大型ファンを大量装備 ケース内を強力に冷却
20cm以上の大型ファンを合計3基も搭載した、冷却重視の製品だ。これらの大型ファンは、天板前方にあるダイヤル式のファンコントローラで回転数を調整できる。新鮮な外気をたっぷりと取り込める側面の大型ファンのおかげか、チップセット付近の温度は今回テストした製品の中では一番低い結果となった。風が直接当たるビデオカードの温度も低く優秀だ。
側板は厚みのあるしっかりしたもの。取り付けてあるファンは600~800rpmと回転数が低いタイプで、動作音は控えめな印象だった。共振音の発生を防ぐため、本体のフレームと側板が接触する部分にはプラスチックの緩衝材を組み込む工夫もある。本体フレームと側板の前面の間には電源コネクタが備えられており、サイドパネルをフレームに組み込むだけで側面のファンに電源が供給できる仕組は便利。
シャドーベイのフレームは取り外し可能だが、取り外さなくても内部空間は十分に広く、組み込み作業はしやすい。拡張カード固定部からシャドーベイのフレームまでは約27cm、シャドーベイを取り外すと約45cmまで広がる。マザーボードベースのスペーサから左の側板までは約20cm(いずれも実測値)あり、大型のCPUクーラーも使用可能だ。約1年前に発売された製品なので、USB 3.0など直近のトレンドには対応していないが、その性能は最新製品にまったく見劣りしないものだ。
- Thermaltake
- ElementG
- 実売価格:17,000円前後
- 問い合わせ先:info.jp@thermaltake.com
(日本サーマルティク) - URL:http://www.thermaltake.co.jp/
■規格:ATX■カラー:ブラック■付属電源:なし■ベイ:5インチ×3、3.5インチシャドー×7、2.5インチシャドー×2■標準搭載ファン:20cm×1(前面)、14cm角×1(背面)、20cm×1(天板)、23cm×1(側面)■追加搭載可能ファン:12cm角×2(前面、標準搭載ファンとは排他)、6cm角×2(背面)■本体サイズ(W×D×H):230×521×480mm■重量:7.92kg
竹内亮介
側面ファンの効果が高く、高性能なシステムに有効。静音性は平均点だが、これだけ多くの大型ファンが回っていることを考えれば善戦している。
保坂陽一
同社のケースはギミックはともかく剛性が低い、というイメージだったが、本製品はそれを払拭する出来。でも、ちょっと内部が複雑過ぎるかも?
天板手前には端子類とともにファンコントローラを搭載している。ただ、冷却性能、動作音ともにそれほど変化する印象はなかった
側面には23cm径、天板には20cm径、背面にも14cm角など、大型ファンを多数搭載する。背面ファンのみファンコントローラでは調整できない
底面に取り付ける電源とメインパーツ類を分ける仕切り板に、2.5インチSSDを取り付けられるネジ穴が設けられている
3.5インチHDDを7台装着できるシャドーベイは、取り外しが可能。HDDは付属の専用ネジを使って固定する。一部ツールレス構造ではない箇所もある
独特のデザインをまとった冷却重視のATXケース
- Thermaltake
- Armor A90
- 実売価格:15,000円前後
天板に20cm径の大型ファンを搭載した、冷却重視モデル。換装すれば前面にも20cmのファンが追加搭載できる。ツールレス構造、大型のメンテナンスホール、2.5インチベイなど最新トレンドもサポートする。製品名どおり、装甲をイメージしたパネルが印象的だ。
■規格:ATX■カラー:ブラック■付属電源:なし■ベイ:5インチ×3、3.5インチ×1、3.5インチシャドー×6、2.5インチシャドー×1■標準搭載ファン:12cm角×1(前面)、12cm角×1(背面)、20cm×1(天板)■追加搭載可能ファン:12cm角×1(前面)、20cm角×1(前面、12cm角×2と排他利用)、12cm角×1(側面)■本体サイズ(W×D×H):210×515×502mm■重量:8.2kg
小型ケースながら巨大カードも搭載可能
アルミの素材感を活かした外装が美しい、microATX対応の小型ケース。シャドーベイを上部にレイアウトすることで、拡張カード用のスペースを約37cmとかなり広く取っていることが特徴だ。実際にハイエンドビデオカードを組み込んでみたが、設置スペースにはかなり余裕があった。ただし、標準では背面に12cm角の排気ファンを1基搭載するだけであり、このままでは冷却性能はかなり心細い。前面にさらに12cm角ファンを追加搭載したほうがよいだろう。
- アビー
- smart 230T
- 実売価格:17,980円前後
- 問い合わせ先:045-306-6686
- URL:http://www.abee.co.jp/
■規格:microATX■カラー:ブラック/シルバー■付属電源:なし■ベイ:5インチ×2、3.5インチシャドー×2、2.5インチシャドー×1■標準搭載ファン:12cm角×1(背面)■追加搭載可能ファン:12cm角×1(前面)■本体サイズ(W×D×H):195×432×359mm■重量:5.1kg
竹内亮介
ファンを追加搭載できるものの、基本的にはCore i3やi5など内蔵グラフィックス機能を使ったシンプルな静音PCを作るべきケースだろう。
保坂陽一
大型ビデオカードを搭載可能だが、冷却性能が追い付いていないのが残念。同社製品でさらに高い性能を求めるなら、もう少し予算を高く設定する必要がある。
5インチベイにぶら下がるような形のシャドーベイの一番下に、2.5インチデバイスを搭載するスペースがある
マザーボードベースに設けられているメンテナンスホールはかなり広い。microATXマザーはCPUソケットの位置がまちまちなので、これは便利だ
防音シートを備え静音に注力した製品
側面や天板に防音シートを貼り、扉式の前面パネルを採用した静音重視の製品。前面と背面に1基ずつ搭載する12cm角ファンの回転数も800rpmで、動作音は低い。HDDはプラスチックのトレイに装着し、ラバー製のフレームに挿し込んで固定する。HDDの動作音を抑え、振動を伝えないための仕組だ。それぞれのトレイには2.5インチデバイスのほかに、9.2/8cm角のファンも取り付けられる。同シリーズには、側面にファンを追加搭載できる「スタンダード」モデルも用意されている。
- サイズ
- 月光サイレント
- 実売価格:9,000円前後
- 問い合わせ先:support@scythe.co.jp
- URL:http://www.scythe.co.jp/
■規格:ATX■カラー:サイレントシルバー/サイレントブラック/サイレントミラー■付属電源:なし■ベイ:5インチ×5(5→3.5インチ変換アダプタ×1)、3.5/2.5インチシャドー×4■標準搭載ファン:12cm角×1(前面)、12cm角×1(背面)■追加搭載可能ファン:なし■本体サイズ(W×D×H):196×525×430mm■重量:約7.48kg(サイレントシルバー:約7.45kg、サイレントブラック約7.3kg)
竹内亮介
低価格だが流行のギミックを過不足なく装備するバランスのよさが魅力。静音性が高いが、温度は上がりやすい。組み込むシステムのスペックは控えめに。
保坂陽一
2.5インチドライブやファンが取り付けられるHDDトレイはなかなか高ポイント。ただ、値段なりの部分はあり、もう少ししっかりとした防音シートが欲しい。
取り外し可能な3.5インチシャドーベイには、ラバー製のレールが備え付けられている。また、トレイは2.5インチデバイスも固定可能だ
内部全面に防音シートが貼り付けてある。DefineR3のものと比べると、シートの手触りはやや軟らかめで薄い