GPUの温度が30℃も低下
PCを劇的に冷却&静音化
梅雨明けのジリジリと照りつける日差しに夏本番の厳しさを感じる毎日だが、気温の高い夏はPCパーツにとっても厳しい季節だ。気温が上がり、ケース内の温度が上がればファンの回転数も上がり、それだけ動作音が気になるようになる。そして温度が高い状態が続けば、PCのパフォーマンスや、PCパーツの寿命にも影響が出てしまう。しかし、ケース内の主な熱源となっているCPUとビデオカードの冷却を見直し、適切なクーラーに「衣替え」することで、猛暑地獄を改善することが可能だ。
そこでお勧めしたいのは、ZALMANの高性能CPUクーラー「CNPS10X Extreme」と、ATI製GPU搭載ビデオカード向けのGPUクーラー「VF3000A」だ。CNPS10X Extremeは、現行のコンシューマ向けCPUのほとんどをカバーする、マルチプラットフォームのモデル。熱伝導性に優れた銅製のベースと5本のヒートパイプが吸収する熱を、大型のフィンと12cm角のファンで発散させる。おもしろいのは、PWMコントロールによって回転数を3段階に自動調整できること。さらに1,000~2,150rpmの間で任意の値に調整することもできる。搭載するCPUのTDPに合わせて設定を切り換えるとよいだろう。回転数を最低レベルまで下げると、耳を近付けてようやく音が聞こえる程度だった。
VF3000Aは、ATIのハイエンドクラスに合わせて設計されたGPUクーラーだ。こちらも銅製のベースとヒートパイプを搭載しており、2基の92mm径ファンでカード全体を強力に冷却する。CPUと違いGPUクーラーの交換には不安を感じるユーザーもいるかもしれないが、付属のマニュアルにはイラスト入りで手順が分かりやすく説明されており、作業は簡単に行なえた。CNPS10X Extremeと同じく、付属のファンコントローラで回転数を調整でき、最低回転数なら動作音は非常に静か。
付属ファンを使用した標準状態と、本製品を使用した「衣替え」状態とで、温度と動作音を計測したのが下のグラフだ。いずれも非常に大きな効果が表れているが、とくに驚きなのがGPUの温度。標準のクーラーに比べ、高負荷時では30℃以上低くなっている。また、回転数を最低まで下げても、高い冷却性能を発揮していることにも注目したい。つまり、この最強タッグに衣替えすれば、真夏でも3Dゲームをクールに、そして静かに楽しめるPCに生まれ変わるということだ。
大型ヒートシンクで冷却性能は抜群!
ファンコントロールで動作音も自由自在
- ZALMAN
- CNPS10X Extreme
- 参考実売価格:8,000円前後
サイドフロータイプの大型クーラー。固定用のアダプタとネジでがっちり固定でき、安定感は抜群。12cm角ファンは回転時にはLEDで青く光る
Specification■対応ソケット:LGA775/1156/1366、Socket754/939/940/AM2/AM3■ファン:12㎝角ファン(1,000~2,150rpm、PWM)■本体サイズ(W×D×H):135×100×160㎜■重量:920g
見た目も美しいメッキ加工ヒートシンクやヒートパイプには腐食を防止するニッケルメッキが施されている。ブラックパールの輝きも美しい
マルチプラットフォーム対応リテンションパーツは三種類同梱されている。ほとんどのプラットフォームに対応しており、環境を選ばない
PCケースには横幅が必要高さが16㎝と大型なので、マザー上のCPUからケースのサイドパネルまでの距離はあらかじめ確認しておこう
ファンコンは取り外し可能上部にあるファンコントローラは着脱可能。付属のケーブルで、PCケースの外から回転数を調整できる
2基のファンと大型ヒートシンクで圧倒的な冷却性能を実現
- ZALMAN
- VF3000A
- 参考実売価格:6,000円前後
ATI Radeon HD 5800シリーズ搭載ビデオカード専用のクーラー。取り付け作業は容易だ。マニュアルでファンの回転数を調整できる
Specification■対応GPU:ATI Radeon HD 5830/5850/5870■ファン:92mm×2(1,300~2,500rpm、手動制御)■本体サイズ(W×D×H):239×98×51㎜■重量:430g
スペースは要確認ビデオカードに取り付けたところ。もともと2スロット分の厚みがあるカードだが、本製品を搭載するとほぼ3スロット分の厚みになる
ヒートパイプは銅製ヒートパイプやヒートシンクは銅製。カードを固定するネジ類や、メモリチップに付けるヒートシンクが付属している
手回しネジで固定取り付け作業は表面のメモリチップなどにヒートシンクを貼り付け、GPUクーラーを裏側から4点固定するだけと簡単
ファンコンを同梱付属のファンコントローラで、搭載されている2基のファンを1,300~2,500rpmの間で調整できる
【検証環境】CPU:Intel Core i7-920(2.66GHz)、マザーボード:ASUSTeK P6T Deluxe(Intel X58+ ICH10R)、メモリ:ノーブランド PC3-8500 DDR3 SDRAM 2GB×3、SSD:アイ・オー・データ機器 SSDN-ST128H(Serial ATA 2.5、MLC、128GB)、ビデオカード:GIGABYTE GV-R585D5-1GD-B(ATI Radeon HD5850)、電源:サイズ 鎌力4プラグイン(650W)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版、室温:26℃、暗騒音:30.1dB、動作音測定距離:約1m、アイドル時:OS起動15分後の値、高負荷時:3DMark Vantage実行中の最大値