低価格SSDをRAIDで使用して
ワンランク上の速度と容量を実現
手軽なストレージの高速化手段として知られるRAID 0だが、SSDではワンランク上の製品と同等の記録容量とそれ以上の性能を少ない価格差で実現できるというメリットがある。ここでは、低価格SSDをRAID 0で使用した場合のメリットを説明しよう。
GB単価の差が少なくRAIDのメリットが大きいSSD
SSDの実売価格を見ていると、小容量モデルと大容量モデルで、GB単価の差がそれほど変わらないケースが多いことに気付く。SSDは、製造原価の大部分を主要部品のフラッシュメモリが占めるため、容量が2倍になると価格も一緒に2倍になることが多い。たとえば、Intel X25-M Mainstream SATA SSDの80GBモデルの実売は2万円前後だが、同社の容量40GBのX25-V Value SATA SSDの実売は1万円前後となっている。X25-Mの80GBを1台購入しても、X25-Vを2台購入しても金額的に大差はないのだ。さらに最近のマザーボードは、RAID 0/1機能を標準装備している。この状況はつまり、RAID環境の構築のハードルが非常に低く、上位モデルと同じ容量と、同等以上の速度を手に入れられるということだ。確かに小容量のSSDは、上位モデルと比較して速度が劣ることが多い。しかしRAID 0を使えば、ライト性能の弱点を解消でき、リード性能はさらなる向上が見込めるわけだ。
圧倒的なリード速度を実現
ライト速度も上位機種に匹敵
それでは、SSDでRAID 0環境を構築したときの性能を検証してみよう。今回は、Micron Technology Crucial RealSSD C300の64GBを2台使ったRAID 0と、128GBのシングルで使った場合のパフォーマンスを比較した。RealSSD C300 の64GBモデルは最近のベストセラーでもあるので、持っている方も多いのではないだろうか。また参考記録としてIntel製品とSamsung製品を使用している。ロングセラーのIntel製品を使ったSerial ATA 2.5環境での数値なので、汎用性のあるデータかと思う。
まずはそのピーク性能を確かめるために、CrystalDiskMarkの結果を見ていこう。シーケンシャルと512KBのランダムリード/ライトでは、ほぼ2倍の性能を実現している。また、Intel環境でRAID機能を使用した場合のPCMark Vantageのスコアの結果も圧倒的で、上位モデルのシングルの倍近いスコアだ。一方AMD環境では、これほどの伸びが見られないが、これは、SB850 がライトスルーキャッシュで使用されているためと想像される。SB850のドライバがライトバックキャッシュをサポートすると結果はまた異なってくるかもしれない。そして、FINAL FANTASY XIV OFFICIAL BENCHMARKの結果では、大きな違いは見られなかった。リードするデータ量が少ないため、ストレージの実力を試されるほどの負荷ではないようだ。
以上のように、小容量低価格モデルでもRAID 0を構築すればこれだけの実力を発揮することが分かった。また、最初に1台だけ購入しておいて、後からもう1台追加してRAID 0にアップグレードを図るという方法も、一度に支払う予算が抑えられてよいだろう。
【検証環境】
CPU:Intel Core i7-940(2.93GHz)、AMD PhenomII X4 955 Black Edition(3.2GHz)、マザーボード:GIGABYTE GA-X58A-UD7(rev. 1.0)(Intel X58+ICH10R)、GIGABYTE-890FXA-UD5(rev. 2.0)(AMD 890FX+SB850)、メモリ:Corsair Memory XMS CMX6GX3M3A1333C9(PC3-16000 DDR3 SDRAM 2GB×3、Intel環境)、Kingston HyperX Performance KHX2000C9AD3T1K2/4GX(PC3-16000 DDR3 SDRAM 2GB×2、AMD環境)、ビデオカード:玄人志向 RH5770-E1GHD/DP/G3(ATI Radeon HD 5770)、システムSSD:東芝 THNSNB030GBSJ(Serial ATA 2.5、MLC、30GB)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版