に大きく左右されるため、コストパフォーマンスを考えるとデジタル接続可能なDAC内蔵アンプがオススメ |
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中古で購入する際はリモコンの有無も重要なポイントだ。販売終了した古い製品のリモコンでも、メーカーによっては購入できる場合がある |
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インターネット通販を扱っている中古ショップ |
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ビクター LS-HT3
オークションで6,800円で購入(定価1万8,900円)。スタンドを使うことによる音質の向上は大きい。ヤフオクでは安価なものは5,000円以下から取引されている |
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ビクター AX-Z921
ビクター製のプリメインアンプ。DACを内蔵し、PCとのデジタル接続が可能。オークションで1万5,000円で購入。定価9万9,800円 |
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CELESTION DL4
80年の歴史を持つ、英国CELESTI
ON製のブックシェルフ(小型)スピーカー。中古ショップで2万1,000円で購入 |
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接続ケーブル類
PCとアンプを接続するデジタルケーブルもしくはRCAケーブルと、アンプとスピーカーを接続するスピーカーケーブルが必要。価格は数百円から数十万円まであるが、初心者は1mあたり数百円の製品で十分 |
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【完成!】5万円以下でPCがリッチなオーディオに! |
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中古品ばかりだが、見た目にはかなり豪勢なシステムに仕上がった。もちろん実際の音質はそれ以上だ。スピーカーの位置など、セッティングを追い込むと、さらなる音質向上が見込めるだろう |
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