RAIDで大容量HDDの速度や信頼性を高める
RAIDを導入する最大のメリットは、高速化や信頼性の向上を図れる点にある。さらに、ほとんどのマザーボードにはRAID機能が搭載されており、追加投資なしに導入でき、HDDの価格の安さと相まって、ハードルはとても低い。
RAIDにはいくつか種類があるが、2台から手軽に始められるRAID 0/1がオススメだ。速度優先なら、使用する台数分の速度向上が見込めるRAID 0。信頼性を高めたいのなら、同じデータを複数のHDDに保存するRAID 1だ。速度は向上しないが、1台のHDDが故障しても、残った1台が無事ならデータを失うことはない。また、RAIDを導入するとこちらで解説した「2TBの壁」を回避できる。システム用とデータ用の二つの論理ボリュームを作成し、システム用を2TB未満の論理ボリュームにすればよい。
ほとんどのマザーボードには、RAID機能が搭載されている。これなら別途RAIDカードなどを購入しなくても、簡単にRAIDが構築できる
RAID 0
複数のHDDにデータを分配配置し、読み書きを高速化
○ メリット
理論的にはRAID構築に使用したHDDの台数分、速度の向上が見込める。また、複数のHDDをまとめて1台の大容量HDDとして扱える
× デメリット
データが複数のHDDに分散して記録されているため、1台でも故障するとデータの復旧は困難になる。台数分だけ、故障のリスクは増える
RAID 1
複数のHDDに同じデータを記録、信頼性を高める
○ メリット
同じデータを複数のHDDに記録することで、耐障害性が向上する。複数のHDDが同時に故障しない限り、データが失われることはない
× デメリット
2台のHDDを使用しても、実際に記録できる容量は1台分となるため、コストは倍。速度も向上しない。構成するHDDの最小容量が使用できる容量になる
RAIDの設定は意外と簡単!
ここではASUSTeKのP7P55D-E EVOを例に、マザーボードのRAID機能の設定手順を紹介する。
[1]BIOSを起動する
電源を入れて、BIOS設定画面を起動する。マザーボードによって起動方法は異なるが、起動中に[DEL]または[F2]キーを押すのが一般的だ。ここでは「Storage Configuration」を選択
[3]設定した内容を保存する
[RAID]になったことを確認し、設定した内容を保存してPCを再起動する。設定の保存(Exit & Save Changes)を行なわないと、設定が反映されないので忘れないように
[4]RAID BIOSを起動する
RAID BIOSの画面が表示され、「Press CTRL-I to enter ConfigurationUtility」と表示されたら、CtrlとIキーを押し、RAID BIOS設定画面を起動する
[6]RAID Levelを設定する
RAID 0や1など、使用するRAIDLevelを設定する。Volume名は設定しなくても大丈夫だ。3台以上のHDDを接続している場合は、RAIDに使用するHDDの選択も行なう
RAID機能搭載のNASキットでHDDの性能を引き出す
ネットワーク経由で簡単に使用できるNASは高機能化が進み、RAID機能を搭載した製品も多く出回っている。HDDを追加搭載できるNASキットも人気を集めており、RAID 0/1はもちろん、信頼性向上のためにRAID 5をサポートしている製品もめずらしくない。安価になったHDDをNASキットに組み込み、RAIDで活用するというのもオススメだ。NASは、共有ストレージとして使用するので記録容量が大きいほど使い勝手がよく、信頼性の向上を図ることもできる。
- Thecus Technology
- N2200
- 実売価格:20,000円前後
- 問い合わせ先:03-5783-0052(ユーエーシー)
- URL:http://www.thecus.com/
HDDを2台内蔵でき、RAID 0/1、JBODに対応したNAS。USBコピー機能を搭載し、USBポートに接続したHDDのデータを、ボタン一つでコピーする便利な機能も備える
<Specification>
■インターフェース:1000BASE-T×1、USB 2.0×4■対応HDD:3.5/2.5インチSerial ATA×2■対応RAID:0/1、JBOD■本体サイズ(W×D×H):115.17×139.2×213.59㎜
- バッファロー
- LinkStation LS-Q1.0TL/1D
- 実売価格:28,000円前後
- 問い合わせ先:050-3163-1825
- URL:http://buffalo.jp/
RAID 0/1/5/0+1に対応した高機能製品。搭載できるHDDは最大4台で、RAIDで使用するだけでなく、4台のドライブを個別に使用することもできる
<Specification>
■インターフェース:1000BASE-T×1、USB 2.0×2■対応HDD:3.5インチSerial ATA×4■搭載済みHDD:1TB×1■対応RAID:0/1/5/0+1■本体サイズ(W×D×H):150×230×150㎜
【検証環境】CPU:Intel Core i7-940(2.93GHz)、マザーボード:GIGABYTE GA-X58A-UD7(rev. 1.0)(Intel X58+ ICH10R)、メモリ:CorsairMemory XMS3 CMX6GX3M3A1333C9(PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×3)、ビデオカード:NVIDIA GeForce 8600 GTリファレンスカード、システムSSD:東芝 THNS512GG8BBAA(Serial ATA 2.5、MLC、512GB)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版