全体的には冷却重視志向
USB 3.0や2.5インチ対応が増加
ケースの使い勝手や機能性を考える上で重要になる10個のポイントを、下の図でまとめた。最近増えてきたのが、前面ポートに外付けストレージなどと高速にデータをやり取りできる「USB 3.0」コネクタを搭載する製品と、OSやアプリケーションを高速に起動できるSSDを搭載するための「2.5インチベイ」を備えた製品。ユーザーによっては「今絶対に必要な機能」というわけではないが、ケースはほかのパーツと比べれば長く使うことが多いため、将来性を考えて「あったほうがよい」機能だろう。
また最近のCPUは、負荷や温度などの使用状況に合わせて自動でオーバークロック(OC)して性能を高める機能や、内部倍率を変更してOCを行なえる製品が人気を集めている。各社のケースにも、ファンを増やして風量を増やし、エアフローを効率化して冷却性能を高める方向で設計している製品が増えており、これもトレンドの一つと言える。
もちろんケース選びの基本的なポイントも、これまでと変わらず重要だ。性能・冷却重視で構成する場合には、ファンの数や大きさ、風の取り込みやすさや電源の位置、ケーブルがエアフローを阻害しない背面配線構造を備えるか……などなどを確認する必要がある。性能を抑え静音性を重視する場合には、冷却重視とは逆に音漏れしにくい構造が望ましいということになる。
二人のレビュアーが最新製品を厳しくチェック
次のページから始まる製品紹介ページでは、志向の異なる二人のライターの目線から、各メーカーがお勧めする最新、あるいは定番の製品をレビュー、こちらでは温度と動作音の検証も行なっている。
冷却性能を重視するか、静音性を重視するか、使い勝手を重視するか、ケースの評価はユーザーの志向によって大きく異なる。自分が組みたい構成を想定しつつ、レビュアー陣のコメントや、下で紹介しているチェックポイントを参考にして、製品選びを楽しんでほしい。
できればPCは無音で動いてほしい 竹内亮介
「エアコンの動作音でPCの動作音が消えない」春と秋があまり好きではない、静音重視派。大型CPUクーラーや汎用性のないビデオカードクーラー、音を確認するために買い込んだ大型ファンが、押し入れにたまる一方なのが悩みの種
最近はうるさくても信頼性重視 保坂陽一
microATXケースをこよなく愛するPCライター&アマチュア風景カメラマン。デジカメユーザーとして快適なスペックに慣れると戻ることができず、今は立派なハイエンドPCユーザー。大事な撮影データが消えるぐらいなら、爆音でも許す!!
今や12cmクラスのファンは当たり前。14cm、さらには20cmオーバーの大型ファンを天板や側面に搭載する製品も多い。CPUも再び発熱が増大してきており、その役割はますます重要になっている
Serial ATA接続に迫る転送速度を備えるUSB 3.0。最近、この規格に対応した前面端子を搭載するケースが増えてきている。外付けストレージを活用する機会が多いなら注目したいポイントだ
搭載しているファンの回転数を、ダイヤルやスイッチなどで変更できるファンコントローラ。外気温や使用状況に合わせて、回転数を低めにして静かに運用、回転数を高めて冷却重視で運用など、柔軟に対応できる
パネルにメッシュ加工を施して細かな穴をあけて、外気を取り込みやすくしている。冷却性能重視の製品で多く採用されているが、内部の音が漏れやすいという欠点があるので、静音性重視の構成には向かない
バックプレートを使って固定するCPUクーラーでもマザーボードをケースから外さずに交換できる、マザーボードベースに設けられた穴。穴は広めのほうがマザーボードのレイアウトに合わせて柔軟に対応できる
HDDやビデオカードなどを、ドライバーなどの工具を使ってネジ止めしなくても固定できる仕掛けのこと。組み立て作業が楽なので初心者にお勧め。固定器具はそのケース専用であることが多く、あまり使い回しはできない
水を循環させて冷却を行なう水冷システムでは、ポンプやラジエータをケースの外に設置することが多い。CPUやGPUに接した水冷ヘッドとつなぐパイプを通すための穴が、ケースに設けられていると便利だ
電源ケーブルなどがケース内部でファンなどに干渉しないよう、マザーボードベース裏側のスペースを使って配線できる製品も増えている。見た目もすっきりするし、ケース内のエアフローを改善することができる
ケース内の上部は熱がこもりやすいため、電源を底面に配置することでエアフローをスムーズにすることができる。さらに電源自身が熱源でもあるので、底面に吸気口を設け、背面から排気する構造だとなおよい
リード性能に優れるSSDを搭載するためには、2.5インチに対応したベイが必要だ。対応ケースなら、市販の変換アダプタなどを別途購入しなくてもすむ。今はSSDを使わないとしても、将来性を考えて重視すべきポイント