SSDをシステムドライブにして
使用環境を快適にしよう
高速性に優れるSSDだが、そのランダムアクセス性能の高さを最大限に活かす使用方法が、SSDをシステムドライブとして運用することだ。ここでは、SSDをシステムドライブにしたときのメリットや、小容量のSSDでも困らない使いこなしのノウハウを紹介しよう。
低価格製品でも効果は絶大
OS起動時間を大幅に短縮
ランダムアクセス性能の高いSSDをシステムドライブとして使用すれば、OSの起動時間を大幅に短縮できる。下のグラフにあるように、ローエンドクラスのIntel X25-V Value SATA SSDでさえ、HDDで高速の部類に入るSamsungの500GBプラッタ採用7,200rpm製品の、半分の時間でOSの起動を終えており、その効果がいかに大きいかが分かるだろう。OSの起動時間がこれだけ短縮されているということは、日常使用しているアプリケーションの起動時間も当然短縮され、レスポンスが大きく向上する。システムをSSDに移行したユーザーから、「HDDにはもう戻れない」という話をよく聞くが、これだけ劇的に使用感が向上すれば、納得できる話だ。実環境に近いベンチマークであるPCMark Vantageの結果もこれを反映したもので、X25-Vのスコアは圧倒的。X25-Vは、7,200rpmのHDDの約7倍、5,400rpmのHDDの8倍以上のスコアとなっている。
さらにFINAL FANTASY XIV OFFICIAL BENCHMARKも試してみたが、Highで若干SSDが優位という結果に。これはリードのデータ量が少ないため、劇的な差が付かなかったのだろう。とはいえ、SSDをシステムドライブとして使用すれば、PCの使用感を大幅に向上させられることは確かだ。
【検証環境】
CPU:Intel Core i7-940(2.93GHz)、マザーボード:GIGABYTE GA-X58A-UD7(rev.1.0)(Intel X58+ICH10R)、メモリ:Corsair Memory XMS CMX6GX3M3A1333C9(PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×3)、ビデオカード:玄人志向 RH5770-E1GHD/DP/G3(ATI Radeon HD 5770)、システムSSD:東芝 THNSNB030GBSJ(Serial ATA 2.5、MLC、30GB)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版
ビジネスソフトがメインなら30GBの容量でも十分
システムドライブにすると言っても、高価なSSDなのでなるべく必要最低限の容量のものを買って運用したい。そこで、一般的によく利用されるアプリケーションをSSDにインストールして、どの程度の容量が必要なのかを調べてみた。
まずはOS。Windows 7 Ultimate 64bit版で、インストール後に必要なアップデートをすべて行なった状態での容量は、約21.1GBだった。ここにOffice Home and Business 2010をインストールすると約23GBに、画像レタッチソフトのPhotoshop Elements 8をインストールすると約25GBまで増えてきた。さらにウイルス対策ソフト、年賀状ソフト、Blu-ray再生ソフトなどを加えると、約25.9GBであった。ちなみにMMORPGのビッグタイトルをインストールすると、一気に約34.7GBまで増加した。以上のように、ゲームやクリエイター系のソフトを使わない一般用途であれば、30GBでも事足りることが分かった。

30GBで大丈夫だが64GBあれば安心
64GBモデルでも1万5,000円以下で購入できるので、予算が許せばその辺りの容量の製品が無難だろう

ゲームで一気に容量増大
MMORPGのビッグタイトルをインストールした後の空き容量。9GB近くの容量を必要としていた。ゲームをするユーザーは、余裕をみて64GBクラスのSSDを選択するとよいだろう
ライトが発生する領域はHDDに
不要なデータはSSDに加えない
SSDを使用する際にぜひ行なっておきたいのが、不要なデータをできるだけ書き込まないように設定することだ。ユーザーがアプリケーションをインストールしたり、データを保存したりしなくても、OSのアップデートやソフトで使用するデータの保存先とされて、気が付いたら何GBもたまっていた、ということもあり得る。データの書き込みはSSDの寿命を縮め、記録速度の劣化の原因にもなる。使用しているソフトのマニュアルやヘルプなどを参照して、保存先をHDDに設定しておこう。とくに容量が少ないSSDを使用している場合は、Windowsのユーザーフォルダや、ページファイルの作成先をHDDに変更するとよいだろう。また、作業領域はHDDに設定しておきたい。下でこれらの設定方法を紹介しているので、参考にしてほしい。
マイドキュメントやダウンロードフォルダはHDDに移動

「マイドキュメント」の保存先は初期設定ではシステムドライブになっているが、これをHDDに変更することができる。まず[スタート]メニューからユーザー名をクリックして、[マイドキュメント]を右クリック。[プロパティ]を選択


「マイドキュメントのプロパティ」の[移動]をクリックしてHDDの任意のフォルダを選択。保存先が変更されたのを確認したら[OK]をクリック。同じように[ダウンロード]や[マイピクチャ]も変更できるが保存先は別々のフォルダにする
作業領域もHDDに移動

作業領域は、さまざまなソフトが作業用に使用しているが、作業に使ったファイルがそのまま残っていることも多い。不要なデータなので、HDDに設定しておこう


作業領域は同じくプロパティから[システムの詳細設定]→[環境変数]で設定できる。変更を行なう場合は、ユーザー環境変数とシステム環境変数の「TMP」および「TEMP」を[編集]をクリックして設定する