普及クラスまでDirectX 11に対応 カードのバリエーションも豊富に
ビデオカード市場の動きが非常に活発だ。7月にNVIDIAから待望のミドルレンジGPUであるGeForce GTX 460が登場。搭載製品が高い人気を集めているが、さらにその下のクラスに位置するGeForce GTS 450が登場したことで、先行するAMDに続いてNVIDIAもミドルレンジ下位までDirectX 11への対応が完了した。また、GPUが同じでも、独自のGPUクーラーを搭載するモデルやオーバークロックモデルなど、カードベンダー各社が工夫を凝らしたオリジナル製品が増えている点にも注目したい。
DirectX 11では、粗いポリゴンデータをGPU側で細かく分割する「テッセレーション」という技術を標準化したことが大きい。高さ情報を持ったテクスチャを貼るディスプレイスメントマッピングと組み合わせることにより、効率よく複雑で詳細な描画ができる。視点からの距離などに応じてテクスチャを間引く表現なども容易で、ゲームタイトルへの影響は大きい。また、DirectX 11ではGPUを3D描画以外にも効果的に活用するための共通の仕組として「Direct Compute」も導入されている。今すぐにDirectX 11対応タイトルをプレイするかしないかにかかわらず、これから購入するビデオカードとしては、「DirectX 11対応GPU搭載」という条件は外せない。
FFXIV特需が発生

多くのユーザーが待望していたビッグタイトル「FINAL FANTASY XIV」の正式サービスが9月30日についに開始。高いグラフィックスパフォーマンスを要求することから高性能ビデオカードの売れ行きが上がる「FFXIV特需」が発生している
DirectX 11環境が普及

GeForce GTS 450が登場したことで、NVIDIAのGPUもミドルレンジクラスまでDirectX 11対応GPUに対応。テッセレーション、Direct Computeといった重要技術を含むだけにDirectX 11への対応はビデオカード購入時の絶対条件だろう
FINAL FANTASY XIVをはじめ新作ゲームタイトルが続々登場
さて、ビデオカードと言えば、やはり3Dゲームと密接な関係がある。緻密なグラフィックスを駆使する新作タイトルをプレイするにはビデオカードに相応のパフォーマンスが要求されるのは必然である。折しも、MMORPGの大作「FINAL FANTASY XIV(以下、FFXIV)」がスクウェア・エニックスからの発売を控え、盛り上がりを見せている。また、10月にはカプコンの「ロスト プラネット 2」、「デッドライジング 2」といったメジャータイトルの発売も控えている。
とくにFFXIVは世界的な人気を誇るFINAL FANTASY XIに続くMMORPGのビッグタイトルであるとともに、DirectXの世代としてはDirectX 9.0cだが、必要動作環境としてGeForce 9600シリーズおよびATI Radeon HD 2900シリーズ以上、推奨環境としてはNVIDIA GeForce GTX 460以上が指定されており、パフォーマンスの要求はかなり高い。公式ベンチマークテストの内容やスコアからもそれは明らかだ。
そんな事情から発生しているのが「FFXIV特需」。FFXIVをプレイするために高性能なビデオカードの導入機運が高まっている。読者の中にもFFXIVの登場を機会にビデオカードを新たに購入しようという方は少なくないのではなかろうか。ゲームプレイ、とくにFFXIVの快適なプレイを強く意識しつつ、今回は合計24枚の最新ビデオカードを用意した。FINAL FANTASY XIV OFFICIAL BENCHMARKも含めたパフォーマンスや消費電力、静音性の検証などを行ない、GPUの違いだけにとどまらない、各ビデオカードの実力、個性を浮き彫りにする。性能をどこまで求めるのか、静音性も重視するのか、好みに合った最適な1枚を見付ける参考になれば幸いだ。
【これで万全!】ビデオカード購入時のチェックポイント

GPUクーラー

重要度:★★
静音性や冷却能力を左右する重要ポイント。AMDやNVIDIAのリファレンスデザインを採用する製品はGPUが同じであればクーラーも共通だが、カードベンダーが独自に設計し、冷却性能や静音性を高めた製品も多い。クーラーの中には3スロット以上を必要とするような大型モデルもあるので注意したい
GPU

重要度:★★★
ビデオカードの中核となるチップで、ビデオカードの2D/3Dの描画性能や動画再生支援機能など、すべてのパフォーマンスを決定付ける部分。最優先でチェックすべき項目だ。また、発熱や消費電力、補助電源の端子数もGPUによりほぼ決まる。なお、GPUのグレードは主にシェーダープロセッサの数やメモリバス幅などで差別化されている
出力端子

重要度:★★
ディスプレイ出力端子はカードによって異なる。DVI、DisplayPort、HDMI、Dsub 15ピンなど、使いたい端子が用意されているか、あるいは変換アダプタが付属しているかどうか、事前にチェックしておこう。テレビに接続するならHDMIが音声も一緒に出力できて便利だ
オーバークロック

重要度:★
ベンダー側でGPUをあらかじめオーバークロックし、標準品より性能を高めたオーバークロックモデルが最近は多く販売されている。製品によっては上位GPUに迫るほどの性能を持つが、上位GPU搭載カードとの価格差や消費電力の増大も考慮しつつ選んだほうがよいだろう
メモリー容量

重要度:★
ビデオメモリは、フレームバッファやGPUの描画処理の作業領域として利用される。一般的な環境ではあまり差が付かないため、よくばる必要はないが、アンチエイリアスなど、高画質・高負荷環境では大容量ビデオメモリ搭載モデルが有利になる
GPU-Zを使いこなそう
GPU-Zは、GPUの仕様などの詳細表示を行なうフリーのツールだ。GPU/メモリの動作クロック、メモリバス幅(Bus Width)などはGPUが同じでも違うことがあるので、定格どおりのスペックで実装されているかどうか確認しておきたい。また、「Sensors」タブではGPU/メモリの動作クロックや温度の変化をリアルタイムで知ることが可能(まれに非対応GPUもあり)。なお、項目内にマウスカーソルを合わせるとヘルプが表示される。また、このツールの「GPU」項目に表示される開発コードネームなどを一通り把握しておくと雑誌やWebなどの情報を読み解く際に便利だ。
