総予算10万円前後で最良の組み合わせを探す
「高価なCPUと高価なビデオカード」、この組み合わせのパフォーマンスが優れていることは誰の目にも明らかだ。それはFINAL FANTASY XIV(以下FFXIV)についても同様。だが、誰もが簡単に10万円のCPUに手を出すことができるわけもないだろう。
そこで、PC全体の予算を10万円程度とした場合、CPU、マザーボード以外を標準的な製品でまとめると、約5万円かかると仮定。CPUとビデオカードに割く予算を5万円前後と考え、その予算でFFXIVをもっとも快適にプレイできるCPUとビデオカードの組み合わせを検討した。指標にはオフィシャルベンチマークを利用するが、LowモードではCPUの性能が、HighモードではGPUの性能が、それぞれスコアに大きく影響する傾向にある。つまり、FFXIVをプレイする解像度をどの辺りに設定するかによって、CPUとビデオカードのどちらにコストを割くべきかがおのずと決まるというわけだ。以上を踏まえつつ、CPUとビデオカードを選択する際、どこに注目すべきかを見定め、最善となる組み合わせを模索する。
Low/Highモードで特性が異なる

FFXIV OFFICIAL BENCHMARKでは、LowモードではCPUの性能が、HighモードではGPUの性能がスコアに大きく影響をおよぼす
今回想定するFFXIVマシン

CPUを選ぶ
もはやデュアルコアでは厳しい
安価なクアッドコアCPUがオススメ
FFXIVはマルチスレッド処理に対応しており、CPUコア数が多いほど高いパフォーマンスを発揮する。そのため、デュアルコアCPUは、クアッドコアCPUに比べて性能がかなり落ちる。とくに、Core i5-655Kはデュアルコアであることが足を引っ張る形となってしまい、それより7,000円ほど安価なクアッドコアのPhenomII X4 945よりスコアが低い。ところが、これが6コアCPUまでいくと、Lowモードでは順調にスコアを伸ばしてはいるものの、PhenomII X4 945からのスコアの上がり幅は価格差にまったく見合っていない。その傾向はHighモードでより顕著で、PhenomII X6 1090T Black Editionは、同価格帯のCore i7-870にかなり水をあけられてしまっている。また、LowモードではCore i7-870が抜きん出た形だ。

このクラスのCPUでFFXIVを快適にプレイしたいのであれば、クアッドコアCPUで十分。価格重視ならPhenomII X4 945が、より高いパフォーマンスを求めるならCore i7-870がそれぞれ選択肢として挙げられる。
ビデオカードを選ぶ
高スコアのRadeon HD 5000系
推奨GPUのGeForce GTX 460も注目
CPUとビデオカードで予算が5万円の場合、ビデオカードの予算は1~3万円前後といったところ。AMDとNVIDIAのどちらのGPUを選べばよいかも、頭を悩ます部分だ。
まず、3万円前後の価格帯ではGeForce GTX 470とRadeon HD 5850が該当するが、スコアは後者のほうが上だ。とくにHighモードでその差は顕著で、両者の価格差があまりないことを考えると、Radeon HD 5850を選択するほうが得策と言える。一方、2万円前後ではRadeon HD 5770のコストパフォーマンスが光る。ただし、安定性や描画の正確性を求めるなら推奨GPUのGeForce GTX460がお勧めだ。1万円前後の価格帯では、GeForce GTS 450とRadeon HD 5750であまり差は見られない。また、Radeon HD 5670では快適なプレイはかなり難しい。

とにかく高解像度環境を求めるのであれば、Radeon HD 5850の一択だろう。GeForce GTX 460にはビデオメモリ1GB版と768MB版があるが、FFXIVに限れば768MB版でも十分なパフォーマンスを持つ。
最高の組み合わせは?
解像度で異なるCPUとGPUのバランス
想定するプレイ環境に合わせて選択を
CPUにCore i7-870とPhenomII X4 945を、GPUはRadeon HD 5850/5770、それにGeForce GTX 460 768MB版を中心に、それぞれいくつかの組み合わせを試してみた。
Lowモードに着目すると、予算内ではCorei7-870とGeForce GTX 460 768MBの組み合わせがもっともスコアが高い。つまり、LowではCPUのランクを下げてまでRadeon HD5850を購入するメリットは小さい。また、Lowに限ればPhenomII X4 945とHD 5770の組み合わせは3万円でスコアが4,000を超えており、コストパフォーマンスに優れる。
一方、HighモードではPhenomII X4 945とRadeon HD 5850の組み合わせが抜けている。Highモードでのプレイを想定するのであれば、CPUのコストを抑えてでもRadeonHD 5850を購入したい。また、予算オーバーにはなるが、余裕があるのならCore i7-870とRadeon HD 5850の組み合わせも視野に入れたいところだ。

パワレポオススメの組み合わせ
●低解像度でのプレイと安定性を重視する場合
Core i7-870
GeForce GTX 460 768MB版
合計:46,000円前後
●高解像度でのプレイを重視する場合
PhenomII X4 945
Radeon HD 5850
合計:44,000円前後
●コストパフォーマンスを重視する場合
PhenomII X4 945
Radeon HD 5770
合計:30,000円前後
【検証環境】
[CPU検証時]
マザーボード:GIGABYTE GA-P55-USB3(rev.1.0)(Intel P55)、GIGABYTE GA-890FXA-UD5(rev.2.0)(AMD 890FX+SB850)、メモリ:UMAX Cetus DC DDR3-4GB-1333(PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2)、ビデオカード:AMD Radeon HD 5870リファレンスカード
[ビデオカード検証時]
CPU:Core i7-980X Extreme Edition(3.33GHz)、マザーボード:Intel DX58SO(Intel X58+ICH10R)、メモリ:Patriot Memory PSD36G1600KH(PC3-12800 DDR3 SDRAM 2GB×3)、ビデオカード:ZOTAC GeForce GTX 470 ZT-40201-10P(GeForce GTX 470)、玄人志向 RH5850-E1GHW/HD/DP/G2(Radeon HD 5850)、EVGA GeForce GTX 460 01G-P3-1371-KR(GeForce GTX 460/1GB)、玄人志向 GF-GTX460-E768HD/G2(GeForce GTX 460/768MB)、MSI R5770 Hawk(Radeon HD 5770、リファレンスクロックで動作)、EVGA GeForce GTS 450 FTW 01G-P3-1458-TR(GeForce GTS 450、リファレンスクロックで動作)、PowerColor Go! Green HD5750 1GB GDDR5(Radeon HD 5750)、Sapphire ULTIMATE HD5670 1G GDDR5 PCI-E HDMI/DVI-I/DP(Radeon HD 5670)
[共通環境]
HDD:Western Digital WD Caviar Blue WD5000AAKS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、500GB)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版