制限は多いが回避できる
Mini-ITX環境でもさまざまな性格のパーツが使えるようになったのはよいが、それに伴って問題が発生する場面が増えてきていることも確かだ。たとえば、高性能CPUやGPUの搭載に起因する冷却能力不足の話はよく聞かれる。また、大型CPUクーラーや高性能ビデオカードなどの干渉問題が起きる確率は、ATX環境の比ではない。「大枚はたいたCPUとビデオカードをカッコいいMini-ITXケースに入れよう!」という感じで、ATX環境の感覚で気軽にパーツを選ぶと痛い目を見る。ファンレスのIONマザーなどのように、低発熱といってもきちんとエアフローを確保してやらないと安定性に不安を残すものも存在する。
とはいえ、こういった問題の多くは、パーツの組み合わせを吟味し、使いこなしに気を配ればほぼ回避できる。ここでは、組み立て前から、組み立て後のアップグレードまで、頭に入れておきたいポイントを挙げていこう。
オンボードだけでも高機能

Atomが登場した頃とは違い、最新のマザーならば、グラフィックス機能やインターフェースも充実。ムリによくばる必要はない?
ココがポイント
1.パーツ同士の干渉に注意する
当たり前のことのように思えるが、Mini-ITXマシン構築時になかなか難しいのがパーツ同士の干渉だ。小型の狭いケースの中で単純に取り付けられないということも多いが、ケーブルなど、予想外のものがジャマになって、取り付けはできるけど、ギリギリ一杯で空間に余裕がない、ということも多い。Mini-ITXマシンではある程度覚悟も必要だが、後のことも考えてパーツを選びたい。

確かに入るけど、超ギリギリ、ということは多い。ケースの大きさを問わず、Mini-ITXケースでは似かよった状況によく出くわす
2.冷却はしっかりと
ファンレスで小型の超静音PCを目指す!というのは、自作PCのテーマの一つではあるが、冷却を怠れば、それだけ確実にパーツの寿命は短くなる。筆者の経験から言わせてもらえば、マザーやHDDも小型マシンのほうが断然壊れやすく、冷却不足の環境では1年も経たずに壊れてしまうこともめずらしくはない。もともと小型マシンというのは、冷却面では不利なものであるということを理解し、念入りに熱対策をしよう。

高機能ケースでは大型ファンを搭載したものもあるので、ある程度は安心できる。ただし、パーツの詰め込み過ぎには注意
3.拡張スロットには本当に必要なものを
多くのMini-ITXマザーには、拡張スロットが1本用意されている。高性能なCPUとビデオカードがあれば、ゲームマシンとしても十分活躍できるが、小型マシンとしてはやはりパーツ同士の干渉や、冷却面での配慮が必要になってくる。ただ、外部インターフェースでも多彩な拡張が可能なので、内部だけにこだわらず、広い視点でマシンの構成を考えたい。まずオンボードグラフィックス環境を試してからでも遅くはないはずだ。

1本の拡張スロットはMini-ITXマシンの切り札。何か挿したくなる気持ちは分かるが、最初は使わずに取っておく、というのも一つの手である