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ポイントはメーカー独自のGPUクーラー! 静音ビデオカードで静かなマシンを狙え |
GPUは日進月歩の勢いで性能向上を果たしている半面、消費電力も上昇の一途をたどっている。消費電力の高さは発熱量の大きさと同義であり、そのため、一般的にはより高速なGPUを搭載したビデオカードほど、冷却性能を高めるためにGPUクーラーも大掛かりなものになってしまう傾向にある。
その際、問題となるのがGPUクーラーの動作音だ。GPUクーラーの冷却性能を高めるもっとも簡単な方法は、冷却ファンの回転数を上げることである。しかし、回転数を上げると冷却ファンの風切り音が増し、うるさくなってしまう。とくに冷却ファンはGPUの温度により回転数を変化させるものが多く、負荷がかかっていないときは回転数が低く静かでも、ゲームをプレイしたり、動画を見たりしてGPUを活用すると、とたんに回転数が跳ね上がり、ファンの音を耳障りに感じてしまうことも少なくない。
一方で、静音性に優れた独自設計のGPUクーラーを備えた製品をリリースするメーカーも少なくない。この種の製品では、回転数を抑えながらも冷却ファンの口径を大きくして風量を稼いだり、ヒートパイプを用いて効率的に放熱フィンへとGPUの発熱を伝えたりするなどの工夫が施されている。より静音性を求めるなら、冷却ファンを搭載しないファンレスタイプの製品も有力な選択肢に挙がる。だが、その場合、ケースファンなどでケース内の熱を排出する手段をしっかりと講じておく必要がある点に注意したい。
そこでここでは、静音性に秀でたGPUクーラーを搭載するビデオカード5製品をピックアップし、その冷却性能と静音性を実際に検証してみた。
性能を取るか静かさを取るか

オリジナルクーラーで両立を
静音性に優れたGPUクーラーを採用した製品なら、静粛かつ高性能を実現することができる
【検証環境】CPU:Intel Core i7-860(2.8GHz)、CPUクーラー:サイズ グランド鎌クロス、マザーボード:ASUSTeK MaximusIII Gene(Intel P55)、メモリ:UMAX Cetus DCDDR3-4GB-1333(PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2)、HDD:Western Digital WD CaviarBlue WD10EALS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、1TB)、電源:Enermax PRO87+EPG600AWT(600W)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版
【検証内容】温度はHWMonitor 1.16のGPU Coreの値。動作音はファンの回転軸上5cmで計測。アイドル時はOS起動から5分後の値、高負荷時はOCCT Perestroika 3.1.0のPOWER SUPPLYモードを5分間連続実行したときの最高値。暗騒音は32.8dB。室温27.7℃。



ヒートパイプ直接接触式クーラーで静音性に優れる
- Radeon HD 5850
- グラフィックス 7.7
- ゲーム用グラフィックス 7.7
- ASUSTeK
- EAH5850 DirectCU/2DIS/1GD5
- 実売価格:35,000円前後
- 問い合わせ先:news@unitycorp.co.jp(ユニティ)
- URL:http://www.asus.co.jp/

リファレンスクーラーに比べて動作音を最高35%低減し、GPUの温度を20℃下げることができるという「DirectCUクーラー」を搭載する。実測値は高負荷時の温度が74℃、動作音が58.7dBと、このクラスとしては静かな部類。ハードウェアモニタ兼OCツールの「Smart Doctor」が付属する。

2本のヒートパイプが直接GPUに触れる構造を採用することで、放熱フィンへの効率的な熱伝導を実現している
コアクロック:725MHz●ビデオメモリ(バス幅):GDDR5 SDRAM 1GB(256bit)●メモリクロック:4GHz●インターフェース:DisplayPort×1、HDMI×1、DVI-I×1●対応スロット:PCI Express 2.1 x16
冷却性能と静音性を両立させたCycloneクーラー
- GeForce GTX 460
- グラフィックス 7.4
- ゲーム用グラフィックス 7.4
- MSI
- N460GTX Cyclone OC
- 実売価格:22,000円前後
- 問い合わせ先:web@msi-computer.co.jp (エムエスアイコンピュータージャパン)
- URL:http://www.msi-computer.co.jp/

PWM制御の9cmファンと大型ヒートシンクによる「Cycloneクーラー」を搭載する。リファレンス設計と比べて、高負荷時における動作音を15.7%低減、GPU温度を4℃下げることができると言う。実際、高負荷時の動作音が56.1dB、GPU温度が70℃を切っている点はなかなか優秀だ。

ヒートシンクから2本のヒートパイプが放熱フィンへと延びるシンプルな構造だが、大きいこともあり、冷却性能は高い
コアクロック:725MHz●ビデオメモリ(バス幅):GDDR5 SDRAM 768MB(192bit)●メモリクロック:3.6GHz●インターフェース:Mini HDMI×1、DVI-I×2●対応スロット:PCI Express 2.0 x16
2基の冷却ファンを搭載しながら驚きの静かさ
- Radeon HD 5770
- グラフィックス 7.4
- ゲーム用グラフィックス 7.4
- MSI
- R5770 Hawk
- 実売価格:18,000円前後
- 問い合わせ先:web@msi-computer.co.jp (エムエスアイコンピュータージャパン)
- URL:http://www.msi-computer.co.jp/

2基の冷却ファンからなるオリジナルクーラー「Twin FrozrII」が印象的なオーバークロックモデル。リファレンスクーラーから温度を13℃下げたと言う。しかしむしろ、高負荷時でも動作音が44.4dBとかなり低く、その静音性に注目したい。

大型の放熱フィンに2基の冷却ファンでエアを吹き付ける構造を採用。フィンは3本のヒートパイプで接続されている
コアクロック:875MHz●ビデオメモリ(バス幅):GDDR5 SDRAM 1GB(256bit)●メモリクロック:4.8GHz●インターフェース:DisplayPort×1、HDMI×1、DVI-I×1●対応スロット:PCI Express 2.1 x16
ミドルレンジGPUでファンレスを実現
- Radeon HD 5750
- グラフィックス 7.3
- ゲーム用グラフィックス 7.3
- GIGABYTE
- GV-R575SL-1GI
- 価格:未定(8月以降発売予定)
- 問い合わせ先:052-619-1560(CFD販売)
- URL:http://club.gigabyte.co.jp/

「SILENT-CELL」と呼ばれる大型の放熱フィンにより、ミドルレンジながらもファンレスを実現した1枚。ファンレスなのでGPU温度は冷却ファン搭載モデルに比べてどうしても高くなってしまい、高負荷時には105℃にも達してしまった。ケースファンなどで周辺の排熱に配慮する必要があるだろう。

GPUクーラーは3スロットを占有するほど巨大。そのほとんどが放熱フィンで占められ、ヒートパイプは3本
コアクロック:700MHz●ビデオメモリ(バス幅):GDDR5 SDRAM 1GB(128bit)●メモリクロック:4.6GHz●インターフェース:HDMI×1、DVI-I×2、Dsub 15ピン×1●対応スロット:PCI Express 2.1 x16
エントリーモデルならではのファンレスタイプ
- Radeon HD 5450
- グラフィックス 4.6
- ゲーム用グラフィックス 6.1
- 玄人志向
- RH5450-LE512HD/D3/HS
- 実売価格:5,000円前後
- 問い合わせ先:購入店舗にて対応
- URL:http://kuroutoshikou.com/

薄型のヒートシンクを装着したファンレスモデル。ローエンドGPUのため発熱量自体もさほど多くはなく、実測値でも高負荷時で74℃と、ファンレスモデルとしては低い温度を保っている。ただし、エントリーモデルであるためにパフォーマンスは期待できず、動画再生用など、使いみちには割り切りが必要。

ヒートシンクは1スロットタイプの薄型のもの。GPUとメモリをまとめて覆うことで、両者の熱を空気中へ逃している
コアクロック:650MHz●ビデオメモリ(バス幅):DDR3 SDRAM 512MB(64bit)●メモリクロック:1.334GHz●インターフェース:HDMI×1、DVI-I×1、Dsub15ピン×1●対応スロット:PCI Express 2.1 x16